今回の来日プロモーションでは、様々な取材の他、ビルマに縁のある議員会館を訪れたり、ミシェルがアンバサダーを務めている時計ブランド「リシャールミル」とのコラボレーション・パーティにも参加。様々なステージで作品をPRしました。公式レポートが届いているので、まとめてご紹介します。
■「ミャンマー(ビルマ)の民主化を支援する議員連盟」訪問
●日時:2012年6月27日(水) 17:30-18:00
●場所:参議院議員会館2階 101会議室
●出席者:ミシェル・ヨー(主演女優)/リュック・ベッソン(監督)/今野東(議員)/阪口直人(議員)/白真勲(議員)/首藤信彦(議員)/稲見哲男(議員)/末松義規(議員)/平岡秀夫(議員)
●主催:「ミャンマー(ビルマ)の民主化を支援する議員連盟」
今野議員「本日は参議院議員会館までお越し下さいましてありがとうございました。いらして頂いて本当に嬉しいです」
リュック・ベッソン監督「このような機会を頂いて、大変光栄に思っております。この映画の製作につき動かされた理由は2つあります。1つは『映画監督、映像表現者としての義務感』。スーチーさんをテーマに扱い、世界中の方々にビルマの現状を訴えかけることです。2つめは『愛』。スーチー氏の『ビルマに対する深い愛』を世に広げるべきだと思いました。何十万人もの人の心を動かすのは、まさにスーチー氏の愛であると感じました。この作品を通じて、政治家としてのスーチー氏だけではなく一人の女性として、妻として、母親としてのスーチー氏を知っていただけると嬉しいです」
ミシェル・ヨー「ビルマ民主化を支援している、議員の方々にお会いできてこちらこそ光栄です。ビルマの民主化実現のためには、継続していく事が大切だと思います」
今野議員「ミシェルさんがリュック・ベッソン監督に企画を持ち込んで、この映画の製作が実現したと聞いておりますが、脚本のどんなところを気に入ったのですか?」
監督「スーチー氏は『鉄の蘭』とも言われておりますが、国のために戦う強い女性であると同時に、妻、母の顔をもつ女性であり、強い意志や行動を常に支えてきたのは、家族の理解と愛にほかならないのです。この事を知っている方は意外にも少なく、私は脚本を読んで、夫のアリスさんや2人の息子さんたちのスーチー氏への理解と支援、深い愛に大変感動し、映画化したいと感じました」
ミシェル「スーチー氏は政治家のイメージが強かったけれど、彼女について知るうちに彼女が普通の人間である事を感じました。スーチー氏が長年に渡り民主化に向けて行動している事を知っていただく良い機会と思いました」
阪口議員「映画を観て、スクリーンの中のミシェルさんが本当のアウンサンスーチーさんに見えました。どのように役作りされたのでしょうか?」
ミシェル「スーチー氏は小柄ながら、体の芯はしっかりとした女性です。マラソンランナーのように体を鍛えながら、10キロ痩せて役に挑みました。彼女の本質をつかむために、あらゆる映像を見て、毎日研究しました」
今野議員「本日はありがとうございました。シンボリックにアウンサンスーチー氏を支援するだけではなく、力を発揮できるように応援し続けたいと思います」
■リシャールミル・コラボパーティー
●日時:6月28日(木) 18:30-
●場所:グランドハイアット 2Fバジルルーム
●登壇者:ミシェル・ヨー、リュック・ベッソン監督、冨永愛
リュック・ベッソン(以下リュック)「このような形で皆さんと作品を分かち合えて、非常に感慨深いです。『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』は非常に特別な作品です。それは見ていただいたらわかると思います。心の全てを3年間捧げて、作った作品です」
ミシェル・ヨー(以下ミシェル)「アウンサンスーチー女史のことは、皆さんもご存知かと思いますが、本作をご覧になって一人の女性として、母であり、妻である彼女を、素晴らしい家族と共に旅として体験していただければと思います。日本は、リュック・ベッソン監督、私にとっても第2のふるさとと言える国ですので、この作品をやっと皆さまにお見せできることが大変嬉しいです」
司会「現場でのミシェルさんはいかがでしたか? そして、ミシェルさんはどんな女優だと思われますか?」
リュック「ミシェルは女優人生をかけてこの役に挑んでくれました。大変真剣で努力家な女優です。外見から、ビルマ語、オックスフォード時代の訛りのある英語まですべて、完璧に準備してくれました。だから、監督としてすることなんて、ほとんどなかったんです。『ちょっと右に行って、左に行って』くらいの演出で済んでしまう、素晴らしい女優さんです」
司会「リュック・ベッソン監督はどのような監督だと思われますか?」
