Q:撮影中はソン・ガンホさんとずいぶんお酒を飲んだそうですが、どんなお話をされたのですか? 今でも連絡は取り合っていますか?
ドンウォン「撮影が終って少し経ちますが、ソン・ガンホ先輩とは今でも連絡をして、たまに会ってはお酒を飲んだりしています。撮影中も今も会うと、自分が悩んだり煮詰まったりしている時は、とてもいいアドバイスをしてくれます。撮影中は忙しかったのでそれほどたくさん飲めるわけではありませんでしたが、いつも楽しく飲んでいました。他のスタッフは皆、お酒が飲めなかったので、いつもソン・ガンホさんと二人でした。演技の話もするけれど、プライベートな話をすることが多く、子どもの頃の話もして、胸中を打ち明けられるとてもいい先輩と出会えました」
Q:今年公開の3作品はどれも男性が共演者ですが、そのような作品に惹かれる理由は? また北朝鮮の工作員でありながら父親でもある役でしたが、難しくはなかったですか?
ドンウォン「たまたま気に入った作品の相手が女優さんではなかったのと、個人的にメローなジャンルには惹かれないので、年明けの作品はそうなったのかもしれません。また、韓国映画界でも、メローな作品よりも男性が主人公の映画の方がマーケット的にも魅力があり、需要があるからかもしれません。
お父さん役については、最初、演じる前は僕には似合わないのではないかと思っていました。子どもといっても抱っこできるような小さい子どもではなくて6、7歳くらいの女の子だったので、似合わないと思っていたんですが、やってみたらあまりにも似合っていてショックでした(笑)」
Q:一番好きなシーン、おすすめのシーンを教えてください。
ドンウォン「好きなシーンは、映画でも見所となる場面ですが、ソン・ガンホさんと心を通いあわせる祭祀を行うシーンです。自分にとっても重要なシーンだったし、映画にとってもクライマックスだったと思います。最も記憶に残るシーンでもあります。そのシーンを撮る時のエピソードですが、お辞儀をしながら立ち上がる時に悲しい感情を表現するところがあります。前日に通しでリハーサルをした時は感情が入り過ぎて涙をたくさん流したのですが、本番では10何テイクも撮ってしまいました。その時、ソン・ガンホさんは、僕が一番うまく感情を表現できるまで、ずっと黙っていてくれたことが記憶に残っています」
対照的な二人の演技対決が見所! (c)2010 Showbox/Mediaplex
Q:今回は役作りのために脱北者の方と話したりしましたか? また、南北問題は日本にとっては近くて遠い話ですが、日本の観客にはどんな風に観て欲しいですか?
ドンウォン「『私たちの幸せな時間』の時は死刑囚の方と会いました。今回『義兄弟』の撮影に入る前にも、実際に工作員だった方には会えませんでしたが、脱北者の方2人に会うことができました。でも正直なところ、脱北者の方に会ったことが演技にどれほどプラスになったかについては少し疑問を持っています。2つの面があって、アイデアを得られるからいいという考え方もありますが、僕の場合はその方のイメージが脳裏に焼き付いて想像力を妨げる要因にもなると考えているので、どこまで役に立ったかについては少し疑問があります。ちなみに、お会いしたのは監督に言われたからです。南北問題については、日本の皆さんには単純に映画として観ていただきたいと思います。政治色が強いものではなく、2人の男が友情を築きあい分かち合うという映画なので、映画として楽しんでいただければうれしいです」
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全身はこんなスタイル(拡大左・拡大右)
左:(c)エス・ピー・オー 右:(c)アジクロ
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ここで記者会見は終了。短い会見でしたが、一人での記者会見はけっこう楽しめたようで、フォトセッションが終った後に「今日はほんとうに来てくださってありがとうございました。こうやって一人で記者会見をするのは慣れなくて初めてなのですが、わるくないですね(笑)。ありがとうございました」と、お礼の言葉を残して去っていきました。
今回の来日では新作『超能力者』の撮影中だったこともあり、ふわふわのヘアスタイルも印象的でしたが、11月中にはいよいよ兵役へ入隊。しばらくスクリーンで会えないのが残念ですが、まずは『義兄弟』で、韓国映画評論家賞で見事、主演男優賞を獲得した渾身の演技をご堪能ください。さらに『チョン・ウチ』『カメリア』『超能力者』と、今後公開が期待できそうな作品がいくつかありますので、そちらも楽しみに待つとしましょう。
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