インターセプション 盗聴戦
(竊聽風雲3/Overheard 3)
story
香港郊外の新海地区では、丁権という因習で土地が管理されており、地元の有力者ロク(ケネス・ツァン)が丁権を仕切り、不動産企業として君臨していた。しかし時代が変わり、政府はこの因習を廃止。新海地区の大規模な土地開発が始まろうとしていた。
ロクは大陸のマン総裁(ホアン・レイ)と組み、巨額な投資資金を得て、自社が管理する土地を夢の高層住宅群に変えようと計画。甥のカムキョン(ラウ・チンワン)ら、一族の者たちに丁権を買い集めるよう指示を出す。
カムキョンはフー(アレックス・フォン)、チュン(ドミニク・ラム)、ボー(ラム・ガートン)と計画を進めるが、ユン(チン・ガーロッ)だけが開発業者のシト(ン・マンタ)と繋がっていたため、幼馴染で運転手のザウ(ルイス・クー)に飲酒運転を装わせ殺害してしまう。
5年後、出所したザウを迎えたのは、ロクの娘でかつての恋人ユンウィン(ミッシェル・イエ)だった。出所祝いの乱痴気騒ぎの後、カムキョンたちが薬で眠っている間に、ザウは4人のスマホに盗聴システムを仕込んでいく。ハッカーのジョー(ダニエル・ウー)と組んで、4人の動向を監視するためだった。
一方、ジョーは息子と二人暮らしで懸命に働くワイ(ジョウ・シュン)と知り合う。彼女はユンの妻で、ユンの死後はカムキョンが家族の面倒をみていたが、ワイはカムキョンが渡したお金は一切使わず働いていた。ワイは他所からやって来たジョーに好意を抱く。
●アジコのおすすめポイント:
アラン・マック&フェリックス・チョンの『インファナル・アフェア』コンビによる盗聴シリーズ、『盗聴犯/死のインサイダー取引』、『盗聴犯/狙われたブローカー』に続く第3弾の登場です。それぞれ単独の作品となっており、役柄も違いますが、主演はラウ・チンワン、ルイス・クー、ダニエル・ウーの黄金トリオ。前2作では株の世界をとりあげていましたが、本作のテーマはずばり土地。不動産開発に絡む欲望と裏切りが、幼馴染みの男たちの間で展開していきます。舞台となる新海地区の丁権制度や強引な地上げ、地元住民との軋轢なども描かれており、変わり行く香港の歴史の一面をも写し取っているようです。スマホに盗聴システムを仕掛け、内容をハッキングするという今ならではの盗聴方法も興味深く、情報により陰謀が崩れ去っていく様は爽快。大女優のジョウ・シュンが低音で広東語を話し、化粧っ気もなく気丈に働く女を演じているところも新鮮です。劇中、5人の幼馴染みたちが突然歌い出す場面がありますが、エンディングロールではジョーイ・ヨンがその歌を歌っています。さて、最後に笑うのは一体誰なのか? 劇場でお楽しみください。
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