偽りの隣人 ある諜報員の告白
(お隣さん/Best Friend)
story
1985年、イ・ウィシク総裁(オ・ダルス)は金浦空港に降り立つ。3年ぶりに、亡命先のアメリカから帰国したのだ。だが、空港で荷物を待つ間に拉致され、自宅に軟禁される。大統領選への出馬を阻止するため、国家安全政策部のキム室長(キム・ヒウォン)たちが企てた陰謀だった。
キム室長は側近のドンヒョク(チ・スンヒョン)と相談し、イ・ウィシクを共産主義者に仕立てあげて抹殺しようと考える。その任務に選ばれたのは、愛国心は強いが今は釜山に左遷されているユ・テグォン(チョン・ウ)だった。彼らはテグォンを訪ねて大金を渡し、ウィシクの隣の家の監視チーム長に任命する。
人のいいテグォンは張り切って隣家に乗り込む。先にいた二人(キム・ビョンチョルとチョ・ヒョンチョル)のだらしなさに呆れたテグォンは、家のカーテンや配置、家具をウィシクの家と同じものに替えさせ、なるべく自然を装って盗聴と監視を始める。
しかし、ウィシクは民主政党の総裁として人望もあり人気の高い男。家族も大切にしており、共産主義を匂わせる証拠はなにも掴めない。「ジュンのお父さん」というラジオネームで人気歌手ナミの「クルクル」を4回もリクエストしており、家族でラジオを聴くのを楽しみにしていた。
やがて、屋上や壁の修理時に顔を会わせるようになり、お隣さんとして交流することに。盗聴時に一家がガス中毒になりそうになると、つい助けてしまう。怒ったキム室長は、ウィシクを工作員に仕立てるようテグォンに命じるのだが、ウィシクたちと過ごし、彼の人柄に触れるうちにテグォンの信念が揺らいでいく…。
アジコのおすすめポイント:
自宅軟禁されている政治家一家と彼らを監視することになったお隣の諜報員の交流を描く、ヒューマンサスペンスドラマです。1985年にアメリカから帰国後、自宅軟禁された政治家といえば、日本との関係も深く後に大統領になる金大中氏。ストーリーはフィクションですが、度重なる政権交代や民主化運動の歴史を持つ韓国ならではの題材を、『七番房の奇跡』のイ・ファンギョン監督が心温まるヒューマンドラマに仕上げました。主演は自粛期間を経て約2年ぶりに俳優復帰したオ・ダルスと『『レッド・ファミリー』のチョン・ウ。目的のためなら手段を選ばない非情な国家安全政策部の上司をキム・ヒウォンが演じています。お隣のスパイをとりこにする娘で美人大学生を演じるのはイ・ユビ(女優キョン・ミリの娘さんです)。そのほか、個性派俳優がそろっています。前半はやや緩いコメディタッチですが、主人公たちに危機が迫る後半はシリアスに展開。さあ、彼らの運命はどうなるのか? スクリーンでお確かめください。
|