金城「ライティングもカメラも全部セッティングが終わって、後は僕らを待つだけっていうことが何度もありました。その時、僕らは何をしていたかというと、楽屋で監督を真ん中にして、1つのソファに3人で寝そべっていました。ここはこれじゃおかしいよとか、ずっと3人で台本を考えているのを、スタッフが待ってたということが何度もありました。
誰もプレッシャーがなくて、監督は真ん中で僕たちのやりとりを聞いてました。スンナーはこう動いた方が気持ちが合うかな、と言う前に、彼女からこう動きたいと言って来るので、自然と彼女も同じような気持ちなんだなと感じました。スタッフの人たちには申し訳ないんですけど、その様子がすごくかわいいかなと…(笑)。でも、そういうやり取りがあったから、あの寒い季節の中で、ほんとうに暖かくできたんです。普段は、仕事が終わったら食事に行ったり…僕たちはあまり北京のレストランを知らないので、彼女がちゃんと全部、毎晩どこへ食べに行くか決めていて。それで、おいしく食べてワイワイと…そういう大切な思い出がたくさんあります。
ジャッキー・チョンさんとは、すれ違う1カットしかないのかな? 韓国から来たチ・ジニさんとも、ほとんどないんです。プロモーションでは一緒に行動するので、やっと初めてジャッキーさんやチ・ジニさんと会いました。ジャッキー・チョンさんは、僕も彼の歌を聴いて育っているので、すごく尊敬してて、プロモーションのおかげで、一緒にこうしてあちこち遊びに行けるのは楽しかったです。現場で一番幸せに感じたのは、楽屋で休んでいる時です。映画会社が役者のプライバシーを尊重してくれて、薄い布なんですけど、1つ1つ区切ってくださったんです。僕の部屋の横にジャッキー・チョンさんがいて、見えないんですけど、歌声が聞こえるんです。彼は歌が大好きな方でずーっと歌ってて、僕はこうやって聴いてて、僕の会社の方と『タダで聴けて儲かったね』と(笑)。普段はコンサートに行かないと聴けないものを、こうやってずっと…それがすごくなんか、ああ〜いいなあと思いました(笑)」
Q:役作りで、撮影中はジョウさんと口もききたくないという所まで追い込まれたそうですが、その辺はいかがだったのでしょう?
金城「初めの10年前の撮影が終わってから、初めて仲良くなった自分がいたんですよ。誰にも言ってないんですけど(笑)。撮影が終わったら早くその場から逃げたい、という気持ちはありました。彼女が友だちと仲良くしゃべってる姿は見たくないなあ、と。10年前の撮影が終わって、今度は…しめしめ、後悔させてやらなくちゃ…ていう気持ちの時は、なんとなく仲良くなれたっていうのはありました。その時は多分、切ない自分になりたかったんですね。笑っている彼女を見て、僕のせいで笑ってるんじゃないから、ちょっと嫌だなあと。なんで、自然にそんな気持ちになったかはわかりません」
Q:もし、実際に映画のようにふられたら、10年も待つことができますか?
金城「映画は、待ち続けたというか、仕返しをしたいというのがありました。(会場笑)多分、現実の自分は、まず仕返しをする気持ちはないですね。待つ気持ちもないですね。僕は縁任せなところがあって、くっつくのも縁だし、離ればなれになるのも縁だと思うので。もちろん、別れたらまた再会する縁もあるかもしれませんが、それはその時その時のタイミングが合えば、一番幸せだなあと。誰もが無理する必要はないと思います」
Q:恋愛に関してはあっさりしているんですか?(と、さらに突っ込んだ質問!)
金城「20歳の頃の自分と、30歳の頃の自分は違う感覚を持っています。今の方が多分、執着しない。しがみついて大事にしようとはしなくなるかもしれない。その代わり、自然体でいられたら一番いいかなっていう期待はありますね。多分、20歳前後の頃の恋愛っていうのは、しがみついて、もっともっと嫉妬してるかもしれないし、僕はお前のだ、お前は俺のだ、ていう風になるかもしれないけど、今は多分もう、そんな気持ちはなれないですね。ま、仕事もあるし」 (場内爆笑)
Q:2年ぶりの来日で、日本は変わったでしょうか?
金城「この2年間も、日本の作品や台本も含めていろいろ見たり、お話もしています。そういう意味では、ずっと触れあっていたので、2年ぶりという自覚はそんなにないんですよ。時間があれば、いつでも日本の映画会社の方と台本をやりとりしたり、意見を交わしたり、こういう映画を撮りたいですねえとか。それから、日本の作品を観たり。最近は日本映画のクオリティもよくて、ボックスオフィスもよくて、日本映画がどんどん上って行く姿を見ると、すごくうれしく思います。これから、もっともっと才能のある人たちが、このチャンスに新しい映画界を作っていけるんだなあと思うと、やっぱりワクワクします」
Q:日本の印象はいかがですか?
ジョウ「実はすごく日本が好きで、東京しか来たことはないんですが、ぜひ京都や北海道にも行きたいと思っています。仕事以外でも、ときどき東京へは来ています。東京はほんとにすべてが細やかで、すみずみまで行き届いていて感動します。とにかく、欲しいものは何でも手に入る所ですね。さっき1階で、金城さんのファンの皆さんが泣いているのを見て、それもすごく感動しました」
ここで質疑応答は終了。最後に、この様子を1階のイベントスペースにあるスクリーンで眺めているファンのために、中継カメラ目線で皆さんからメッセージが送られました。
監督「来ていただいてありがとうございます。ぜひ映画を楽しんでください」
金城「(カメラへ向かって手をふり)やあ(笑)。こんな形なんですけど、ほんとに感激してます。もうしばらくの辛抱なので、上映は僕も待ち遠しいんですが、ほんとにぜひご覧になってください。多分、その時の東京は雪…降るかなあ…? そしたらもっと、僕たちがさきほど語っていたこと、監督さんや役者が伝えたい愛に対する違う感じ方を、ぜひ映画を観て感じてください」
ジョウ「ハイ! 金城さんをそんなにお好きならば、ぜひ『ウィンター・ソング』を観てください。気に入ったら、ぜひお友達にも観に行くように伝えてくださいね(笑)」
いよいよ公開の『ウィンター・ソング』。雪はまだですが、役者たちの迫真の演技と歌を、大きなスクリーンでぜひご堪能ください。
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