2022年8月2日 新宿武蔵野館
『プアン/友だちと呼ばせて』の公開を記念して、タイNo.1の呼び声高い監督のバズ・プーンピリヤが4年ぶりの緊急来日。ウォン・カーウァイとの映画作りなど、制作秘話をたっぷりと語りました。さらに、監督の前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の大ファンでもある映画大好き芸人こがけんさんがタイの民族衣装で登壇し、ほとばしる『プアン』愛を炸裂。本作の内容にちなんだ元カノエピソードも飛び出し、会場を沸かせました。
(以下、アジクロも取材に参加したので、オフィシャルレポートに加筆しております)
左よりこがけん、バズ・プーンピリヤ監督
会場には、前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の舞台挨拶にも参加していたという熱烈なファンも参加。盛大な拍手に包まれ、バズ・プーンピリヤ監督が登壇します。
監督「温かい歓迎をありがとうございます。日本が大好きで、人や文化や街が好きなので、また日本に戻って来られてうれしいです」とにっこり。
今回は巨匠ウォン・カーウァイのプロデュースということで、その経緯を聞かれると
監督「『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を気に入っていただけて電話をくださり、お話をいただいてすぐに承諾し、香港に行きました」
と巨匠からのラブコールだったことを告白。映像や演出など、話されて印象に残っていることは?
監督「たくさんのことを学びました。特に考え方で、監督というのはアーティストなんだなと実感しました。今まではいただいたテーマを元に映画を作ってきたのですが、個人的なことを映画にしても観客に届くんだなということがわかりました」
主演2人のキャスティングについて
監督「ほとんどタイ全土の男性俳優から選んだといっても過言ではないですね。オーディションテープを見てこの2人に決めました。ほんとうにこの役のために生まれてきたようでした。実際に演技を見せてもらったら、想像以上に素晴らしい演技で、トーさんとアイスさんに感謝しています」と、大絶賛。
物語の重要なアイテムとなるカクテルに関しては
監督「元々お酒が大好きで、ちょうどこの映画製作をしている時に、バンコクに自分のバーをオープンする計画が進んでいたので、自分の人生で好きなものを映画にも取り入れました。実際撮影でも使用しています」
ここで、監督の前作の大ファンで本作にも心底惚れこんだという映画大好き芸人こがけんが、タイの正装スア・プララチャターンを着て登場!「サワディー・カップ!」とタイ語でご挨拶。まずは、衣装について
こがけん「そうです、皆さんご存じのスア・プララチャターンです。タイシルクというくらいなのでシルクが織り込まれててめちゃくちゃ軽くて着心地がいいです」
と意気揚々。ところが、監督自身は着たことがないと言われ「着てないんかい!」と思わず突っ込み。あまりに似合うこがけんは自ら「監督の付き人にしか見えない」と笑いを誘いました。映画の感想を聞かれると
こがけん「エモすぎて、オーマイガー! 死ぬまでにやりたいことムービーなんですけど、前半ウードの話だと思ってたら中盤から急にボスの話が立ち上がって、舞台もタイからNYに移って、見え方がガラッと変わる。さすが『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の監督! 主人公の死は避けられないと思うんですが、そこにゴールが設けられてなく、違うところにゴールがあって、そのゴールが悲しいものではなく希望に満ち溢れてるというのが、この作品のほんとうに素晴らしいところだなと思います。
前作は実話がベースでしたが、製作総指揮のウォン・カーウァイさんは、パーソナルな作品を撮った方がもっと素晴らしいものになるのではないかと思ったんだと思います。それに、ウォン・カーウァイの特徴であるネオンの色やカラフルな色彩。テープに元カノの名前が書いてあって、それで章立てしているのも、ウォン・カーウァイの助言によって出てきた演出なのかなと。
それから、ヌーナーという元カノのところで、女優のヌーナーが演じているセリフがそのままそっくり、自分の経験だったり、過去に身につまされるようなことを言っているわけですよ。演技で銃を撃つのですが、その弾がウードに命中して胸から血を流すというファンタジーの演出があって、バランスが素晴らしいんです。素晴らしい化学反応が起こっていると思いましたね。安っぽくないギリギリ感にセンスを感じます」
と興奮して熱烈プレゼンを繰り広げました。
もし、こがけんがウードの立場だったら、元カノに会いに行くか?との問いには
こがけん「行かないですよ。元カノに会いに行くってめちゃくちゃ身勝手な行為。家庭もあるだろうし、結婚してる人がほとんど。わからないですけど、居場所を突き止めて会いに行くとか、僕の場合は通報されて終わりですよ。最初はそれがずっと違和感だったんですけど、それが見事に回収されていくというのはほんとうに凄いなと思いました」
さらに自身の経験を振り返り
こがけん「去年、郷里の久留米のふるさと大臣(観光大使)に選ばれまして、そのイベントに来ていたのが全員、自分の小・中・高の知り合いで、最後に記念品を渡してきたのがまさかの元カノでした! 久しぶりに言葉を交わしましたが『このような依頼は、断るときはマジで断らないといけないよ』って言いました。市役所がそんなサプライズを仕掛けてくるなんて…」
とびっくりエピソードを披露。そして、監督に「映画での元カノ描写は、自分の実際の元カノをモデルにしてるんですか?」質問。
監督「ほんとうです。テーマでもあるので、ウォン・カーウァイさんと話した時に、ちゃんとリサーチして元カノとしゃべってこなきゃ、と言われました。元カノに会った時の実際の経験が、映画の通りなんです」と衝撃発言。
こがけん「そりゃそうですよ。アリスだけですよ、いい感じだったのは。ほかは全部微妙でしたから。これ、全部成功してたら嘘じゃないですか」
監督「元カノに許可をとろうと思った時に、会う前は久しぶりだからOKしてくれるかなと気楽に考えていたんですが、まったく期待通りじゃなかったです。映画そのままでした。だから、さっきウードを非難していたのは、私を非難したのと同じなんです(笑)」
と、逆つっこみに「ちょっと待ってください」と焦るこがけん。「ゴメンネ」と日本語で謝る監督もチャーミング。
さて、この日のために「プアン」ネタを用意してきたこがけんさん。まずは、自己紹介を兼ねたおなじみの「ハリウッドモノマネ」を披露。「バーで自分の奥さんの文句を言っていたら、入口でこちらをにらみつけながら立っている奥さんを見つけた時の男」のネタを展開するも、監督からは微妙な反応。続けて、映画のワンシーンで「ウードを元カノに会わせるために、バイクに乗った若者を買収するボスのやたらスタイリッシュなお金の渡し方」を披露すると、会場は拍手喝采。監督は「こっちのほうがおもしろい!」とコメント。こがけんさんも報われたようで、会場から一層の笑いがおきました。
最後にメッセージをいただきました。
こがけん「青春のロードムービーだと思っていたら、まさかの展開。さすが『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の監督だなと思いました。ちゃんと仕掛けが待っている。こんなにワクワクしたことはないし、『うわっ!映画だ!』って思ったんです。映画でやれるすべてが詰まっていて感動しました。ぜひ、みなさんにこの映画を体験して欲しいです」
監督「『プアン/友だちと呼ばせて』をどうぞよろしくお願いします。この映画の旅を、皆さん一緒に楽しんでください」
なお、バズ・プーンピリヤ監督は8月6日(土)に都内の劇場を回り、舞台挨拶を行いました。渋谷シネクイントでのトークイベントオフィシャルレポートも、ぜひご覧ください。
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