義兄弟(義兄弟/Secret Reunion)
story
北朝鮮工作員のソン・ジウォン(カン・ドンウォン)は韓国に潜入し、暗殺者・影(チョン・ググァン)と共にソウル市内の高級住宅街にやってくる。冷徹な「影」が黙々と暗殺を遂行しているところへ、情報を察知した国家情報員たちが駆けつける。撃ち合いの最中、ジウォンは裏切り者の幼い息子を救い、ひとりで現場から脱出。その様子を、国家情報員のイ・ハンギュ(ソン・ガンホ)が捉えていた。
「影」を取り逃がし、責任を問われたハンギュは組織をクビになる。そして6年後、彼は逃げた外国人花嫁を探す探偵まがいの稼業で暮らしていた。ある日、ベトナム人が多く働く工事現場で偶然ジウォンに出くわす。北朝鮮工作員の賞金は1億ウォン。ハンギュは賞金目当てでジウォンに近づき、自分の仕事に誘い込むのだった。
パク・ギジュンという偽名で潜伏生活を続けていたジウォンは、ハンギュの正体を知りながらも誘いに乗ることにする。いつ帰国できるかもわからない今、北朝鮮に残して来た妻と娘を呼び寄せるために、彼もまた金を必要としていたのだ。一方、離婚して一人暮らしのハンギュは、ジウォンを住み込みで雇い入れる。こうして、互いの腹のうちを探りつつも、共に暮らし、仕事をする日々が始まる。
ハンギュとジウォンは時にいがみあいながらも、次第に心を通わせて行く。互いに盗聴し合い、相手の動向を探ってもいたが、それが理解を深めるきっかけにもなっていた。そんな中、ジウォンは工作員仲間のソン・テスン(ユン・フィソク)が6年前の暗殺の情報を漏らしていたことを知る。さらに「影」が再び暗殺の指令と共にやってくる…。
●アジコのおすすめポイント:
前作『映画は映画だ』では、暴力的な俳優と俳優になりたかったヤクザの物語を描いたチャン・フン監督が、2作目となる本作では北と南の諜報員という対極にある男たちの物語を痛快なドラマに仕立て上げました。ソン・ガンホ、カン・ドンウォンという2大人気俳優の持ち味も十分に活かされ、二人が次第に互いを気遣うようになる様子が、ユーモラスかつしんみりと丁寧に描かれていきます。それゆえに、ラストでは一気に緊張感が高まりますが、韓国映画の定石を覆すラストも小気味よく、幸せな余韻を残します。きっと、何度でも観たくなる作品になることでしょう。(名作の基本)
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