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時代革命

時代革命(時代革命/Revolution of Our Times)

監督:キウィ・チョウ
出演:(no credit)

2021年/香港
日本公開日:2022年8月13日
カラー/シネマスコープ/DCP/5.1ch/158分
配給:太秦
©Haven Production Ltd.
2021年 カンヌ国際映画祭
 スペシャル・スクリーニング
2021年 台湾金馬奨 最優秀ドキュメンタリー賞
2021年 東京フィルメックス
 スペシャル・スクリーニング  

poster


story

 2019年、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」の撤回を求めて香港で大規模なデモが行われ、そのうねりは民主化を求める若者たちを中心とした運動へと発展していく。カメラはその最前線をとらえ、約180日間の壮絶な運動を多面的に描く。

 「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」など五大要求を掲げ、香港人口の約3割、約200万人(主催側発表)が運動に参加。10代から30代の男女を中心に、中には若者を救いたい70代の高齢者もいた。警察との衝突は徐々に激しくなり、犠牲者が出れば考えが変わるかもと、遺書を残して自らの命を犠牲にする人々も現れた。

 「光復香港、時代革命」「香港人、加油」と声を上げて抗議する若者たち。立法会の占拠、地下鉄駅での激しい攻防、水のようにあふれては引いてくリーダー不在のデモ、香港中文大学、そして香港理工大学での篭城戦と敗北。増える逮捕者、香港を離れる人々。運動は逃亡犯条例改正案の撤回を勝ち取ったが、2020年の夏に、より強圧的な香港国家安全維持法が施行され、その声は封じられる。

 本編は、最前線で運動に参加した若者や、救護隊として関わった若者、メディアとして関わった人、公務員、政治家など、それぞれが当時の心境を語り、これからを考える証言と当時の映像が組み合わされて進行する。運動初期の熱気と高揚感。激化する警察の蛮行。遠巻きに見守る大人たち。絶望と共に、それでも諦めない未来への希望も描かれている。


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アジコのおすすめポイント:

昨年の東京フィルメックスで初めて観た『時代革命』が、ついに公開となりました。試写会で観た時に、ちょっと印象が違う感じがしたのですが、昨年上映されたのと同じバージョンとのこと。(その後、取材をされたシネマジャーナルさんに確認していただきました)ただ、顔のぼかしが増えたり、字幕の手直しなどはあったようです。当時から時間も経ち、状況も常に変化している今だからこそ、修正を余儀なくされた部分もあるでしょう。2度目だからかもしれませんが、実際に運動に関わった人々がクローズアップされ、よりわかりやすくなった気がします。それにしても、まさに現場に居合わせたかのような臨場感に溢れるドキュメンタリー。警官隊との衝突は怖いし、暴力への痛みや恐怖も伝わってきます。催涙ガスや散水車で巻かれる液体の痛みもリアルに伝わってきます。そんな中へ飛び込んでいく若者たちの勇気と原動力とは何か? 考えずにはいられません。一歩引いているような大人たちも、目の前で若者が暴力をふるわれたり、銃で撃たれたりすれば、皆でよってたかって抗議しています。現場でないとわからないリアル、ニュースだけでは伝わってこない真実がしっかりと写し出されています。たとえ結果が絶望に終わったとしても、この記録はとても貴重なもの。見て、感じて、考えることができるドキュメンタリーです。画面に釘付けになり、158分はあっという間。ぜひ、劇場で体感してください。

監督は『ある複雑なお話(一個複雑的故事)』(2014年の大阪アジアン映画祭で上映)『十年』(2017年に日本公開『夢の向こうに(幻愛)』(2021年に香港映画祭2021で上映)のキウィ・チョウ(周冠威)。自らカメラを持って現場に飛び込み、今もなお危険を感じならがら香港に留まっている監督の勇気に深い敬意を表します。監督からのメッセージもご覧ください。

ドキュメンタリーは大きい事件を記録すると同時に、抗争者の小さな話を記録している。この運動ではリーダーがいない。世界でも珍しい抗争である。一人ひとりにとって大きな意義を持つ運動で、全員が勇者である。このドキュメンタリーを通じて、覆面で彼らの顔が見えなくても、前線で運動する者たちの言葉を聞き、彼らの心に入り込むことができる。彼らの勇敢で繊細な魂を見せられる。2019年香港人は「逃亡犯条例」に抵抗し、2020年政権はより刑罰が重い「国安法(香港国家安全維持法)」を立法。監視下の中で、被取材者は覆面し、制作チームは名前を伏せざるを得なく、常に恐怖に晒されている。放映場所も監視されており、これは香港公開できない映画。ドキュメンタリーに出ていた被取材者は、連絡が途絶えた者、海外に流亡した者、刑務所に入れられた者がいる。香港人の犠牲は大きかった。私は監督して、リスクを背負って、抗争を記録するのが責任だ。我々は時代に選ばれたのではなく、我々が時代を変えることを選んだのだ。(キウィ・チョウ)

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Photo by Cheng Wai Hok
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写真提供:Alex Chan Tsz Yuk

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