story
田舎から都会へ出てきたフェイ(クー・チェンドン)は、仕送りをするため男娼として働き始める。初めての仕事先で、華やかな先輩のシャオレイ(リン・ジェーシー)と出会った。二人はすぐ恋に落ち、フェイはシャオレイの部屋で同棲を始める。
フェイの客にやばい奴がいた。シャオレイはわざとフェイを呼び出し「あいつはやめておけ」と逃げるよう勧めるが、「君と違って僕は客を選べない」と拒否。翌朝、朝食を買って戻ってきたフェイは傷だらけになっていた。
シャオレイは朝食を食べているその男を見つけ、棒で叩きのめす。ところが男の子分たちがやって来て、シャオレイを徹底的に傷めつけた。部屋に警察がやって来たのを見たフェイは、捕まるのを恐れて逃げ出してしまう。
5年後、フェイはほかの街で男娼として成功していた。優雅な部屋で暮らし、高い客をとる。だがある日、おとり捜査で警察に踏み込まれたため、しばらく
故郷に帰省する。姉のホン(クロエ・マーヤン)はフェイを優しく迎え、いつも気にかけてくれていた母親の墓参りにもいった。
だが、父親(フー・レイ)は呑んだくれ、祖父(リン・イーション)は認知症で寝込んでいる。親戚が集まって食事をするが、皆、同性愛者であるフェイを一族の恥と蔑んでいた。祖父の病気も自分のせいだという。いたたまれず街へ戻るフェイを、昔から彼を兄のように慕っていたロン(バイ・ユーファン)が追ってきた。
金を稼ぎたいというロンに、フェイは食堂の仕事を紹介するがうまくいかない。彼はフェイに憧れていた。「自分を売ったら見下される。生涯、親不孝だ」と説得するが、ロンは諦めず、男娼仲間にも気に入られ、一緒に暮らすことに。しかし、祖父の葬式には二人とも呼ばれなかった。
そんなある日、フェイはシャオレイを見かけ…。
アジコのおすすめポイント:
実家の家計を助けるために男娼になった青年が、自分のアイデンティティに揺らぎながら生きて行く様を描く人間ドラマです。愛した人を見捨てて逃げ出し、実家に尽くしても親族からは蔑まれ、自分を慕う同郷の若者さえも傷つけてしまう。彼はどこに行くのか…。昨今、流行りのBLものというよりも、そういう生き方しかできなかった男の内面に迫る文芸作品の趣。映像も美しく、繊細な構図にセンスが光ります。監督は、中国で生まれオーストリアで育ったC.B. YiことChen Bo Yilin(陳熠霖)。ミヒャエル・ハネケ監督のもとで映画を学び、長編デビュー作となる本作では自身のルーツである中国を舞台にしていますが、国籍や人種に囚われない映画作りを目指しています。
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