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悲しみより、もっと悲しい物語

監督:ギャビン・リン
脚本:エルメス・ルー、ギャビン・リン
撮影:クワン・ブンリョン、ゲイリー・チェン
編集:ジアン・イーニン
美術:ヤオ・クオジェン
音楽:チェン・ジアンチー
主題歌:「ある悲しみ(有一種悲傷)」歌・A-Lin
出演:リウ・イーハオ、アイビー・チェン、アニー・チェン、ブライアン・チャン、エマ・ウー(グイグイ)、ハー・ハオチェン、ダーチン、シー・チーティエン、ヤオ・アイニン、A-Lin

2018年/台湾
日本公開日:2020年4月3日
カラー/シネスコ/106分
字幕:
配給:ハーク

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悲しみより、もっと悲しい物語
(比悲傷更悲傷的故事/More than Blue)

story

 レコーディング中の新曲が不満な歌姫のA-Lin(A-Lin)は、帰宅中に運転手が聴かせてくれた未発表のデモ曲に心を奪われる。「ある悲しみ」というその曲を歌っていたのは、Kと呼ばれていた音楽プロデューサーのチャン・チォカイ(リウ・イーハオ)。作詞はクリームことソン・イェンイェン(アイビー・チェン)だ。A-Linは運転手の紹介で、当時の二人を知るパン(ハー・ハオチュン)に会いに行く。

 二人が出会ったのは高校1年生の時だった。父を病気で亡くし、母にも棄てられたK(シー・チーティエン)は一人きりになり、身体を鍛えるためにいつも走っていた。そんな彼の前に突然、クリーム(ヤオ・アイニン)が現れた。彼女は吸っていたタバコをKに渡して逃げ、Kは先生に叱られてしまう。それ以来、Kは無邪気で明るい彼女に一瞬で恋をした。

 クリームも交通事故で両親を亡くしていた。境遇だけでなく、趣味も好きなものも同じ二人は、やがてKの家で一緒に暮らすようになる。お互いの名前をKとクリームに決めたのはクリームだった。大学卒業後、Kは音楽プロデューサーの道へ。クリームは作詞家として活動を始める。二人はかけがえのないパートナーとして時を重ねていた。

 しかし、二人の関係は友達以上恋人未満のまま、一線を越えることはなかった。Kはクリームのすべてを愛し、永遠に一緒にいたいと願っていたが、それは叶わぬ夢。彼は父親と同じ白血病に侵されており、余命僅かと知っていたのだ。クリームを再び孤独にさせたくない。彼は自分の想いを伝えることではなく、たとえ自分がいなくなっても彼女を幸せにしたいと願っていた。

 ある日「私が好きなら結婚して」と言うクリームに、Kは「僕じゃダメだ。仕事もお金もあって家族思いで健康な男と結婚して欲しい」と伝える。やがて、クリームは偶然知り合った歯科医のヤン・ヨウシェン(ブライアン・チャン)にアプローチを始めるのだが…。

アジコのおすすめポイント:

2009年にクォン・サンウ&イ・ボヨン主演で大ヒットした韓国映画『悲しみよりもっと悲しい物語』の台湾版リメイクです。尺はほとんど同じながら、この台湾版では出会った頃の高校生時代をシー・チーティエンとヤオ・アイニンというフレッシュな二人が演じており、韓国版ではさらっと曖昧に描かれていたラストシーンも大幅に変更されています。まったく同じ展開、同じ悲しみをあえてドライな演出でまとめた韓国版と、情緒たっぷりでウェットに描いた台湾版、どちらが好きかは好みが分かれるでしょうが、それぞれに見応えのある作品となっています。監督は細かい感情描写で定評のある「癒し系監督」ギャビン・リン。撮影に香港の名匠クワン・ブンリョンを迎え、繊細で鮮やかな映像も見どころ。主演のリウ・イーハオ、アイビー・チェンの確かな演技力で、釜山国際映画祭でのワールドプレミアをはじめ、台湾、中国で大ヒットを記録。香港、シンガポール、マレーシアでも2018年のアジア映画興行収入第1位に輝いています。アジコ的には久しぶりに見たダーチン(『セデック・バレ』)が、レコード会社の社長役を強烈な個性で演じていたのが印象的でした。

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