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ASICRO FOCUS file no.8

『LOVERS』来日記者会見 in Tokyo

●アクションについて

質問「今回のアクションはCGを効果的に使用していますが、どのようなアクション演出をされたのでしょう? 特に苦労したシーンはどこでしょうか?」

トニー「この映画は前作の『HERO』とはまったく違う映画です。『HERO』の場合、我々は物語の中の物語を語って行く手法を使っていますが、今回の映画は人間と人間の感情という部分を描く物語なので、監督の要求はアクションの方向性に現実味を持たせなければいけないということで、私の方で一生懸命考えました。監督が最も注文をつけたのは、この映画の中で一番大事なのはアクションより芝居だということです。」 トニー・チン・シウトン

「たとえば、雪の中のシーンですけど、どういう風に考えたかというと、あくまでも二人の男性がある女性を巡る闘いとなるので、いかにもアクションの技を見せるというよりは、むしろ二人の感情部分の表現に注目しました。映画をご覧になった時には、二人のアクションというよりも、二人の役者の顔の表情をじっくり見ていただければわかると思います。」

「一番大変だったのはウクライナでロケをした時です。現地では天候の変化が非常に激しくて時間もありません。ときどき晴れ、ときどき雨、しばらく雪。雪かと思ったら、今度はその雪がなくなってしまう。こういう天候条件の元では、撮影できる時間もなくなってくるので一番大変でした。俳優も大変だったと思います。本物の剣や刀、槍を使って立ち回るシーンを見せなければいけない訳で、非常に危険性を伴います。幸い大きな怪我にはならなかったけど、どなたも多少の怪我をされたのではないかと思います。」

アンディ・ラウ アンディ「撮影に入る3ヶ月前から監督についてアクションの稽古をしまして、基本武道は全部習いました。なので、現場に行って、実際にこういう風にしてとかああいう風にするとか、時間をかけてアクションを作るのではなく、どちらかというとこれまでのアクション映画と違って、現場ではお芝居を大事にしました。アクションの方はある程度予習ができていたので、芝居の方に集中してやれました。」

チャン「私も撮影前に2ヶ月くらいアクションの稽古をしました。先生はアクション監督のお弟子さんで、わざわざ北京に飛んで来ていただいて教えていただきました。今までの映画でも刀とか二刀流、剣など武器を使って撮影したことはあるんですが、今回は初めて武器を使って歩いて撮影することがありました。でも練習する時はなかったので、実際に撮影する時はけっこう重さが違うと思いました。アクション監督は非常に私たちを守ってくれるので、そんなに難しくはないけれど、結構重さは感じました。」 チャン・ツィイー

金城「僕は苦労しました!(笑)1ヶ月くらい基本の型やさばき方を、中国武術の方が来て、普通に多分みんな仕種が違ってて、それの細かい違いの基本だけを1ヶ月くらい練習しました。それで6ヶ月の練習の時に、映画の中でやるシーンを練習しちゃいけないかなあという気持ちで練習しようとしたんだけど、それはぜんぜん考えられなくて、しょうがないから基本を一生懸命やって。で、現場に行くと監督がいらして、立ち回りでも『これはこういう風にやるんだよ』と技をあみ出して、その場で立ち回りを練習して撮るんです。その天候の変化の時間内に。僕は多分、3人の中で一番スムーズに動けなくて、そうとう苦労しました。」

金城武 「で、やっぱり一番、僕にとって難しかったのは、役者同士が切り合うのが一番嫌いなんですよ。向き合ってやるのが一番辛かった。なぜかというと、当たっちゃうんです。相手に。でも、もしも向こうがスタントマンだとすごく上手にできちゃうんですよね。そういうのがあって、よく僕も、怪我させたりお互い当たったりして、どうしても監督に『なるべく役者同士でやらないようにしましょうよ』と。(笑)でも、監督もやっぱりそれを気にしてるから、芝居に支障がでるとあれだから、なるべくその方向で後ろの方は撮ってきました。」

●愛し方について

質問「ラブ・ストーリーですが、金城さんの役とアンディさんの役は女性に対する愛し方が違います。それぞれの役柄の愛情についてどうお考えですか?」

アンディ「こういう質問だったら、監督に答えてもらった方がいいのではないでしょうか。」

監督「僕は金城武さんを勧めます。言葉の面で時間の節約になりますので。」(爆笑)

金城「基本的に、僕はほんとにもう監督の元で駒として、役者は1つの駒として従うんですよ。だからもうほんとに、ワンシーン、ワンシーン僕がどう思うよりも、監督が思うなら、なるべくその演技をして、役者との交流をなるべくその時に感じて演技しました。だからそこでお互い思うのは違いますけれども、それは僕に聞かれてもあれなんで。監督が設計してるキャラクターなので、一番監督が…(爆笑)思いますよね?」(大拍手)

監督「二人の男性が一人の女性を愛してしまうのですが、キャラクターについては全く異なるキャラクターです。今、並んでいるように、この男性の俳優二人はまったく外面も違う訳なんです。映画の中での金城武さんとチャン・ツィイーさんの愛情については、この二人の変わり方というのは非常に突発的なもので、突如に変わり、いつっていうのは誰も知らない。理由もわからない。とにかく走ってしまうと。非常に情熱的なものを持っている訳なんです。この辺は、若者の持っている激情的な部分でやってみたいと思いました。」 チャン・イーモウ

