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2019年、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」の撤回を求めて香港で大規模なデモが行われ、そのうねりは民主化を求める若者たちを中心とした運動へと発展していく。カメラはその最前線をとらえ、約180日間の壮絶な運動を多面的に描く。
「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」など五大要求を掲げ、香港人口の約3割、約200万人(主催側発表)が運動に参加。10代から30代の男女を中心に、中には若者を救いたい70代の高齢者もいた。警察との衝突は徐々に激しくなり、犠牲者が出れば考えが変わるかもと、遺書を残して自らの命を犠牲にする人々も現れた。
「光復香港、時代革命」「香港人、加油」と声を上げて抗議する若者たち。立法会の占拠、地下鉄駅での激しい攻防、水のようにあふれては引いてくリーダー不在のデモ、香港中文大学、そして香港理工大学での篭城戦と敗北。増える逮捕者、香港を離れる人々。運動は逃亡犯条例改正案の撤回を勝ち取ったが、2020年の夏に、より強圧的な香港国家安全維持法が施行され、その声は封じられる。
本編は、最前線で運動に参加した若者や、救護隊として関わった若者、メディアとして関わった人、公務員、政治家など、それぞれが当時の心境を語り、これからを考える証言と当時の映像が組み合わされて進行する。運動初期の熱気と高揚感。激化する警察の蛮行。遠巻きに見守る大人たち。絶望と共に、それでも諦めない未来への希望も描かれている。
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