チャンシルさんには福が多いね
(チャンシルさんは福も多い/Lucky Chan-sil)
story
家なし、男なし、子供なしのアラフォー映画プロデューサー、チャンシルさん(カン・マルグム)。ずっと支えてきた映画監督が急死して、まさかの失職状態に。節約生活を始めるため、彼女は丘の上にある超不便な家の一間を借りることに。そこには入ってはいけない部屋があり興味津々。大家は変わり者の老婆ポクシル(ユン・ヨジョン)だった。
次は仕事だ。可愛がっていた年下の女優ソフィ(ユン・スンア)に相談していると、片付けられない彼女には家政婦が必要とわかり、お手伝いの職をゲットする。そんなある日、ソフィのフランス語の先生ヨン(ペ・ユラム)が現れ、彼女は心をときめかせる。小津安二郎を退屈だなんて、映画の趣味が合わないのが、ちょっと気にかかるけど… 。
ところが、揺れる女心を見透かすように、白いランニングシャツにボクサーパンツの男が突如現れた。どこかで見たような…あなたは誰?「レスリー・チャンです」と名乗るその男(キム・ヨンミン)はいつも幽霊のように現れ、チャンシルの弱った心をスッと癒してくれるのだった。
映画製作という、かけがえのない存在だった大きな福を失ったチャンシルに、それに代わる福が訪れることはあるのだろうか?
アジコのおすすめポイント:
ずっと支えてきた映画監督が急死して、突然職を失ってしまったアラフォーの女性プロデューサーが、新たな人生を模索する中で自分を見つめ直し、再び歩き始める様を丹念に追った人生ドラマです。フランスで映画を学び、ホン・サンス監督の元でプロデューサーを務めていたキム・チョヒ監督が、自身の体験をもとに脚本を書き長編デビューを飾りました。人生に突然訪れたエアーポケットのような時間をどう過ごすか。たまにはゆっくり休むことも大切なんですね。コロナ禍の今、緊急事態宣言で時間ができた人はそう思って過ごすと有意義な時間になりそう。主演は舞台女優として活躍していたカン・マルグム。本作で多数の新人女優賞を受賞しています。そんな本作で注目したいのが、主人公を癒す存在。なんと『欲望の翼』のレスリー・チャン姿で登場するキム・ヨンミンです! 最近ではドラマ「愛の不時着」の耳男として知られているそうですが、アジコが最初に認識したのはキム・ギドク監督(ご冥福をお祈りします)の『春夏秋冬そして春』。以来、ギドク作品に多数出演する個性派俳優と思っておりました。でも、一番好きなのはキム・ヘスクと共演した『ビバ!ラブ』のヨンミンさんです。
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