王の運命 −歴史を変えた八日間−
(思悼/The Throne)
story
一日目。王の命を奪おうとした罪で、世子(ユ・アイン)は英祖(ソン・ガンホ)に呼び出される。「父の命を狙った子を厳しく処罰する」と怒る英祖。自害を図ろうとする世子を家臣が止めに入り、米びつが運び込まれた。生きる気力と正気を失った世子は、自らその箱の中に身を折り入れる。フタが閉じられ、英祖がクギを打ち付けた。
二日目。不吉なことを忌み嫌い、他人への愛憎をはっきりと示す英祖は、反乱分子とみなした家臣たちを捕らえて処罰。勉学を捨てて奇行に走り、国王の命を危機にさらした世子に対しては「王位を剥奪し、平民に降格する」との決断を下す。これは、世子の生母・暎嬪(チョン・ヘジン)が孫サン(オム・ジソン)を守るためにとった苦肉の選択だった。
三日目。世子が蹴破った米びつから逃走し、「毒を飲ませろ」と荒れ狂う。追って来た家臣たちによって、再び米びつに戻されると、箱には縄が巻かれ、フタは芝で覆われた。父と子の関係がここまでに悪化したきっかけは、成人した世子に国政を学ばせるため「代理執政」を強行したことだった。
世子は父のために一生懸命政務を代行したつもりだったが、それが国政への考え方の違いを露呈させることになり、結局、重要な議論はまず英祖を通すことになった。世子は自分がお飾りの王子であることを思い知らされる。
四日目。耐えられない渇きのなか、義父が米びつに投げ入れた扇を広げた世子は、龍の絵を見て嗚咽する。それは、生まれたばかりの息子サンが王になる時に贈るつもりで、自ら描いたものだった。
五日目。世子が衰弱していくなか、家族や家臣たちの間で「世継ぎ」の議論が始まる…。
●アジコのおすすめポイント:
重厚な作品です。人気ドラマ「イ・サン」や、最近ではヒョンビンが主演した映画『王の涙 −イ・サンの決断−』をご覧になった方にはお馴染みの、米びつ事件(壬午士禍)を真正面から描き、事件が始まった日から、自ら手をかけた息子を追尊し「思い、悲しむ」という意味の「思悼」という贈り名を与えた8日目までがじっくり描かれます。父が息子を殺す…なぜ、こんなことになってしまったのか? その過程は7日間の合間に挿入されています。待望の世子ソンへの大きな期待。利発な少年時代を経て、武芸や芸術に才能を発揮するようになり、次第に乖離していく父と息子の思い。考え方の違いや、どうにもならない宿命、過大な父の期待が重圧となり、ソンは精神を病んでいくのです。この時代の流れ、感情の変化を、ユ・アインはストレートに、そして名優ソン・ガンホは声音を変えて演じ分けています。歴史になるべく忠実に描きたかった、と語るのは『王の男』『ソウォン/願い』のイ・ジュニク監督。ラストはソ・ジソブ演じる正祖となったイ・サンが、父の扇で舞うシーンで終わっています。この前代未聞の悲劇を、じっくりとご堪能ください。
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