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娼生

娼生しょうふ(鳳姐/A Girl Out of the Country)

監督:ブルース・チウ
脚本:ワン・チェンチン
撮影:ツァイ・ミンハン
編集:グー・シャオユン、フー・ヤンホア
美術:フォ・ダーホア
音楽:ルー・チェン
主題歌:「鳳凰」歌・ジーン・カオ
出演:ジーン・カオ、ホアン・グァンジー、タン・チュンハオ、ツァイ・ジアイン、マー・フェイシー、シュー・ナイハン、マイ・ユートン

2023年/台湾
日本公開日:2025年5月23日
カラー/シネスコ/5.1ch/100分/PG12
字幕:加藤郁江
配給:ライツキューブ
©2023 Cao Cao Entertainment Ltd., Speeding Rocket Co., Ltd., Mazoo Digital Imaging Ltd. TAICCA.

poster

story

 1982年、フォン(ジーン・カオ)は5年ぶりに郷里の花蓮へ戻ってきた。バスでは、かつて憧れたスター歌手ラン・ジュンジュンの歌が流れている。実家に着くと、幼い弟が認知症になった祖母の面倒をみている。弟は「歌手になって帰ってくる」という姉の言葉を信じているが、母はそのせいで祖母が病気になったと叱る。フォンはいたたまれず、ポストにお金を入れて台北へ戻っていった。

 5年前、歌が得意だったフォンは歌手を夢見て、友人たちと夜中に家出した。台北で夢を叶えるはずだったが、彼女たちは騙されて日本へ。娼婦として売られたのだ。フォンはなんとか抜け出して台北へ戻り、仕事に就こうとしたがどこも続かない。結局、元いた飲氷茶館へ戻って来た。日本人客を相手にする売春宿だ。

 女主のチウ(ツァイ・ジアイン)は「せっかく抜けられたのに戻ってくるなんて…」と呆れるが、日本語の話せるフォンがいると助かる。店は繁盛しており、見回り担当の警察官が遊びに来ることもある。ピン(タン・チュンハオ)はフォンが家族に送金していることを知っており、フォンの馴染み客となり、なにかと助けてくれた。

 15年後、弟のユーミン(ホアン・グァンジー)は新米警察官として台北に住んでいた。看護師の恋人と同棲しており、官僚になったら結婚するつもりだ。ユーミンは台北で姉の消息も探していた。その頃、売春禁止法が制定され、公的売春宿は営業できなくなる。モグリの売春宿は摘発を免れていたが、取調べに行くことになり、ユーミンは先輩ピンに連れられ、初めて飲氷茶館へ行く…。

 ユーミンはフォンが姉と気づくが、フォンは認めようとしなかった。その頃、飲氷茶館に16歳の少女(マイ・ユートン)が連れられて来る。田舎から出てきたところを騙され、売られたのだ。フォンが世話をすることになるが…。

アジコのおすすめポイント:

今から40年ほど前、台湾でまだ人身売買や児童売春などが横行していた時代のお話です。警察も見て見ぬふりをしていた当時の様子を徹底的に調査し、ドキュメンタリーも取材して実話を元に脚本を作り、映画化したのが本作。ロサンゼルスを拠点に活躍するブルース・チウ監督が、政府による取り締まりが強まる前後のセックスワーカーの実態を繊細に描いています。おりしも大河ドラマ「べらぼう」は江戸時代公認の春街であった吉原が舞台。そこで花開いた本や浮世絵文化が主役ですが、女郎たちの苦労も描かれています(本作で姉が騙されて日本で働かされたというシーンには、あの有名な葛飾北斎の春画が襖絵に!)。台湾での公認娼館を描いた作品だとニウ・チェンザー監督の『軍中楽園』がありますが、本作はそれよりも後、近代のしかも犯罪者が関わっているようなモグリの売春宿のお話。そこに身を落とす人々には、様々な背景があったことでしょう。本作では、主人公となる姉と弟の絆が主軸。姉が過去を思い出して我に返り、勇気を出して不正を告発することで救われていくまでをじっくりとご覧ください。主演は台湾ドラマ界の女神と呼ばれているジーン・カオ。弟役は注目の若手演技派ホアン・グァンジー。親切な先輩刑事をベテランのタン・チュンハオが演じます。エンディングロールで流れるのは、ジーン・カオが歌う主題歌「鳳凰」です。

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