セデック・バレ 第一部:太陽旗 (賽徳克・巴莱 上集:太陽旗/Seediq Bale)
story
台湾中部の山岳地帯に住み、虹を信仰する誇り高き狩猟民族セデック族。彼らは山深い桃源郷で大地と共存し、周囲の動植物と調和を保ちながら生きていた。その一方で、戦った相手の首を狩るという古くからの風習も残っていた。
セデック族の中に、勇猛果敢に猪を追う若者がいた。セデック族の一集落、マヘボ社の頭目の息子モーナ・ルダオ(ダーチン)。彼は初めての首狩りで瞬く間に2つの首を狩り、村の内外にその名を響き渡らせた。だが、同じセデック族のトンバラ社に住むタイモ・ワリスとの間に長年の遺恨が残ってしまう。
1985年、日清戦争で清が敗北したことにより、彼らが暮らす山奥にも日本軍が押し寄せてきた。必死に抵抗するも、日本軍は圧倒的な軍事力で次々と集落を支配していき、平穏な生活を奪っていった。マヘボ社に入って来た日本軍に反抗するモーナだったが、最後は従うしかなかった。
彼らは「蕃人(野蛮人)」として扱われ、日本人として生きるよう教育された。日本文化を学び、独自の文化や風習は禁じられ、さらに過酷な労役と服従を強いられた。そうして35年が経ち、セデック族の頭目となったモーナ(リン・チンタイ)は、日々を耐え抜いていた。
セデック族の婚礼の夜、一人の日本人警官とセデック族が衝突。その騒動をきっかけに、セデック族の若者たちがモーナへ反撃を迫る…。
●アジコのおすすめポイント:
『海角七号/君想う、国境の南』で名を馳せた、台湾の新鋭ウェイ・ダーション監督が構想10年の思いを結実させた渾身作です。とにかく熱い! 画面からほとばしるこの熱気、迫力、緊張感は半端ありません。それは、自分のDNAの中にあるかもしれない何かを呼び覚まされるような、プリミティブ感。映画が始まってからずっと、ザワザワドキドキしながら、あなたの眼はスクリーンに釘付けになるでしょう。第一部となる前半の見どころは、若き日のモーナ・ルダオの野性味溢れる姿。演じるダーチン自身も、タイヤル族出身。幼い頃から父に狩りを教えられたというだけあって、その眼差しはまさにモーナ・ルダオそのもの。日本軍占領後は、長として部族を束ねる存在になっていきます。そして、35年後の中年モーナを演じるリン・チンタイの重厚な風情。とても演技素人とは思えない貫禄で、物語を後半へと引っ張っていきます。
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