韓国の俳優さんたちとどんなアクションを作られましたか? その仕上がりはいかがですか?
監督「アクションシーンの撮り方は、いままでのやり方とあまり変わっていません。ただ、アクションのためのアクションではなく、ストーリー展開に沿ったアクションであることが重要です。チョン・ウソンさんのアクションに関してはまったく問題ありませんでした。ただ、斜面を走って来るシーンでは、彼が途中で捻挫してしまい、いろんなハプニングがありました。また、水に飛び込むシーンですが、彼はどうも水を怖がっていたようで、大の男なのにしょうもないところで怖がってるなあと…。(会場爆笑)後、発砲シーンでの銃の持ち方とか、細かい所は一生懸命練習をして撮影に臨みました」
司会「ウソンさん、ほんとうのところはどうなんでしょう? お水が恐いんですか?」
ウソン「(困ったように)監督は俳優をからかっておられるのでは?」(会場笑)
チョン・ウソンさんは香港テイスト溢れるアクションシーンを演じましたが、撮影中大変だったことや楽しんだことは?
ウソン「銃撃シーンは、まるで子どもの頃おもちゃの銃で遊ぶような気持ちで、とてもわくわくしながら撮影に臨みました。かっこよく銃を持てたし、銃を持つというのは、大人の遊びの中でも子どもの心を持てる数少ない遊びではないかと思います。…川はあまり深くありませんでしたし、入るのが恐かったのではなくて、牛の群れがあそこで用を足していたので、飛び込むのをちょっとためらってしまったんです(笑)」(会場爆笑)
監督「実はアクションが一番多かったのはチョン・ジヒョンさんです。橋から転落するシーンですが、それなりに高さがありました。そこでスタントを使おうと言ったのですが、彼女は自分でやると頑張って、全部で3回転落しました。川の中に牛の糞尿があることを彼女も知っていたと思いますが、勇気を持って飛び込みました。この場を借りて、感謝したいと思います。とてもプロフェッショナルな女優さんです」(会場笑)
フォトセッションでは緊張が取れて笑顔がこぼれる場面も。
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ジヒョン「そうです。苦労は全部、私がしました(会場笑)チョン・ウソンさん、イ・ソンジェさん、私はあのシーンを見せるために、1年間、川に飛び込む練習をしたんですよ。でも、まさか排泄物が流れているとは知りませんでした(笑)」
と、大胆ジョークで、監督とチョン・ウソンのフォローをしてみせたチョン・ジヒョン。この辺のやりとりにはお国柄の気質の違いというか、ジョークだらけの香港映画人の記者会見と、わりと真面目な韓国映画人の記者会見の違いが出ているようで、ちょっとスリリングでした。
韓国映画は今、世界でも注目されていますし、今回の映画もハリウッドからリメイクのオファーがあるのではないかと思いますが、いかがですか?
監督「これは世界の傾向なんですが、世の中はだんだん小さくなっていて、韓国映画や香港映画、日本映画が各地へ行く機会が広がって来ています。この傾向はとてもうれしく思います。監督の立場からすると、自分の撮った映画が世界各地で公開されて、皆さんとお会いして、またいろんな映画を作っていくことができるのは、たいへんうれしいことです」
ジヒョン「そのような世の中の流れはあると思います。私たちが持っている感情がアジアの国を超えて、リメイクという形ではありますが、多くの国の人たちに紹介され共感してもらえるというのは、俳優にとってラッキーで幸せなことだと思います。ただ、それがアジアを超えて直接出会えるということではないのが、少し残念ですが」
5月22日ジャパンプレミアの舞台挨拶で再来日したチョン・ウソンとチョン・ジヒョン。
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ウソン「映画は映画だと思います。とかく私たちは、この映画はハリウッド映画だとかどこの映画だとか…区別をしがちですが、映画はそれを作った国の人たちが住む映画館で公開されるのが一番理想的です。リメイクをすることによって、豊かな資本と技術力でオリジナルよりもいいリメイクを作るというのも大事ですが、私はオリジナル版が公開されて欲しいと思います。それこそが、真の文化交流ではないでしょうか」
ソンジェ「リメイクの話ですが、ハリウッドで有名な俳優さんを使って映画が撮れるような、人気のある監督がこの映画を撮ってくださったから、皆さんが興味を持ってリメイクをしたいと思われているのではないでしょうか。…監督、ご飯をご馳走してくださいね(笑)」
ソンジェ氏の発言には、先のやりとりに対する監督へのフォローも伺えました。さすが、気遣いの人。
司会「ちなみに『デイジー』が大ヒットしたら、続編を考えていらっしゃいますか?」
監督「日本での成績がよければ続編を考えましょう」(会場笑)
やはり、すべてをジョークで煙に巻く監督でした。そこでクロさんが、日本での大ヒットを祈願して会見終了。
映画をご覧になるとわかりますが、構成・エンディングともかなり『インファナル・アフェア』な展開で、続編の可能性もなきにしもあらず…なのですが、すべての作品において続編の可能性を残すのがラウ監督のスタイル。果たして一体どうなるか?は、観客の皆さんの反応にかかっているかもしれません。この衝撃の結末は、ぜひ劇場でご堪能ください。
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