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親愛なる君へ

監督:チェン・ヨウチェ
脚本:チェン・ヨウチェ
撮影:チャン・ユーハン(流星)
編集:チェン・シャオドン、チェン・ヨウチェ
美術:ホアン・ミンレン
音楽:フラン
出演:モー・ズーイー、チェン・シューファン、バイ・ルンイン、ジャック・ヤオ、ジェイ・シー、シエ・チョンシュアン、ウー・ボンフォン、シェン・ウェイニエン、ワン・カーユエン

2021年/台湾
日本公開日:2021年7月23日
カラー/シネマスコープ/5.1ch/106分
字幕:
配給:エスピーオー、フィルモット
© 2020 FILMOSA Production
2020年 台北映画祭 主演男優賞(モー・ズーイー)
2020年 台湾金馬奨 主演男優賞(モー・ズーイー)/
 助演女優賞(チェン・シューファン)/
 オリジナル音楽賞(フラン)
2021年 台湾映画評論家協会奨
 主演男優賞(モー・ズーイー)
親愛なる君へ(親愛的房客/Dear Tenant)

story

 リン・ジエンイー(モー・ズーイー)は刑務所で裁判を待っていた。薬物使用と殺人容疑で収監されているのだ。彼に何が起こったのか?

 旧正月。ジエンイーは年越しのご馳走の用意で忙しい。息子のワン・ヨウユー(バイ・ルンイン)が様子を見にやってくる。「叔父さんに挨拶したか?お年玉をくれるぞ」テーブルにはヨウユーの祖母チョウ・シウユー(チェン・シューファン)と中国から帰省したワン・リーガン(ジェイ・シー)が座っている。一家団欒の食卓。

 リーガンは一緒に食べようと誘ってくれたが、ジエンイーは遠慮して屋上にある自分の部屋に戻っていった。この家は、亡きパートナー、ワン・リーウェイ(ジャック・ヤオ)の家で、ジエンイーは間借人だった。リーウェイは前妻との息子ヨウユーを引き取り、ジエンイーと二人で育てていたが、山の事故で亡くなってしまったのだ。

 ジエンイーはリーウェイの家に留まり、重い糖尿病で介護が必要なシウユーと幼いヨウユーの面倒をみていた。それが残された自分の責任であり、リーウェイへの弔いになると信じていたからだ。シウユーは二人の仲を受け入れていないが、病気のこともあり彼に頼らざるをえなかった。

 ところが、シウユーが半年後に急逝してしまう。葬儀の後、リーガンは家の権利書がヨウユー宛になっていたことと、ヨウユーがジエンイーの養子になっていたことから、財産目当ての殺人ではないかと不信感を抱く。遺体は再検査され、薬物の過剰摂取が認められた。

 警察のグオ(ウー・ボンフォン)とシャオツァイ(シェン・ウェイニエン)が捜査した結果、ネット市民(ワン・カーユエン)と名乗るドラッグ売人とのつながりが見つかる。彼の証言で、ジエンイーは逮捕された。しかし、ジエンイーは法廷で一切弁明をせず、罪を認めた。女性検察官のチャン(シエ・チョンシュアン)は、沈黙しているヨウユーの様子から疑念を抱く…。


アジコのおすすめポイント:

親子愛と亡きパートナーへの想いが痛切に迫るヒューマンドラマです。主人公は今は亡き同性パートナーが遺した少年と介護が必要な母親の面倒を彼に代わってみるために、もともと間借りしていた彼の実家にそのまま住み続けています。実の息子(彼の弟)は中国にいて、たまにしか帰って来ない。母親は同性愛を認めていないけれど、主人公の人柄は理解しており、やっと親子関係ができあがってきた矢先に事件が起こります。主人公は何を守ろうとしているのか。過去の出来事や彼の葛藤、事件の真実が、徐々に明かされていきます。難しい役柄を演じたのはモー・ズーイー。本作のチェン・ヨウチェ監督による『一年の初め』(06年)から14年、もうお父さん役が演じられる年齢になったのですね。その演技力はますます深みを増し、見事、昨年の台湾での主演男優賞を総ナメしました。数々の台湾映画やドラマに出演しているベテラン女優、チェン・シューファンも本作で金馬奨助演女優賞に輝いています。日本語も堪能なチェン・ヨウチェ監督とは5年前、『太陽の子』でインタビューをさせていただいたのですが、5年ぶりにまたまた素晴らしい作品を届けてくれました。コロナでなければ、主演のモー・ズーイーと一緒に来日してくれていたことでしょう。残念だなあ。


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