2024年1月27日 東京・シネマート新宿
久しぶりの公式来日となったジョニー・トー監督
香港ノワールの先頭を走り、香港映画界の代表として世界にその名が知られるジョニー・トー監督。彼が2004年~2006年に製作し、カンヌ国際映画祭での上映や、香港電影金像奨、台湾金馬奨ほか数々の賞を受賞した『ブレイキング・ニュース』『エレクション 黒社会』『エレクション 死の報復』『エグザイル/絆』の4作品を初のDCP版で特集上映。「ジョニー・トー 漢の絆セレクション」と題して、1月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国での順次公開がスタートしました。
そして、そのジョニー・トー監督が「ぜひ日本の映画ファンの皆さんの前でご挨拶がしたい」と熱望。1月27日にシネマート新宿での舞台挨拶が実現しました。公式レポートが届いたのでご紹介します。
『エグザイル/絆』上映後、来場者から大きな拍手で迎えられたジョニー・トー監督。
トー監督「ドウゾ、ヨロシクオネガイイタシシマス」
MC:『エグザイル/絆』の企画過程を教えてください。
トー監督「これまでの作品と同じように、脚本らしいものは存在しません。僕のやり方を理解してくれるパートナーとして『ザ・ミッション/非情の掟』のチームを多く起用しました。ラム・シューが『エグザイル』を『ザ・ミッション』の続編と言っていますが、実はそうは考えていませんでした」
MC:香港ではなくマカオを舞台にした理由は何ですか?
トー監督「バカンス(笑)。旅行したかっただけなんです(笑)。当時はカジノもあまりなく、映画撮影に関する規制も厳しくなかったからね」
MC:ラム・シューは監督の作品に数多く出演していますが、どんな俳優ですか?
トー監督「彼を一言で表すならメチャクチャ。外見も内面もね。でも、それが受け入れられやすいキャラクターとして映画にいい効果をもたらしています。でも、いつも似たような役で出てもらっていて、ほかの役はダメなんです(笑)。彼は当時、私の撮影現場でスタッフとして雑用をやっていました。ある時、役者から離れたところで演技の真似をしているのを見て、意外と役者より上手いことに気づきました。それで予算が少なかった『ザ・ミッション』に出演させてみたんです」
MC:5年も新作がありませんが、今後、長編映画の撮影予定はありますか?
トー監督「ここ数年、香港ではいろいろな出来事や大きな変化がありました。自由を奪われ、人々の暮らしが変化しています。そういったことは、私の創作に影響を与えています。コロナ禍には映画に対する失望のようなものもあったと思います。しばらく制作から遠ざかっていましたが、今は1つの作品を手がけています。早ければ旧正月(2月10日)の前にクランクインするでしょう。問題は、いまだに脚本がないこと(笑)」
MC:最後にメッセージをお願いします。
トー監督「世界中に行く機会がありますが、日本は一番良い国だと思います。1970年代、小さな子供だった時にたくさんの日本のテレビドラマを見て育ちました。私の大好きな日本の映画監督の一人は黒澤明で、多大な影響を受けています。私の作品のすべてが黒澤明監督へのオマージュです。本日はご来場いただきましてありがとうございました」
「ジョニー・トー 漢の絆セレクション」はシネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほかで順次上映中です。
▲ジョニー・トー監督来日舞台挨拶|▼『すべて、至るところにある』舞台挨拶
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