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ASICRO FOCUS file no.76a

『傷だらけの男たち』来日記者会見

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なにやら談笑する金城武(左)とアンドリュー・ラウ監督
 ここから、メディアによる質疑応答へ入ります。

Q「アジアを代表する2大スター、トニー・レオンさんと金城武さんの共演ですが、ご感想は?」

 金城「オファーを受けた時は、とてもうれしかったです。トニーさんとは、僕が映画を始めた頃、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』で、現場ですれ違う程度に会っただけなので、実際にお仕事をしたことはなくて、今回が初めてです。実際に撮影した時は、彼の計り知れない安定感が凄いなあと思いましたね。向こうの撮影方法が日本と一番大きく違うところは、テストをする回数が、かなり少ないんです。ほとんどの皆さんは、ぶっつけ本番でやるんですけど、本番ですぐ、自分が何をやるのかがわかっていて、すごく安定して出せる器量っていうか、とてもずっしりしているのに感動しました。自分に彼の1/100くらいそれがあればなあって…影響されましたね。トニーさんはとても広い範囲で自分のキャラクターを作っていて、すごく考えて入り込んでいました。自分はそうじゃないので、素晴らしい役者さんだと思います」

 司会「監督はいかがですか?」

 監督「(簡潔に)OK。とてもよかったんじゃないでしょうか。金城武さんとは、以前からずっと仕事をしたかったので、脚本を読んだ時、ぜひ僕のチームに入って欲しいと思いました。もちろん、長い間ずっと彼の出演した映画は観ていて、成長ぶりも見ていました。武には人を寄せつけない魅力、迫力があります。脚本が完成したら、早速、出演して欲しいとオファーしました。毎回、映画を作る時は、いつも何か新しい要素を取り入れようと思うのですが、今回は何が新しい刺激になるかを考えて、ぜひ金城武さんに参加してもらいたいと思ったのです。撮影ではたくさん飲ませてしまい、申し訳なく思っています。大丈夫ですか? 実はわざと飲ませたのですが(笑)。そうすることで、これまでの演技を全部消してしまおうと画策していたんです」

 金城「前の演技はよくなかったんですか?」
 監督「いえ、今回は新しいものを求めていたのです。トニーの話は省略させてください。(会場爆笑)先ほど、金城さんが全部話してくれましたから。一言付け加えると、この2人が揃うと、とても見応えがあります。トニーとアンディ・ラウもいいんですが、トニーと金城武も実に素晴らしい。だから、今撮影している映画(ジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』)でも、またトニーと共演するそうです。(会場笑)次回作で金城武さんを起用する時は、もうトニーは使えないなあ。また相手役を探すのに、頭が痛くなりそうだ。武さん、誰か好きな相手役はいますか?」

 金城「(恐縮して)え? 僕が、替えられるんじゃなくて?」
 監督「いいや、トニーを降ろします」(大爆笑)
 これって、今回の来日PRをドタキャンしてしまったトニーへの復讐でしょうか(笑)…いえいえ、もちろん、監督お得意のジョークです。

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(いつものことですが、アンドリュー・ラウ監督、目線を合わせてくださいね)

Q「シュウ・ジンレイさん、スー・チーさんとのエピソードをお聞かせください」

 金城「お2人と共演するのは初めてなんですが、2人とも台湾出身なんです。スー・チーさんには思い入れがあって、彼女の活躍ぶりを見るとうれしいですね。同じ場所からスタートして、彼女も国際的にいろんな映画に出演してきましたから。ずいぶん間がありましたが、今回、初めて一緒にお仕事ができました。彼女役として知り合うので、うれしかったですね。僕と彼女のシーンはそんなにないんですが、作品を観た後に、2人の甘さをすごく感じることができたのが、とてもうれしかった。それは監督の力だと思います。

 シュー・ジンレイさんを見ていると、僕が初めて香港で仕事をした頃のことを思い出しました。彼女は北京語人、中国語人なので、唯一、まだ広東語を理解していないんです。広東語の中で、一人だけポツンと中国語で対応して、広東語を頑張ってしゃべろうとしている。そんな彼女を見ていて、自分もそうだったなあと思い出した。歳はあまり変わらないんですけど、すごく素晴らしい方で、もう自分で何本か映画の監督をやっておられる、才能のある方です。その後で、他の映画(ピーター・チャン監督の『投名状』)で、また共演しました。すごくよかったです」

 監督「この場を借りて、2人の女優さんに感謝したいと思います。ほんとうに助けてくれて、ありがとうございました。皆さんご存じのように、僕の映画は大体、男性の方に比重が置かれているので、どうしても女優さんに登場してもらわなければならなくなり、電話して『助けてください』と彼女たちに頼みました。彼女たちは、すんなりと引き受けてくれました。スー・チーさんも、シュー・ジンレイさんも、実際に登場するシーンは8か10くらいなのですが、実に素晴らしい演技を披露してくれました。

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いい感じの金城君と監督(全身を見る
 彼女たちは、男よりもさっぱりしています。今でも覚えていますが、スー・チーさんは1分も話せばもうOK。シュー・ジンレイさんは少し時間がかかりますが、それでも5分。それは僕の北京語が下手だったからですが。シュー・ジンレイさんは、監督でもあります。いくつか賞も受賞している、大変いい監督です。それで、『自分が登場する部分は、自分で監督してみたら?』と冗談で言いました。もちろん、『ノー』でした。多分彼女は、僕の方が腕が上だと思って断わったのでしょう。(場内笑)実は、彼女とは10年以上のつき合いで、お互いに親友です。今回は主演の2人の他に、この2人の女優さんにもほんとうに感謝したいです」

 ここで質疑応答は終了。フォトセッションの後で、一言ずつメッセージをくれました。

 監督「皆さん、ぜひ劇場へ行ってこの映画をご覧になってください。主演の2人も素晴らしいですが、女優さん2人もいいと思いますので」

 金城「7月7日の七夕で、ロマンチックなので、ぜひ観に来てください。ちょっとせつない話なんですけど、人それぞれに傷があるんだなあというところを、ぜひ観てください」

 以上で、記者会見は終了。そのまま、プレミアの舞台挨拶へと続きます。(プレミアへ)


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更新日:2007.7.23
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記者会見の表記
司会・質問者
監督(アンドリュー・ラウ監督)
金城(金城武)
金城武プロフィール
カネシロ・タケシ
金城武/kaneshiro Takeshi


*プロフィールと完全フィルモグラフィはこちらをご覧ください。
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