司会「金城さんは、ご自分と重なる部分がありますか?」
金城「ありますね。10年前と10年後の恋愛に対する感じ方。後、どれだけもっと長い目で1つの物を見られるか。僕が演った役の彼は、10年前は自分から見たものしか大事にしようとしていない。10年分の仕返しをして、それから学び、どんどん人生観が変わっていく。その辺がすごく自分の年齢と合っているなと。そういう変化が自分にもあったので、すごくオーバーラップしていました。悲しいシーンでは、自然にすごく悲しくなったし、撮影がそろそろ終わりに近づく頃には、監督に『この芝居が終わるのが、すごく切ないなあ』って…。芝居の中の役でも同じような気持ちだったので、余計にそう感じました」
Q:ミュージカルで美声を披露しましたが、歌の面で苦労したことは?
金城「歌うことは、今回はそんなに大変じゃなかった。とてもスムーズでした。一番心配したのは、踊るんですか?と(笑)。踊りはほんとに上手じゃないので、それだけがちょっと大変かなと思ったけど、僕がやった役はそんなにその方面を担当しなくてよかった。歌もオペラみたいな歌い方でなく、役の中の歌でOK。ほんとはそういうのも試してみたけど、やっぱり役とちょっと違って。ジャッキー・チョンさんは、もうちょっとオ〜♪っていう…。役柄の色でいいんじゃないかと思いました。一番最初に芸能活動を始めた時は、アイドル歌手としての活動期間があったので、その時に自分が経験した歌い方で普通にレコーディングしました。でも今回は、自分の気持ちがちょっと面白かった。歌手として歌うんじゃなくて、役の中の人物として、1曲1曲の歌詞は全部セリフなんだなって。監督も毎回そこで録音を観賞してくださって、今歌ってるのはこの役なんだなあと感じました」
次の質問の前に、監督から主演の二人に対するコメントが。
監督「スンナーを演じたジョウ・シュンですが、僕の知る限り、彼女はスンナーとはかなり違って仕事よりも愛を選ぶタイプです。そんな彼女が、この役柄に橋をかけてくれました。スンナーの元々のキャラクターは、とてもクールで無情で残酷な女優だったのですが、ジョウ・シュンのおかげで、ほろ苦さを出すことができ、観客の心を動かす表現になりました。その点は、彼女に感謝したいです。
二人と仕事をしたのはこの1本だけですが、冬の北京やストーリー展開のおかげで、とても親密でリアルな関係が生まれました。撮影中、役柄や脚本の変更などについてディスカッションを重ね、アイデアを出し合いました。脚本は毎日変わりました。このプロセスで、役者との距離が縮まったのはノスタルジーマジックのようなものです。これ程、役者たちと親密になったのは『ラヴソング』も含めて初めてのこと。それはまるで、現実の物語を撮っているようでした。
映画とは何かについて撮影していたので、とても奇妙でした。撮影中の映画の役者たちは、物語と彼らの人生が同時進行しているのです。彼のことをよく知っている訳ではないけど、金城武さんには『これだけハンサムなんだから、女性に棄てられたことはないだろう』と言いました。(それを聞きながら、金城くんが首を大きく横に振っていたので、会場から笑いが)しかし、彼はこの過程を通じて自分なりにキャラクターを解釈をし、セリフにも幅を持たせるなど、とても説得力のある演技を発揮してくれました。このような過程は、私にとって大変リアルな体験でした」
Q:映像美が豪華絢爛ですが、監督がこだわった部分は?
監督「今回恵まれていたのは、クリストファー・ドイルやピーター・パウ、イー・チョンマンやファラ・カーンといった素晴らしい人々に手伝ってもらえたことです。映画全体にプロフェッショナルの力を結集することができました。ですが、映画の見栄えよりも大切なのことは、ミュージカルであるという点です。実際には、セリフを伝える方法のことで、それは普通の映画のドラマとは違っています。これまでのほとんどの映画はかなりリアルで、リアリティを重視していましたからね。映画の中で映画を撮り、その映画がミュージカルであるということは、とても劇的なスタイルです。それによって、実生活や普通の映画の中では言えないセリフを言うことができます。
例えば、最後にジェントンがスンナーに『北京を忘れないでください』と言います。でも現実には、そのような会話はなかなかしません。『私を忘れないで』とは言っても『北京を忘れないで』とは言いません。子どもの頃に観ていたハリウッド映画には、そのような感情表現がありました。常々、このような感情表現を現代の物語に再現したいと思っていたのですが、ミュージカルを作ることに決めるまでは方法がわかりませんでした。ミュージカルであるということは、単に美しくて歌やダンスがあるだけでなく、このような古いスタイルのセンチメンタルな感情表現を、現代の映画に用いることを可能にしたのです」
Q:互いにディスカッションをしたということですが、共演した印象をそれぞれ教えてください。また、ジャッキー・チョンさんと共演した印象もお願いします。
左:映画監督役を演じるジャッキー・チョン。 右:語り部となる天使を演じるのは韓国のチ・ジニ。
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ジョウ「あまりすぐ熱くなるタイプではないのですが、金城さんはもっと熱くならない方なので、私の方が積極的にならないといけませんでした(笑)。実際、北京で撮っていた時は、具体的なシーンのことを話すより、いろいろ別のことを話したり、普段のいろんなものに対する考え方や見方を話す方が、より相手のことがわかったと思います。彼の人柄もよくわかりました。その過程はとても楽しかったし、ほんとうに心を合わせて作った感じがします。
ジャッキー・チョンさんは中国、香港や台湾で、皆がほんとうに尊敬している歌手で俳優さんです。人柄も素晴らしい方です。今回彼と共演することになり、とても緊張していました。それまでにお会いしたことがなかったし、子どもの頃から彼の歌を聴いて育ったようなものなので。ほんとうにかわいくて、親しみやすい方です。スンナーを私が演じたので、彼に対してはぐっと年上のお兄さんのような安心感があり、それが出ていたのではないかと思います。ほんとうにいい共演でした」(続きを読む)
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