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ASICRO FOCUS file no.194

『チェイス!』アーミル・カーン&監督 来日記者会見

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フォトセッションでは映画で活躍する監督の大好きなバイクも登場!

 ここからは、集まった記者からの質疑応答です。

Q:アーミルさんは製作や監督もされていますが、日本ロケや日本作品のリメイク、日印共同製作などコラボレーションを考えたことはありますか?

 アーミル「ぜひやりたいですね。機会があり、自分に合った脚本があれば、ぜひやってみたい。日本の作品に出演したり、共同製作でもいいし、日本作品のリメイクも。この後、帰国してから可能性を探ってみたいと思います」

Q:『きっと、うまくいく』では20歳も若い役柄に挑戦したり、本作でも難しい役柄に挑戦しています。演技面では、常に新しい役柄に挑戦していますね?

 アーミル『きっと、うまくいく』のランチョーは、ラージクマール・ヒラニ監督からオファーされたんです。ストーリーはとても気に入ったけど、この役はできないと断りました。44歳の僕に18歳の役をやらせたがっていたので、そんなの皆に笑われるよと。(会場笑)物語は好きだし、ランチョーも好きだったけど、責任が持てないので出演はためらっていました。でも、監督は僕がやるべきだと譲らなかった。僕はヒラニ監督のファンだったので、自分の考えは捨てて、監督の直感を信じて演じることにしました。僕が気づいていない別の側面を、監督は見ているのだろうと思いました。それがうまくいったようです(笑)。

 出演作を選ぶ時は、『きっと、うまくいく』にしても『チェイス!』しても、まず物語に惹かれることが大事です。脚本を読む時は、観客の気持ちになっています。脚本に惹かれ、感動できたら、出演したくなる。さらに、脚本やキャラクターに、自分にとって乗り越えるべき新しいチャレンジがあると。そういう風に有機的な形で、直感的に感じることがあるかどうかで作品を選んでいます」

Q:アーミル・カーンがトップスターだなと思ったエピソードはありますか?

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 監督「彼はまずスター気取りしません。監督にとっては大親友のような感じです。この作品の役柄は、とても強い部分と繊細な部分を合わせ持った難しい役なのですが、彼にはあまり努力を見せずに役作りできる才能がある。いとも簡単に役作りができるんです。そういう意味では、素晴らしいスターだと思います。

 撮影セットでも素晴らしいんですよ。たいていのスターはあれこれ噂が流れるのですが、彼の場合、変な噂は全部嘘。彼はとてもチームワークを大切にします。映画というのは一人では作れない。チーム全員が力を合わせて作りますが、アーミルはそれができる役者です。

 監督にとって役者は常に子どものようなもので、いつもわくわくして、映画に没頭するような感情を持っていなければなりません。アーミルは常に映画が好きで、演じるのが大好きということを表に出せる役者です。今回は彼と一緒に撮影ができて、素晴らしい経験となりました」

Q:監督が大親友とおっしゃていましたが、アーミルさんから見た監督はどんな人ですか?

 アーミル「この作品は僕にとって、特に要求の高かった映画なので、全て監督に任せていました。監督の資質が僕の演技の助けになった。彼との仕事をとても楽しみました。監督には自分が何をしているのか、明確なビジョンがありました。それから、とてもオープンで暖かく、セットの誰にも平等に接していて、とてもいい雰囲気を保っていました。とても話しやすい気さくな方なので、それもよかったし、ユーモアのセンスがあることも重要でした。撮影中はストレスで、誰もがピリピリするので、重くならずハッピーな雰囲気で仕事ができることはとても大切です。一緒に仕事をするのは今回が初めてだったので、最初は監督と俳優の関係でしたが、今では友達のようになっています」

Q:注目のアクションシーンについて教えてください。

 監督「今回の映画は製作に3年かかりました。インドで公開したのが約1年前。それ以降、作品を気に入ったという声を聞くととても安心するし、有難く感じます。映画というのは自分の身を削って作るものなので、皆さんに気に入って頂けてほっとしています。

 アクションというのは現実離れした世界で、通常ではバイクに乗ったままトラックを飛び越えるというようなことはありません。映画自体が1つの世界を作っており、観客がそれをリアルに感じる、演じている役者にそれができるのだと信じてもらわなくてはなりません。そこで、私はアクションを楽しみました。そういう意味では、計画が重要で、緻密に計画を立て、アクションにつなげることを重視しました。アクションで失敗すると、観るに耐えないものになってしまいますから。

 今回は幸運にも、ハリウッドのスタントチームに協力してもらうことができました。ほとんどをシカゴで撮影しましたが、ハリウッドベースのチームとスムーズに進めることができました。日本の皆さんはアクション映画が好きだと感じていますので、この作品のアクションを気に入っていただけるとうれしいです」

Q:黒澤監督と三池監督が好きとおっしゃっていましたが、どんな作品がお好きなのですか?

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 監督「北野武監督も大好きです。役者としても、監督としても素晴らしい。表面では何を考えているかわからないけれど、ある瞬間に爆発させる素質があり、そういうところに惹かれています。

 好きな作品は、『七人の侍』や『乱』ですが、なんといっても一番好きなのは『用心棒』で、自分にとって重要な作品です。あまり知られていないと思いますが、実は何年も前に黒澤監督の『天国と地獄』のリメイクぽい作品が、ヒンディー語で作られています。『用心棒』はいつかリメイクしてみたい。それから、三船敏朗さんのような役者が現れたら、『七人の侍』もやってみたいですね。

 『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』(三池崇史監督)も素晴らしい。その他に楽しんだのは、『山椒大夫』の溝口(健二)監督。それから、一番美しいアーティストは宮崎駿監督です。彼は天才ですね。そして、三船!」

 こうして予定よりも長くなった、アーミルと監督の映画愛に溢れた会見は終了しました。引き続き、大盛況だった舞台挨拶の模様をご紹介します。(舞台挨拶へ)


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更新日:2014.12.13
●back numbers
●記者会見の表記

司会・質問者
アーミル(アーミル・カーン)
監督(ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ)
director profile
ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
Vijay Krishna Acharya


1968年1月22日。カーンプル生まれ。助監督を経て、04年に本シリーズ1作目『Dhoom』で脚本家デビュー。『Dhoom:2』でも脚本を担当し、一躍人気脚本家となる。08年にアクシャイ・クマール、カリーナ・カプール主演の『Tashan』で長編監督としてもデビュー。監督業の他、脚本家、作詞家としても活躍している。

*詳しくは「アジア映画巡礼」の単独インタビューをご覧ください。
filmography
*脚本/ダイアローグ
・Dhoom(04)
・Dhoom:2(06)
・Pyaar Ke Side Effects(06)
・Guru(06)
・ラーヴァン(10)

*監督&脚本
・Tashan(08)
・チェイス!(13)
・Dhoom:4(15?)