2022年8月6日 渋谷シネクイント
8月6日の劇場リレー舞台挨拶の中で、渋谷シネクイントではトークイベントが開催されました。オフィシャルレポートが届きましたのでご紹介します。
左より映画評論家の森直人さん、バズ・プーンピリヤ監督、通訳の高杉美和さん
カナダ・モントリオールで開催中の第25回ファンタジア国際映画祭アジア映画部門で観客賞銅賞を受賞した『プアン/友だちと呼ばせて』のトークイベントが8月6日都内で行われ、バズ・プーンピリヤ監督と映画評論家の森直人が登壇した。
プーンピリヤ監督は日本映画にも造詣があるようで「是枝裕和監督は私が映画監督になりたいと思っていた時に影響を受けたアイドルのような存在。しかも彼の映画『誰も知らない』は私の人生の一部を変えました。素晴らしい映画とは最後まで心に残るものであり、素晴らしい芸術であると思わせてくれたからです。この場をお借りして是枝監督には感謝を伝えたいです」とリスペクトしていた。
森から製作総指揮を務めたウォン・カーウァイとのコラボレーションについて聞かれたバズ監督は「1990年代の映画を観て育った世代にとって、ウォン・カーウァイはみんなのアイドル。だから『一緒に仕事をしよう!』と言われたときは『夢ではないか?』と思ったくらい」とビックリ仰天。およそ1年半に渡る脚本の修正作業を共に行ったそうで「彼の考え方や映画製作についても学び、まるで彼が先生で僕が生徒の映画学校で学んでいる気分でした」と共同作業の様子を回想した。
元カノに会いに行くというストーリーラインを思いついたとき、ウォン・カーウァイからはあるミッションを与えられたという。それは「本当に自分の元カノを訪ねてインタビューする」というもの。バズ監督は「過去の出来事は一体何だったのか?自分の間違いは何だったのか?を明確にする狙いがあったわけですが…。しかし実際に自分の元カノに取材するというのは、想像以上のチャレンジでした」と苦笑いだった。
本作にはプーンピリヤ監督自身のパーソナルな面もふんだんに盛り込まれているようだ。「この作品は個人的な映画だと思います。撮影中も自分と対話しているような感覚。過去の自分が現在の自分に語り掛けてきて、それは将来の自分にも影響を与えるような気がする。若き自分へのトリビュート的な作品であると言えるでしょう」と思い入れを明かした。
撮影素材も大量となり「編集はまさに挑戦。大量のフッテージがあり、最初の編集バージョンは3時間50分くらいありましたから。そこからいかに映画の肝になるところを失うことなく、短くしていくか」とかなりの難産だった様子。それに森が「3時間50分バージョンも観てみたい!」と興味を示すと、バズ監督は「今晩送りましょうか?」とジョークを放って笑わせた。
また余命宣告を受けた青年ウードを演じたアイス・ナッタラットについてバズ監督は「ウードの役作りをするべく、彼は誰よりも先にNYに行ってタイレストランで数週間実際に働きました」と役者魂を紹介し「スゴイネ!」と日本語で絶賛。アイスは17キロもの減量に挑戦したが「アイスにはNYにいる末期がんになった私の親友ロイドに会ってもらいました。アイスは彼に会ったことで役作りのインスピレーションを受けたようで、とても熱心に役を演じてくれました。アイスはこの作品が、私とロイドの記憶に対する思い出に捧げる映画であると理解してくれたのだと思います」と感謝していた。
左より映画評論家の森直人さん、バズ・プーンピリヤ監督
最後にプーンピリヤ監督は「ここ数年パンデミックで大変ではありますが、このように皆さんと再会できて、日本でこの場所に立てていることは自分にとって意味のあることです。皆さんも私のように人生をエンジョイしていきましょう!」と呼び掛けていた。
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