背徳の王宮(姦臣/The Treacherous)
story
燕山君(キム・ガンウ)が王位に就いて10年。古参の側近イム・サホン(チョン・ホジン)が王の元に血染めの衣を持参する。それは廃位の末に服毒死に追いやられた燕山君の母が最期に着ていた形見の品だという。今も母を恨む人間が宮中で暗躍していると知らされた燕山君は激高し、母を毒牙にかけた者たちを手当たり次第処刑した。
「甲子士禍」と呼ばれるこの粛正で誰よりも利を得たのは、自分の手を汚さずに敵を一掃した若き側近イム・スンジェ(チュ・ジフン)とその父のイム・サホンだ。忠臣の仮面をかぶってはいるが、実は腹黒い「姦臣」の父子が抱くのは「王を利用し、宮中の実権を握る」という野望だった。
燕山君は国政よりも色欲に溺れ、遊興三昧の日々。国家は存亡の危機に陥り、この暴政を倒して新たな王朝を築こうとする気運が高まっていた。深刻な王の乱心に好機をみたスンジェは、「王様のために1万人の美女を集め、1日に千年の快楽を享受できるようご準備いたします」と提言。王命のもとで、凄惨な女狩りが始まった。
全権を握っているのは「採紅使」に任命されたイム・スンジェとイム・サホン父子。家臣の妻や娘、妾まで強制的に差し出させ、金持ちになる機会と親をそそのかし、嫌がる娘を連れ去った。そんな中、スンジェは剣舞の見世物で、美しく妖艶な女ダニ(イム・ジヨン)に目を奪われる。彼女こそ、朝鮮最高の名器となる素質を秘めた逸材だった。
ダニは両班の娘とすり替わり、自ら宮中へと足を踏み入れる。彼女には秘めた理由があったのだ。一方、燕山君の寵妃チャン・ノクス(チャ・ジヨン)と重臣ユ・ジャグァン(ソン・ヨンチャン)はスンジェに対抗するため、野心家の芸妓ソル・チュンメ(イ・ユヨン)を呼び寄せる…。
●アジコのおすすめポイント:
燕山君の暴政を、彼を取り巻く姦臣を通じて描いた作品です。本作では特に「採紅使」だったイム・スンジェが「運平」集めをしたというエピソードにスポットが当てられており、そこまでやるかという衝撃シーンが続出。そんな中で生きる女たちのしたたかな強さも描かれます。『アトリエの春』のイ・ユヨンは見た目も演技も別人みたいな大胆さ! 燕山君といえば、『王の男』では演技派のチョン・ジニョンが演じていましたが、本作ではキム・ガンウが狂気の王を熱演。押さえた演技のチュ・ジフンと好対照をなしています。監督は『アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜』『僕の妻のすべて』のミン・ギュドン。燕山君の時代の赤裸々なドラマを、豪華絢爛な官能宮廷絵巻に仕立てました。
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