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ASICRO FOCUS file no.19

Jackie Chan Legend Part 2

秘められたジャッキーの系譜ー『失われた龍の系譜』記者会見

失われた龍の系譜

●ジャッキーがお母さんを見る目は、私たちが日本のおばあさんを見るのと同じ感覚でした。あのような風景は、香港では日常的なのでしょうか? また、この作品を撮った後で、ジャッキーに変化がありましたか?

 メイベル「私たちの親の世代では、香港のどこでも見られる平均的な姿です。彼のお母さんは波乱万丈な人生を送ってこられた方で、自分の人生のすべてを子どもに捧げるというような母親です。例えば、映画の中で出て来ますが、お母さんは上海では誰にでも知られる存在で、アヘンの販売をしたり、賭博をしたりと、そのライフスタイルは今の姿からは想像もできませんが、結婚して子どもができてからは、どんな苦労をしてでも子どものため、家庭のために自分の人生のすべてを捧げるという心の強い母親像だと思います。そういうのは、私たちの親の世代にはよく見られる姿です。

 この映画を撮影した後、ジャッキー自身も相当自分の家族に目を向けるようになったなと感じます。というのは、ご存じのように、子どもの頃に10年ほど京劇学校にあずけられて、ほとんど親と過ごす時間がなかったのです。10年間は空白だったんですね。ご両親が香港に戻っても、大スターですからほとんど家族と過ごす時間がない。年に数日しかないという状態が、ずっと続いていたのです。

 また、彼の息子さんも小さい時は『父親と会いたい』という思いが強かったそうです。が、ジャッキーは非常に忙しくて世界中を飛び回っているので、子どもとも過ごす時間が少なかった訳です。ただ、この作品ができてから、特にお母さんが亡くなってからは、家族との過ごし方や家族といる時間の大切さに、かなり気づいているように思います。

 例えば、お母さんが亡くなってから、お父さんをオーストラリアから香港に呼び寄せて、毎日のように会話をしたり、去年デビューした息子さん対しても、一緒に仕事をしたり、一緒に住んでもいるので『自分の息子とも、いろんな会話をしていきたい』と言っているんですね。ところが、息子さんはデビューしたばかりなので、もっと外の世界を知りたい。逆に、お父さんの相手をしてくれないのが現状のようです。(笑)おそらく、息子さんも少し年をとれば、家族の絆の大切さが自然にわかってくるのではないかと思います。」

●ナレーションをティ・ロンさんに依頼した理由と、北京語にした経緯を教えてください。

 メイベル「ご存じのように、ティ・ロン(狄龍)さんはカンフースターで、ジャッキー・チェンとほぼ同世代の方です。バック・グラウンドや経歴も似ていますし、名前に「龍」が付いていますので、「狄龍」を通して「成龍」を語ってもらうのも面白いかなと思ったのです。また、ナレーションというと、声優さんが客観的に語るのが普通ですが、あえてそういう手法をとらず、同じ映画界で活躍した大スターを通して語ってもらうことで、一種の親近感を持たせる作り方になったと思います。

 北京語は中国の共通語ですが、実は作品の中には、いろんな言葉や訛りが混じっているのです。特にお父さんには、安徽省、福健省、山東省の訛り、さらに上海訛りの広東語が混じり、カタコトの英語も入っています。それだけお父さんが幅広く、いろんな場所を経験してきたことの象徴なのですが、これをより多くの中国の人々に見てもらうには、共通した言葉でないと伝わらないだろうと思いました。実はインタビューの間も、お父さんの訛りでジャッキー自身わからない時があって、結局、お父さんの話が最後までわかったのは私だけだろうと自負しております。」

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●これだけプライベートな依頼があるのは、かなり親しくされているからだと思うのですが、以前、アレックスさんが『七小福』を撮ったことと関係しているのでしょうか?

 アレックス「私たちがジャッキーの子ども時代についてよく知っているから、というのも大きな要因の一つだと思います。また、これまでの私たちの作品スタイルが、家族の絆とかアイデンティティといった人々の内面的なものを撮ってきたので、お父さんの話をまとめるのには、制作手法的にも近いと彼が思ったのではないでしょうか。」

●冒頭のシーンがとても印象的です。従来のジャッキー作品とは違って、悲しく重い音楽で別の面が強調されたと思います。この音楽は、どちらが思いつかれたのですか?

 メイベル「二人で話し合いながら決めました。作曲家の方とも相談したのですが、今回の作品ではなるべく、今まで出演した映画のようなリズムの音楽は使わないことにしたのです。例えば『ポリス・ストーリー』のようにテンポの激しい音楽を使うと、ジャッキーが主役の映画が始まるんだという錯覚を与えるのでやめました。むしろ、オープニングのところでギャップを作ったら面白いと考えました。ジャッキーのアクションシーンに、やや悲し気で歴史やスケール感が出るような雰囲気の音楽をぶつけると、観客の方が最後まで興味深く観てくれるのではと思ったのです。そのために、合わせて作曲し演奏してもらっています。」


前後を読む ▼記者会見1 ▼記者会見2 ▼記者会見3 ▼『香港国際警察』会見
更新日:2005.3.10
●back numbers

記者会見の表記
●質問者

メイベル(メイベル・チャン)
アレックス(アレックス・ロウ)
Jackie's filmography
60年代
・大小黄天覇(62)
・梁山伯と祝英台(63)
・秦香蓮(66)
・ヤングタイガー(69)
70年代
・死黨(70)
・香港過客(70)
・四王一后(71)
・ファイティングモンキー
 /昇龍拳(71)
・香港過客(72)
・碼頭龍虎鬥(72)
・ドラゴン怒りの鉄拳(72)
・ドラゴンファイター(72)
・燃えよドラゴン(73)
・ファイティングマスター (73)
・秘龍拳/少林門(74)
・タイガープロジェクト/
 ドラゴンへの道 序章(74)
・金瓶梅(75)
・花飛満城春(75)
・忠烈図(75)
・レッドドラゴン(76)
・ファイナルドラゴン(76)
・香港過客(76)
・少林寺木人拳(77)
・成龍拳(77)
・ドランクモンキー/酔拳 (78)
・スネーキーモンキー
 /蛇拳 (78)
・カンニングモンキー
 /天中拳(78)
・拳精(78)
・蛇鶴八拳(78)
・必殺鉄指拳(78)
・燃えよ飛龍神拳/怒りの
 プロジェクトカンフー (78)
・クレージーモンキー笑拳 (79)
・龍拳(79)
・ドラゴンカンフー
 /水晶拳(79)
80年代
・バトルクリークブロー (80)
・キャノンボール(80)
・ヤングマスター
 /師弟出馬(80)
・ドラゴンロード(82)
・ドラゴン特攻隊(82)
・プロジェクトA(83)
・キャノンボール2(83)
・五福星
 /The 5 Luckey Stars(83)
・醒拳(83)
・スパルタンX(84)
・プロテクター(85)
・ポリスストーリー
 /香港国際警察(85)
・七福星(85)
・ファーストミッション(85)
・香港発活劇エクスプレス
 /大福星(85)
・サンダーアーム
 /龍兄虎弟(86)
・クラッシュエンジェルス
 /失われたダイヤモンド(86)
・プロジェクトA2
 /史上最大の標的(87)
・九龍の眼
 /ポリスストーリー2 (88)
・サイクロンZ(88)
・奇蹟/ミラクル(89)
・テラコッタ・ウォリア
 /秦俑 (89)