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ジガルタンダ・ダブルX

ジガルタンダ・ダブルX(Jigarthanda Double X)

監督:カールティク・スッバラージ
脚本:カールティク・スッバラージ
撮影:ティル
編集:シャフィーク・ムハンマド・アリ
音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン
出演:ラーガヴァー・ローレンス、S・J・スーリヤー、ニミシャ・サジャヤン、イラヴァラス、ナヴィーン・チャンドラ、サティヤン、ヴィドゥ、カピラ・ヴェーヌ

2023年/インド
日本公開日:2024年9月13日
カラー/タミル語/172分
字幕:矢内美貴、加藤豊
協力:ラージャー・サラヴァナン
配給:SPACEBOX
©Stone Bench Films ©Five Star Creations ©Invenio Origin

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poster


story

 1973年、コンバイの森。就任したばかりの警察官ラトナ(ナヴィーン・チャンドラ)が殺された象を調べている。象牙を密猟しているシェッターニ(ヴィドゥ)の一味の仕業だ。森では部族や森林警備隊が大勢殺されていた。だが、ラトナはマリファナを吸いながら、関係のないカーナガル村の住民を逮捕する。彼は部下も恐れる極悪警官だった。

 マドラスの大学。警部補に内定したキルバイ(S・J・スーリヤー)が、恋人ルルド(シーラ・ラージクマール)に会うためにやってくる。正式に警部補になったらプロポーズする予定だ。血を見るのが怖いキルバイだが、勇気を出して学生の喧嘩の止めに入った。ところが、気絶している間に学生殺しの現行犯で逮捕される。凶器を持っていたのだ。

 1975年、人気映画俳優のジャヤコディ(シャイン・チャーム・チャッコー)は次期州知事になる気満々だったが、州知事(カピラ・ヴェーヌ)のお気に入りはカールメガム(イラヴァラス)。彼には4人のギャングがバックについている。兄の嘆きを知り、弟のラトナは殺人初犯で警察に復帰したい囚人4人を選び、4人の殺害を計画。キルバイは、マドゥライにいる最も凶悪なジガルタンダ極悪連合のボス、アリアス・シーザー(ラーガヴァー・ローレンス)を任される。

 シーザーはクリント・イーストウッドを崇拝し、専用劇場まで作っている。今は俳優になろうと、監督と脚本家を募集中。キルバイは映画業界で働く甥のドゥライ(サティヤン)を説得し、二人でマドゥライへ乗り込む。そしてサタジット・レイ監督に学んだレイ・ダースと名乗り、ドゥライの機転で『ゴッドファーザー』の話を展開。タミル語映画界初の色黒ヒーローのギャング映画を作ることになる。

 脚本作りのヒアリングで、シーザーが少年時代の1960年、ロケに来ていたクリント・イーストウッドを助けたことから、帽子とおもちゃの銃を貰ったことを知るが、その銃は8ミリカメラだった。「良作はおのずから生まれる」脚本もないまま、そのカメラで撮影を始める二人。目的はシーザーの殺害だが、キルバイは映画撮影の魅力を実感していた。

 そして、シーザーの身重の妻マラヤラシ(ニミシャ・サジャヤン)の話から、彼が極悪人になった理由を知る。そこには郷里カーナガル村での、象との悲しい出来事があった。殺害の期日が迫る中、映画撮影は誰も予想できなかった方向へと展開していく…。


アジコのおすすめポイント:

気の弱い元警官と極悪ギャング団のボスが映画を通じて出会い、彼らの作った映画がやがて社会を変えていく変化球アクションコメディ&社会派ドラマです。監督はタミル語ニューウェーブ映画の鬼才と称されるカールティク・スッバラージ。2014年の『ジガルタンダ』から9年目となるシリーズ第2弾ですが、前作はギャングスター・ミュージカルになっており「ギャング対映画監督」という構図以外はあまり関連性がありません。2024年のインディアン・ムービー・ウィーク・パート1でこの前作『ジガルタンダ』と共に上映されて熱狂的な支持を受け、「映画を愛するすべての人に観てほしい」というファンの声に押されて全国公開となったのが本作。主演は超売れっ子ダンス振付師から監督、さらに俳優へと転身したラーガヴァー・ローレンスと、ヒット作を連発していた監督から性格俳優に転向したS・J・スーリヤー。クセ強の2人ですが、日本ではあまり知られていないので、最初は誰が主人公なのかもわからず混乱するかも。30分くらいまでは、何がどうなるのか?コメディなのか?アクションなのか?主人公は誰?と逡巡。「ああ!映画の話か」と腑に落ちたところで、やっと展開が見えてくるのですが、これが単純な暗殺ドタバタ劇に終わらず、なんと森や象、部族、政治問題までに発展するシリアスな展開に。台湾の『セデック・バレ』をも彷彿とさせる荘厳な方向へ向かっていくのです。この映画で涙するとは!! ボスの妻役を演じるのは『グレート・インディアン・キッチン』のニミシャ・サジャヤン。彼女の存在がまたいいのです。終わってみれば、最初から最後まで伏線だらけで、最後に見事回収されていきます。チャンドラン監督、ありがとう! 3時間の大作ですが長さは感じません。むしろ、もう一度見直すとより深く理解できるでしょう。映画ファンは必見。そして…あ、映画の最後に「X」が3つある!

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