●アクションについて
質問「今回のアクションはCGを効果的に使用していますが、どのようなアクション演出をされたのでしょう? 特に苦労したシーンはどこでしょうか?」
「たとえば、雪の中のシーンですけど、どういう風に考えたかというと、あくまでも二人の男性がある女性を巡る闘いとなるので、いかにもアクションの技を見せるというよりは、むしろ二人の感情部分の表現に注目しました。映画をご覧になった時には、二人のアクションというよりも、二人の役者の顔の表情をじっくり見ていただければわかると思います。」
「一番大変だったのはウクライナでロケをした時です。現地では天候の変化が非常に激しくて時間もありません。ときどき晴れ、ときどき雨、しばらく雪。雪かと思ったら、今度はその雪がなくなってしまう。こういう天候条件の元では、撮影できる時間もなくなってくるので一番大変でした。俳優も大変だったと思います。本物の剣や刀、槍を使って立ち回るシーンを見せなければいけない訳で、非常に危険性を伴います。幸い大きな怪我にはならなかったけど、どなたも多少の怪我をされたのではないかと思います。」
●愛し方について
質問「ラブ・ストーリーですが、金城さんの役とアンディさんの役は女性に対する愛し方が違います。それぞれの役柄の愛情についてどうお考えですか?」
アンディ「こういう質問だったら、監督に答えてもらった方がいいのではないでしょうか。」
監督「僕は金城武さんを勧めます。言葉の面で時間の節約になりますので。」(爆笑)
金城「基本的に、僕はほんとにもう監督の元で駒として、役者は1つの駒として従うんですよ。だからもうほんとに、ワンシーン、ワンシーン僕がどう思うよりも、監督が思うなら、なるべくその演技をして、役者との交流をなるべくその時に感じて演技しました。だからそこでお互い思うのは違いますけれども、それは僕に聞かれてもあれなんで。監督が設計してるキャラクターなので、一番監督が…(爆笑)思いますよね?」(大拍手)
「実はチャン・ツィイーさんと金城武さんにも尋かれました。『監督、この映画を撮っていく内に、ほんとうはどこら辺で、どのカットで、どの場面で、我々は二人は本当に愛し合うようになるんでしょうか?』と。『そういうことは考えないでください。ほんとうの愛に落ちてしまう可能性はいつでもどこでもある訳だから。ポイントはむしろ、この二人の愛にはいつもアンディ・ラウさんが演じる第三者の目がいる訳で、あり得ない所でアンディの目が光っていて、監視される形で恋愛することになる。だから、ほんとうに愛し合ってもその辺はしっかりと押え込んで、押さえの演技でやっていかなければいけない。』そういう風に指示しました。」
「この二人のこういう愛に対して、アンディ・ラウさんが持っている愛はまたちょっとタイプが違います。これは、物に例えるとちょうどお酒のようなものなんです。非常に持久性があって、長年発酵していくけれども、ご存じのように酒の年数が経つと、発酵していってますます純度があがっていく。しかし、残念ながら愛においては、ついこの酒が発酵し過ぎてとうとう燃えてしまう。最後には燃え尽きてしまう。そういうことなんです。」
「アンディ・ラウさんが『監督、僕の役は善なのか悪なのか?』と私に聞きました。この辺は二人でじっくり話しました。いろんな議論をして出て来た結論は、この人物がヒーローか悪役かはどうでもいい。ここで表してもらいたいのは、人間性そのものだと。つまり善でも悪でも、人間性の持つ極端な一面を表すことができれば、いいんじゃないかと。そういう結論に達しました。(日本語で)ドウモ。」(拍手)
アンディ「監督に細かく説明していただきましたが、ある程度は監督と話し合いまして、本当の愛、真の愛を考えてやろうということになりました。劉という人は真の愛を追求して、逆に憎んでしまうことになるのですが、二人の突然の愛を尊重して、自分から離れて行ってしまうところにも、真の愛はあると思います。」