「実はチャン・ツィイーさんと金城武さんにも尋かれました。『監督、この映画を撮っていく内に、ほんとうはどこら辺で、どのカットで、どの場面で、我々は二人は本当に愛し合うようになるんでしょうか?』と。『そういうことは考えないでください。ほんとうの愛に落ちてしまう可能性はいつでもどこでもある訳だから。ポイントはむしろ、この二人の愛にはいつもアンディ・ラウさんが演じる第三者の目がいる訳で、あり得ない所でアンディの目が光っていて、監視される形で恋愛することになる。だから、ほんとうに愛し合ってもその辺はしっかりと押え込んで、押さえの演技でやっていかなければいけない。』そういう風に指示しました。」

「この二人のこういう愛に対して、アンディ・ラウさんが持っている愛はまたちょっとタイプが違います。これは、物に例えるとちょうどお酒のようなものなんです。非常に持久性があって、長年発酵していくけれども、ご存じのように酒の年数が経つと、発酵していってますます純度があがっていく。しかし、残念ながら愛においては、ついこの酒が発酵し過ぎてとうとう燃えてしまう。最後には燃え尽きてしまう。そういうことなんです。」

「アンディ・ラウさんが『監督、僕の役は善なのか悪なのか?』と私に聞きました。この辺は二人でじっくり話しました。いろんな議論をして出て来た結論は、この人物がヒーローか悪役かはどうでもいい。ここで表してもらいたいのは、人間性そのものだと。つまり善でも悪でも、人間性の持つ極端な一面を表すことができれば、いいんじゃないかと。そういう結論に達しました。(日本語で)ドウモ。」(拍手)

アンディ「監督に細かく説明していただきましたが、ある程度は監督と話し合いまして、本当の愛、真の愛を考えてやろうということになりました。劉という人は真の愛を追求して、逆に憎んでしまうことになるのですが、二人の突然の愛を尊重して、自分から離れて行ってしまうところにも、真の愛はあると思います。」


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更新日:2004.8.7
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●記者会見の表記

質問
(質問者)
金城(金城武)
チャン(チャン・ツィイー)
アンディ(アンディ・ラウ)
梅林(梅林茂)
監督(チャン・イーモウ)
トニー(トニー・チン・シウトン)
●金城武
アジアを代表する売れっ子俳優。日本人と台湾人の両親を持つ。15歳でスカウトされて芸能界入りし、台湾のアイドル歌手として活躍。5カ国語に堪能で、アジア全土で瞬く間に人気者に。俳優でビュー後はウォン・カーウァイ監督やリー・チーガイ監督の作品で個性派俳優として認められ、中華圏や日本はもとより、世界でも「守備範囲の広い実力派」として高く評価されている。

主な代表作
・ワンダーガールズ/東方三侠2(93)
・恋する惑星(94)
・天使の涙(95)
・世界の涯てに(96)
・不夜城(97)
・アンナ・マデリーナ(97)
・君のいた永遠(97)
・ラベンダー(2000)
・スペーストラベラーズ(2000)
・リターナー(02)
・ターンレフト・ターンライト(03)*10月公開予定

*年末から日本・香港合作の『ブラックジャック』実写版(手塚真監督)に主演予定という報道もあり。
●アンディ・ラウ(劉徳華)
1961年、香港生まれ。俳優&歌手としてアジア各地で絶大な人気を誇るスーパースター。81年にテレビ局TVBの俳優養成所に入学。卒業と同時に同局のシリーズ15本に出演し、シンガポール、マレーシア、台湾でも人気を得る。『望郷/ボートピープル』(82)で映画俳優としても注目され、現在までに115本もの映画作品に出演。

主な代表作
・愛と復讐の挽歌(87)
・いますぐ抱きしめたい(88)
・欲望の翼(90)
・天若有情(90)
・リー・ロック伝/
 大いなる野望(91)
・上海グランド(96)
・暗戦/デッドエンド(99)
・Needing You(2000)
・ファイターズ・ブルース(2000)
・インファナル・アフェア(02)
・大隻[イ老](03)
・無間道3終極無間(03)
・江湖(04)

*8/31より香港で15日連続の「VISION TOUR コンサート 2004」を開催予定。
●チャン・ツィイー(章子怡)
中国出身の国際派女優。チャン・イーモウ監督の『初恋のきた道』(2000)で鮮烈なデビューを飾り、一躍世界の映画界から注目される。その後、アン・リー監督のオスカー受賞作『グリーン・デスティニー』(2000)とジャッキー・チェンの『ラッシュ・アワー2』(01)さらにチャン・イーモウ監督の『HERO』(03)に出演し、国際派の地位を不動のものとした。

主な代表作
・初恋のきた道(99)
・グリーン・デスティニー(2000)
・ラッシュアワー2(01)
・MUSA/武士(01)
・紫胡蝶(02)
・HERO(03)
・茉莉花開(03)
・2046(04)

*日本デビュー作となる『オペレッタ狸御殿』(鈴木清順監督)の撮影も終え、この秋からは、コン・リーやミシェール・ヨー、渡辺謙らと共演するハリウッド映画『さゆり/Story Of Geisha』(S.スピルバーグ製作)の主演女優として撮影に入る模様。さらにマドンナがゲスト出演するという噂もあり。