story
コロナ禍の香港。ピーターパン・クリーニングの経営者ザク(ルイス・チョン)は、重装備で室内消毒をしていた。閉店や倒産が相次ぐ中、かろうじて仲間(チュウ・パクホン)たちと頑張っているが、人手が足りず腰も痛めている。車も故障し買い替えを勧められるが、資金がなく仲間から車を借りることにした。
独身のザクは、リウマチで寝たきりの母親(パトラ・オウ)と二人暮らし。競馬好きの母親とレースをテレビで見ながら食事する日々。だが、なかなか賞金は当たらない。夜中に近所の親子がビラをはがして遊び回る様子を窓から眺め、癒されていた。
そんなある日、その母親キャンディ(アンジェラ・ユン)が求人広告に応募してきた。彼女はシングルマザーで、同じアパートに7歳の娘ジュー(トン・オンナー)と二人で暮らしている。不安はあったが、ザクは3日間の試用期間を設ける。張り切って仕事を覚えようとする姿にほだされるが、たまたまコンビニで万引きする姿を見てしまう。
2度とやらないとキャンディに約束させたザクは、彼女を雇うことにした。だが、お金持ちの住人の部屋を清掃中、新品マスクの箱が大量にあるのを見たキャンディは、娘のためにくすねてしまう。いつも洗ったマスクを使いまわしているのだ。清掃後、住人に指摘されザクは顧客を失う。
一度はクビにしたものの、彼女の境遇に同情したザクは給料アップで再雇用することに。今度はキャンディも期待に応え、ホテルの清掃中にジューが客の忘れ物を見つけたこともあり、さらに昇給。誕生日には仲間たちとのいつもの鍋パーティにキャンディ母娘を誘い、皆は二人が一緒になればいいと冷やかした。難しい消毒の仕事も教え、徐々に戦力になっていくキャンディ。
ザクが光触媒効果のある洗剤が品薄で困っていると、キャンディが薄めて使うことを提案。誠実なザクは難色を示すが、嘘ではないからと言われ妥協する。そんなある日、ザクの母親が亡くなり、葬儀で仕事ができなくなる。その間、キャンディが仕事を引き受けるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
コロナ禍の香港を背景に、身体を傷めながらも清掃業に励む青年と、子育ても夢も諦めていない若いシングルマザーの出会いを通じて、人に共感し温かく見守ることの大切さと、どんな境遇でも生きて行く逞しさを描いたヒューマンドラマです。清掃業から見えてくるのは、社会的弱者の境遇、孤独死の現場、貧富の差。母親の介護問題もあり、まっとうに生きていても報われない孤独な男の叫びがリアルに迫ります。一方、日本のアニメファンでコスプレイヤーでもある若い母親は、悪知恵を働らかせて明るく気丈に生きているけれど、心の中はいっぱいいっぱい。そんな二人が出会い、家族の温かさと働くことの大切さを知り、挫折しながらも前へ進んで行くところが感動的。様々な苦しさを経験し、人の優しさに救われたことのある方なら、深く心に刺さる作品です。
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