2008.4.5
シネマート六本木
5日より公開中の『恋の罠』。お堅い役人のハン・ソッキュとイ・ボムスが、秘かにエロ本作家になっていく過程を、雅びな宮中を舞台にコミカルに描いています。来日は約5年ぶりというハン・ソッキュが、初日の舞台挨拶に登場したのでご紹介します。
満席の会場の中、皆の熱い視線と拍手喝采を浴びながら、ハン・ソッキュがいつもの笑顔で登場。「ありがとうございます」とご挨拶。久しぶりの感想を聞かれ「今日はほんとうに大入りですね(笑)。ありがたく思っています。ほんとうに感謝しています」とうれしそう。司会からの質問で、舞台挨拶が始まります。
司会「『淫乱書生 (原題) 』というユニークなタイトルのこの作品に、出演を決めたきっかけは?」
ハン「まず、シナリオを読みました。夜の11時くらいに読んだのですが、一気に読んでしまいました。読みながら笑ったのですが、最後の場面になると感動がやってくる。そんな風に思ったのを覚えています。この映画のメッセージは、人間は自分がやりたいことをやって生きるのが幸せなんだということ。そこで、私が演じるユンソを通じて、私が面白いと感じたことや感動したことを、観客の皆さんに伝えたいと思ったのです」
司会「現場の雰囲気はどんなでしたか?」
ハン「もうよくなるしかないというくらい、いい雰囲気でした。キム・ミンジュンさんも、イ・ボムスさんもそうでした。イ・ボムスさんは、私の2作目の映画『銀杏のベッド』の冒頭に端役で出て来ます。その時に初めてお会いしたのですが、セリフもこうやったらいいか、ああやったらいいかと、とても熱心に役作りをしておられました。その彼がいつのまにか、こうして堂々とした役をはれる役者になったんだなあと思うと、とても感慨深いです。美しいミンジュンさんやイ・ボムスさん、監督との現場はとても楽しかった。楽しいといっても、ただ笑っているというのではなく、俳優もスタッフも皆、どうやったら自分の役割を忠実にうまくできるかという真剣さも合わさった、とてもよい雰囲気の現場でした」
司会「ユンソという役柄を演じてみて、なにか共通点はありますか?」(会場笑)
ハン「やりたいことをやって生きているところでしょう。ユンソは映画の中で淫乱な本を見つけ、やりたいことを見つけました。私の場合は、16歳の時に『ジーザス・クライスト・スーパースター』の舞台を観て、とても大きな衝撃を受けました。その舞台から、世の中にこんなものがあるのだという大きな感動を受け、こういう仕事があるのだと知りました。その当時は、声楽をやるのが将来の夢だったのですが、歌・踊り・演技をやる俳優という職業があるのだと、深い印象を受けました。そういう風に、自分の夢を実現するきっかけになったのですが、自分の好きなこと、夢を実現して生きているところが共通点だと思います。
違いは、ユンソの方が私よりずっと勇気があるところでしょう。映画の中でユンソは、自分のすべてを捨ててやりたいことを成就させていきますが、果たして今、私が俳優以外の人生を送っているとして、ユンソのように自分のすべてを賭けてそういうことができるだろうか? それほどの勇気があるだろうか? これはちょっと考えてみなくてはなりません」
司会「ラストで額に『淫乱』という焼き印があり、インパクトがありましたが、ご自身ではどうでしたか?」
ハン「以前に『スカーレット・レター』という映画に出たことがありますが、これはナサニエル・ホーソンの『緋文字』のことで、不倫の代償として烙印を押されてしまいます。今回はそれとは全然話が違いますが、自分がやりたいことをやった代償として、額に烙印を押されてしまうのだと思います。しかし、ユンソは額に烙印を押されながらも、動画はどうだろう?とか、次のことを考えているわけです(笑)。あれからお話が続くのであれば、ユンソとイ・ボムスさんが演じたグァンホンはいいコンビになって、次々と自分のやりたいことやいいアイデアを実現したんじゃないかと思います(笑)。
甥が通っている学校で、1日教師をやったことがあります。小学4年生だったと思いますが、そこで、何を話したらいいかなと考え、『自分の好きなことをしなさい。自分の好きなことをやって人生を送りなさい』という話をしました。これが、この映画のテーマだと思うんですね。自分の好きなことをすることが一番幸せである。それは、たいそうなことである必要はないんです。重要なのは、自分の好きなことであること、それをすることだと思います。自分の子どもたちや友人たちにも、自分の好きなことをして生きるのが幸福だ、自分の好きなことをやろうと、常々話しています」
このようにまとめていますが、実はハン・ソッキュ氏はかなりの饒舌家。前後に小さな余談がつくので、ついつい話が長くなるようです。通訳さんも必死で訳しておられましたが、最後に通訳さんが訳す前に気づいて、ごめんなさいという風に通訳さんをねぎらっているのが印象的でした。また、フォトセッションの後も、「ぜひ一言、言わせて」と、会場に来ているファンクラブの方々へ、来日の約束が果たせたこととお礼を述べ、観客全員に「映画を観るということは、大変なことなんですよね。私にとっては有難いことです。時間をかけて、お金を出して観に来ていただいている方々に、とても感謝しております」と感謝の言葉を述べ、大スターでありながら謙虚な人柄を伺わせました。
そんなハン・ソッキュが、イ・ボムスとはじけた演技を見せる『恋の罠』。最後の最後まで笑わせてくれますので、ぜひ劇場でご覧ください。
▼作品紹介
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