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story
中国四川州の首都、成都。医者を目指しながら、看護師として働くアン・ラン（チャン・ツィフォン）に、思いがけない事件が起こる。両親が車の事故で亡くなり、実家に戻って初めて会った6歳の弟アン・ズーハン（ダレン・キム）を育てなくてはならなくなったのだ。
アン・ランは高校を卒業後、家を離れて独立していた。一人っ子政策の時代、男子が欲しかった父親に疎まれ、両親は娘を障害者と偽って「第1子に障害があり第2子を希望」と当局に提出。さらに、大学受験では医学部志望だったのを父親が勝手に看護科に変更していたのだ。
両親とはすっかり疎遠になっていたが、事故の直前、父親はアン・ランに何度も電話をかけていたという。それで警察から連絡があったのだった。運転手だったチョン・ヨン（アン・ボーウェン）の飲酒運転も疑われたが、原因は父の心臓発作らしい。心臓病だなんて知らなかった…。
葬儀の席で、伯母（チュウ・ユエンユエン）一家も叔父（シャオ・ヤン）も、姉が弟の面倒をみるべきだと主張。だが、恋人（リャン・ジンカン）と北京の大学院へ行く目標のあるアン・ランには受け入れ難い。やむなく、養父母が見つかるまで、実家で一緒に暮らすことにする。だが、わがままいっぱいで育ったズーハンは腕白で手に負えなかった。
朝から肉まんをねだって駄々をこねたり。冷たくすると、わざと窓から落ちたり。手当をした病院の帰り道、おんぶすると「ママと同じ匂いがする」と甘える。駅のトイレに置き去りにしようとしたこともあったが、泣き叫ぶズーハンを見て後悔した。「嘘をつくと鼻が伸びるよ」笑う二人。
次第にアン・ランはズーハンと対等に話すようになり、愚痴を言うこともあった。利発なズーハンは言っていることがわからなくても、何かを感じ取っていた。そんなある日、同じ幼稚園のヤーヤー（ヤン・ユートン）の父親でもあるチョン・ヨンが、子どもを探している一組の夫婦を紹介。誠実で優しそうな夫婦に好感を持つのだが…。
アジコのおすすめポイント：
突然現れた弟と将来の夢の間で葛藤する若い女性を描いたヒューマンドラマです。中国では人口増加を抑えるため、1979年から2015年まで一人っ子政策をとっていました。夫婦別姓ではあるものの、家父長制、男尊女卑が根強い中国社会では、男子を持つことが最重要課題だったんですね。そんな社会で傷つきながら生まれ育った、自立心の強い女性が主人公。『再見、少年』(20年) で長編デビューした新鋭女性監督イン・ルオシンと、『妻の愛、娘の時』で金像奨脚本賞を受賞し、監督とは同期で親友でもあるヨウ・シャオインが、同時代を生きる女性の視点からがっつりと描き、ハリウッド大作を抑えてメガヒットを記録。若者を中心に共感と感動を呼び、昨年の中国映画界に衝撃を与えました。主演は新世代スターのチャン・ツィフォン（『チィファの手紙』）。腕白で愛らしい弟を、これが演技初経験のダレン・キムが演じています。コロナ禍のオーディション動画で選ばれたダレン君は、撮影当時5歳！今や天才子役として注目されております。子どもながらに姉を理解し、大人をよく観察している健気な弟を見事に体現。泣かされます。だらしない叔父役を演じたのは『共謀家族』のシャオ・ヤン。伯母役のチュウ・ユエンユエンと共に、助演陣の確かな演技も本作を支えています。爽快なラストまでじっくりとご堪能ください。
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