コネクテッド(保持通話/Connected)
story
ロボット設計士のグレイス(バービー・スー)にとって、それはいつもと同じ朝だった。徹夜の仕事をこなした彼女は、亡夫との6歳のひとり娘ティンティンを車で学校に送り届けた。ところが、その帰り道に黒ずくめの男たちに拉致され、倉庫のような密室に監禁されてしまう。グレイスはパニックに陥りながらも、一味がいなくなったすきに、粉々に破壊された電話の修復を試みた。
気弱な経理マン、アボン(ルイス・クー)にとって、それは人生の岐路となりうる重大な日だった。たびたび家族との約束をすっぽかして妻に逃げられ、会社からは借金の取り立て業務を強いられる日々。公私共に絶不調のアボンの心のよりどころは、幼い息子ギット(譚竣浩)の存在だ。もうすぐ留学先に旅立とうとしているギットが待つ空港に駆けつけ、今度こそ約束を守って信頼を回復したい。それが、アボンの唯一の願いだった。
グレイスがやっとの思いで発信した電話は、車で空港に向かうアボンの携帯に繋がった。「助けて…誘拐されたの!」。悪戯と決めつけ顔をしかめるアボンだったが、その女性の声はあまりにも真に迫っていた。やむなくアボンはグレイスの訴えを聞き入れ、偶然通りかかった交通課の警官ファイ(ニック・チョン)に携帯を手渡す。しかしタイミング悪く一味が戻ってきたため、グレイスは事情を説明することができなかった。
一味のリーダー(リウ・イエ)は何かを探しているらしく、グレイスの弟ロイ(陳家樂)の居場所を執拗に問いつめてくる。さらに冷酷な本性を剥き出しにした彼は、グレイスの目の前でロイの親友を射殺し、次に最愛の娘ティンティンを殺すと宣言するのだった。ファイが立ち去った後に、その恐ろしいやりとりを電話越しに聞いたアボンは、自分がただならぬ大事件に巻き込まれたことを確信していた。「…あなただけが頼りなんです。娘を救ってください!」
●アジコのおすすめポイント:
ジャッキー・チェンとの名コンビで知られ、昨年は若手俳優を起用した『インビジブル・ターゲット』で熱く語ってくれたベニー・チャン監督が、ハリウッド映画『セルラー』を大胆リメイク。1本の通話が繋ぐスリル満点のノンストップ・アクションを作り上げました。最初は頼りなかった主人公が、事件に巻き込まれていく内に勇敢な男に変わっていくところも見所。また、バービー・スーを起用したことで、北京語も効果的に活かされています。バービーのママ役も新鮮。ところどころに香港らしいユーモアも交えつつ、最後まで緊張感を持続させて一気に見せる手腕はさすが。今回は2組の親子のドラマが時間軸にそって進むので、ストレートに楽しめます。純朴青年役が多かったリウ・イエも、最近はこわい悪役が似合うようになってきました。
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