セデック・バレ 第二部:虹の橋 (賽徳克・巴莱 下集:採虹橋/Seediq Bale)
story
連合運動会が開催されていた霧社公学校を、300人のセデック族決起部隊が襲った。戦う術を持たない多くの日本人は、老若男女の区別なく命を奪われた。突然の襲撃で大勢の犠牲者を出したことに、日本政府は激怒し、直ちに陸軍少尉・鎌田彌彦(河原さぶ)率いる1000名の部隊が鎮圧にあてられる。
しかし、山岳地帯の戦いに長けたセデックの前に苦戦を強いられる。一方、セデック族と友好関係を築いていた小島巡査(安藤政信)は、妻子が学校で殺害されたと知り、懸賞金を出すことを条件に、タイモ・ワリス(マー・ジーシアン)たちを味方蕃として出兵させる。
戦いに向かう男たちを見送ったセデックの女たちは、やがて食糧が足りなくなることを見越して、集団自決を決意。「虹の橋を渡って待ってるから」と少年たちを戦いに向かわせ、自分たちは森の中へ入っていった。
日本の師範学校と小学校を卒業した花岡一郎(シュー・イーファン)と二郎(スー・ダー)も、引き裂かれそうな思いを抱えていた。セデック出身で優秀な二人は日本名を与えられ、警察官となっていた。葛藤の中、二人は妻子との心中を選ぶ。「どちらでもない自由な魂になれ」と。
圧倒的な軍事力を相手にした絶望的な戦いの中、それぞれの信念がぶつかり合い、決着のときが近づいていた…。
●アジコのおすすめポイント:
ついに決死の覚悟で蜂起したモーナ・ルダオと一族の悲劇を描く第二部。勝ち目がない戦いとわかっていながら、一族の誇りを賭け、虹の橋を渡る「真の人=セデック・バレ」になるため、戦いに身を投じていきます。対する日本軍は皆が傲慢というわけではなく、安藤政信や木村祐一のようにセデック族と友好的な軍人も。残念ながら、彼らも戦うことになっていくのですが、その悲劇を身を持って伝えているのが、花岡兄弟でしょう。戦いの後で鎌田少尉が感慨深く語る言葉は、後年に出版された研究本に記録されています。エンディングで流れる爽やかな合唱曲「看見彩虹」を歌っているのは、ダーチンやリン・チンタイをはじめとする、演技未経験の原住民キャストたちです。ちなみに、日本に味方したタイモ・ワリスを演じているマー・ジーシアンは、セデック族出身の俳優。監督でもある彼は本作の後、ウェイ・ダーション監督のプロデュースで日本と台湾の野球による交流を描く『KANO』を監督中です。
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