左より監督のピーター・チャン、ジョウ・シュン、金城武(全体)
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2006.9.14 丸ビル(丸の内)
昨年のクリスマス、アジア全域で一斉公開されたピーター・チャン監督の最新作『ウィンター・ソング』。日本公開は2006年冬ということで、首を長〜くして待っていたファンの方も多いことでしょう。その間に、香港での各映画賞で多数の賞を受賞し、現在も台湾金馬奨で最多ノミネート中。いよいよ満を持しての公開です。公開に先立ち、9月に監督と主演の金城武&ジョウ・シュンが来日。ファンを招いての公開イベント&記者会見が開かれ、作品への思いをたっぷり語ってくれました。
監督「この映画でまた日本に来ることができて、大変うれしく思います。『ウィンター・ソング』は私たち全員にとって特別な映画です。それは、2度の冬を過ごした旅のようなもの。プレッシャーもありますが、皆さんが気に入ってくれることを願っています」
金城「本日は『ラヴソング』…じゃなくて(笑)『ウィンター・ソング』の記者会見に来てくださって、ありがとうございました。この映画のおかげで、いろんなアジアの国に行って一生懸命宣伝したんですけど、今回やっと日本で上映されるということで、皆ですごく喜んでいるのでとても期待しています」
ジョウ「『ウィンター・ソング』を日本に持って来ることができて、大変うれしいです。これは私たちにとって、とても特別で忘れ難い思い出の作品です。もう2年も前に撮った作品ですが、冬になると北京でこの映画を撮ったことを思い出します」
監督は英語、金城くんは日本語、そしてジョウ・シュンは北京語と、言語もインターナショナルな記者会見となりました。
司会「俳優もセットもすごく豪華な作品ですが、このラブストーリーを撮ることで、愛のすべてを出し尽くしましたか?」
ファンイベントの後、丸ビルの階上ホールで行われた記者会見
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監督「どの作品にも愛の要素は入れていますが、たしかにこの作品は、私自身やスタッフにとって大変特別な映画です。この物語が描いている感覚は、『ラヴソング』とはかなり違うからです。構成は似ていますが、より深く正直なものとなっています。視覚的に豪華で美しいミュージカルと同時に、失恋の痛みを抱えている男と突き進んでいく女の物語を描くことで、バランスも考えました。それはほろ苦い物語で、甘いものではありません。そして、すべての出演者が巻き込まれることになりました。皆で何度も脚本をチェックし、セリフは撮影しながら作っていきました。なので、これは個人的な作品というよりも、皆の努力の成果です」
司会「この映画にはいろんな感情が描かれていますが、この役にすっと入れましたか?」
金城「結構辛かったですね。なぜかわからないんですけど。多分、理由の1つは順撮りだったからでしょう。まず、10年前の北京のストーリーから撮りはじめて、それからだんだん…その時は一番惚れている、この人を抱き締めていればいいんだっていう気持ち。後は、その雰囲気、周りの色、世界の色、氷の上、雪とかをすごく自然に感じることができた。もちろん監督の解説やプロデューサーの演出も互いに響き合っていました。その始めがあったので、徐々に順撮りしていくと、じゃあ、こんなに思ってた感情を、今度はどう怨みに変えるか、というのはありましたね」
司会「先ほど特別な作品とおっしゃいましたが、どのように特別ですか?」
ジョウ「理由は2つあります。1つは演技だけでなく、歌ったりダンスを踊ったりして、ヒロインの矛盾した内面を表現することができたこと。それは滅多にない経験でした。もう1つは気持ちの面です。これは共演させてくださった監督に感謝したいのですが、金城さんを見るたびに、ヒロインが自分の夢のために、どんなに辛い思いで彼を捨てる決意をし、関係を絶ったか、それがいかに大きくリアルな決意だったか、ということをつくづく感じまして(笑)それを表現することができました。それから、この映画には劇中劇があり、私たちが役者を演じます。しかも現実の物語と劇中劇の物語が曖昧で、どっちがどっちかはっきりしないところがあるので、それも特別だと思います」
司会者からの質問に続いて、記者からの質疑応答に入ります。
Q:スンナーを演じてみて、女性としてどう思いますか? 自分と似ている所はありますか?
ジョウ「撮影中は、最後にスンナーはどちらを選ぶのだろう?と考えていました。私としては、後から知り合った男性(監督)の方を選びたかったのですが、監督の処理は、皆さんに答えを委ねるような結末でしたね。役者をやっていると、役と自分との境がなくなるというか、常に役と自分を行ったり来たりしている、そんな感じがあります。今回は私が演じたスンナーが、劇中劇でそうなっているところがあり、彼女の矛盾した気持ちがよくわかりました」 (続きを読む)
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