ミシェル「皆さんは、すでにリュック・ベッソン監督の素晴らしさはよくご存知だと思います。彼の過去の作品を見れば、それは明らかだと思いますので、説明するまでもありません。何としても、ぜひ監督していただきたかったです。自分にとってリュック・ベッソン監督というのは人間の感受性を理解されている方。本作は特にパーフェクトだと思いました。
最初に脚本を読んでいただいた時は、その当時まだ軟禁中だったスーチー女史の映画をはたして作ることができるのか?ご本人に取材もできないのに、何が正しいのかリサーチする作業ができなくて、映画はできるのだろうか?というアドバイスを求めていたんですが、読んだあとにすぐ電話をかけてきて下さって、『実は18か月間空いている。監督してもいいなと思うんだけど…』と仰いました。(笑)
監督には、この素晴らしい映画を作って下さったことを本当に感謝しています。スーチー女史、ビルマの国民、世界中で同じように苦しんでいる人々に対する我々の愛の詰まった作品を、監督の手によって素晴らしい作品に仕上げられたことに、愛というものはまだこの世界にあるんだと。愛というものがあれば、まだ世界はより良くなるんだと伝えられていると思うのです」
司会「ビルマ語のセリフが非常に多く、想像するだけでも非常に大変だったと思うんですが、いかがでしたか? 何かエピソードがあれば聞かせて下さい」
ミシェル「最初から、監督からはビルマ語で撮ると言われていました。そして非常に印象的な、シュエダゴン・パゴダという場所でのスピーチのシーンが登場しますが、これは実はスーチー女史が大勢の観衆の前で初めてスピーチした場所なんです。このたったひとつのスピーチによって、国のリーダーがここにいるんだとみんなに感じさせることができたという、伝説的なスピーチを学ぶために大変努力しました。そして素晴らしい先生にも恵まれ、なんとか英語とも中国語ともまったく違うビルマの言葉を身につけることができました。
スピーチのシーンを撮ったとき、感動的なエピソードがありよく覚えていますが、監督から『もうワンテイクしたほうがいいね』と言われ、何がいけないんだろう?と思っていたんです。ふと後ろに目をやると、役としての自分の政党メンバーが後ろに立っているんですが、その中の男性のひとりが泣いているんですね。映画の中で、このシーンは非常に幸せなシーンですから『なぜ泣いているの?』と伺ったところ、ビルマの方だったんですが『88年当時、実際に観衆のひとりとしてスピーチを聞き、今回は同じスピーチをミシェルさんの背後に立って聞くことになった。そのことで涙が止まらないんだ』と仰っていました」
司会「それは感動的な話ですね。それではここで、スペシャルゲストにご登場いただきましょう。モデルの冨永愛さんです。(冨永さんによる花束贈呈)冨永さんも映画をご覧になられたそうですが、いかがでしたか?」
富永さん「本当に素晴らしい映画を作って下さり感謝したいと思います。孤独と闘い、最愛の夫の死に目にも会えず、ビルマに魂を捧げた女性、それがアウンサンスーチー女史ですよね。この映画を観て、同じ女としていてもたってもいられない気持ちになり、彼女の強い愛に感動しました。ビルマの現状、知ってはいたんですけど、そこまで関心を示していなかった自分を情けなく思います。過酷な情勢が続くビルマで、今も闘い続けるスーチー女史を、私はこれから応援したいなと思います」
司会「冨永さんから、監督、ミシェルさんに何か質問はございますか?」
冨永さん「監督の映画はすごく好きで、『グラン・ブルー』は特に好きな作品です。この映画でスーチー女史が軟禁状態から解放されるシーンを撮った翌日に、実際にスーチー女史が解放されたという話を聞きました。その2つのことがすごく類似していたそうですが、どういった思いで解放された日の撮影を行ったのでしょう?」
リュック「映画の中で登場する女史の家は、様々なリサーチをしてまったく同じものを用意しました。同じ赤い門がある家なんですけど、それもセットで作ったんですね。撮影時、午前中にミシェルがその門をくぐるシーンを演じました。そして撮影を終えてテレビをつけたら、民衆に手を振るスーチー女史の映像が写ったんです。しかも携帯で撮ったような荒い映像だったので、盗まれたのではないかとギョッとしたんですが、よく見たらCNNの放送で、本当に混乱してしまいました。もちろん女史のことを思うと嬉しかったですが」
冨永さん「ミシェルさんが演じるアウンサン女史、ほんとうに似ていて素晴らしかったんですが、壮絶な人生を送る女史を演じることは過酷だったと思います。ミシェルさんは何をもって演じたんでしょうか?」
ミシェル「それは簡単です。私を突き動かしたものは愛です。そして、何よりリスペクトがあるからこそ、正しいことをしている彼女の映画を作らなければならないと思いました」
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