●俳優ジャッキーの魅力
本業は歌手としているジャッキーですが、俳優としても長いキャリアを持っています。(出演作の多さは右の通り!)95年以降は歌手業に専念するため、カメオ出演程度の作品しかありませんでしたが、2002年のアン・ホイ監督による文芸作『男人四十』(2002年のアジアフォーカス福岡映画祭で上映)で本格的に俳優復帰。成熟した大人の男の魅力を発揮するようになりました。
その後、『ベルベット・レイン』(04) 『ウィンター・ソング』(05)と、日本でも公開された話題の作品に出演。これらの作品を通じて、初めてジャッキーのことを知ったという方もいることでしょう。という訳で、ここでは俳優ジャッキー・チョン(*俳優の場合はこちらの表記を採用)の魅力に迫ります。
●いい人から殺し屋まで
歌手は俳優も兼ねるのが普通の香港芸能界。ジャッキーもそれに習い、デビュー間もなく『デブゴンの霊幻刑事』で俳優デビュー。新米刑事役でサモ・ハンと共演しました。続く2作目は、後に奥様となった女優メイ・ローと共演した初々しいラブストーリー。3作目はシュウ・ケイ監督のアートムービー『ソウル』で、ベテラン俳優たちに混じってお人好しのチンピラを演じるなど、恵まれたスタートを切っています。
転機となったのはウォン・カーウァイ監督の『いますぐ抱きしめたい』(88)。アンディ・ラウ扮する兄貴分を慕いながらも、金のために殺しを引き受ける情けない弟分を好演し、香港電影金像奬で最優秀助演男優賞を受賞。以来、演技にも目覚めたジャッキーは、『スウォーズマン』(90)でも台湾金馬奨の最優秀助演男優賞を受賞しています。その後は、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズでのコミカルな道士、『新・愛と復讐の挽歌』シリーズの狂気を持つキレた殺し屋など、多彩な役柄を演じるようになりました。
ウォン・カーウァイ監督の作品には、その後も『欲望の翼』(90)『楽園の瑕』(94)と続けて出演。俳優のキャラクターを役に込めたという『楽園の瑕』では、武者修行に出たものの、追って来た身重の妻を守って江湖から去って行く、誠実な男を演じています。休業直前に出演した作品『ハイリスク』(95)では、ジェット・リーと共演。ジャッキー・チェンをパロったアクションスターをユーモラスに演じ、コメディもいけることを証明しました。
●俳優復帰後、話題作に次々と出演
アンディと久々に共演した『ベルベット・レイン』
(c) SMI Corporation Limited, Focus Films Limited, Media Asia Group & See Corporation Limited.
|
俳優復帰作として選んだのは、ずっとオファーを受けていたというアン・ホイ監督の『男人四十』(02)。本作が遺作となったアニタ・ムイと夫婦役で共演し、当時新人だったカリーナ・ラム扮する不良生徒に慕われる、真面目な国語教師を演じました。ちなみに、本作はニューデリー映画祭に出品され、なんと初めての主演男優賞をインドで受賞しています。
2003年はコメディ映画2本に出演。そして、2004年の『ベルベット・レイン』で再びアンディ・ラウと、共にボスになった義兄弟役を演じます。これは新人監督ウォン・ジンポーの作品で、アート色の強い斬新なノワール映画。髪にエクステを付け、久々に狂気をはらんだ男の演技を見せました。
苦悩する監督を演じた『ウィンター・ソング』
(c)2005 Morgan & Chan Films Limited. and Art Limited.
|
そして2005年、長らく製作に回っていた愛の名匠ピーター・チャンが、10年ぶりに監督した長編映画『ウィンター・ソング』に出演。しかも、ミュージカル作品ということで、金城武、ジョウ・シュンという共演者の豪華さもさることながら、ジャッキー本来の歌の魅力がスクリーンに焼きつけられることになりました。もちろん、同作で共演した韓国俳優チ・ジニへの歌の指導は、ジャッキーが行っています。本作は数々の映画賞の他、ジャッキーが歌う主題歌「如果、愛」で音楽賞も受賞。サントラ盤も話題になりましたが、演技の上では、年齢による渋さのおかげで、苦悩する監督役を見事に体現していました。
●歌と演技とドラマの関係
昨年の『ウィンター・ソング』来日記者会見で、金城くんが語っていたように、いつでもどこでも歌っているのがジャッキー。歌が好きでたまらない彼ならではのエピソードでした。歌も演技も、感情を表現するという意味では同じこと。歌の表現力があるからこそ、それが演技にも反映されているのでしょう。
最後に、F4ファンが多いアジクロ読者の中には、ジェリー・イェンと兄弟役で共演した台湾ドラマ「恋のめまい、愛の傷」で、初めてジャッキーを知った方もいるかもしれません。このドラマでは真地面なお兄さん役を演じていますが、主題歌や挿入歌を歌っているのもジャッキーです。
ドラマといえば、韓国の人気ドラマ「オールイン」の主題歌で、WHOという覆面名でパク・ヨンハが歌い、日本での歌手ブレイクのきっかけとなった「初めて出逢った日のように」を、台湾放映時に北京語カバーで歌っているのもジャッキーです。
今回のコンサートで、映画やドラマに登場したこれらの歌が歌われるかどうかはわかりませんが、映画やドラマを通じてジャッキーのことが気になった方は、ぜひこの機会に、ライブステージでのジャッキーの魅力に触れてみてください。(歌手編を読む)
*写真提供:Fun Entertainment Limited、日活、東宝
前後を読む ▼歌手ジャッキー ▲俳優ジャッキー ▼メッセージ
|