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asicro interview 16

更新日:2007.6.15

それぞれの役者さんたちの内面表現が素晴らしかったですが、演技指導はされましたか?

 「俳優の実力を信頼していた」という前置きの後で、それぞれの俳優についてコメントしていきました。

 監督チャン・ツィイーは、とてもラッキーな女優だという面ばかりがよく強調されます。例えば、チャン・イーモウ監督やアン・リー監督の作品に恵まれたおかげで、ハリウッドで活躍することができてラッキーだと。また、彼女はどちらかというとアクション女優として見られている面もあります。しかし、彼女はそのイメージを変えたいと思っていました。彼女はもともと、中央戯劇院で学んだ基礎のある女優です。アクション女優というよりは、演技派女優を目指していたでしょう。

フォン・シャオガン2

レディ・ハムレットを目指したフォン・シャオガン監督
 『女帝』にはアクション部分は少なく、どちらかというと心理描写や深い演技が求められています。彼女はそれに充分に応えてくれました。とても思いきりよく真剣に取り組み、素晴らしい演技を見せました。彼女が演じた王妃は、女性として野心を抱きながら、一方ではずっと愛を求めています。この心理的にとても複雑な女性、立体的な女性を見事に演じました。チャン・ツィイーは、ただ美しいだけではなく、演技者としての力量を持っている人です。感情を爆発させなければならない時には、しっかりとそれを出して演じ切ってくれる女優です。

 グォ・ヨウは、チャン・イーモウ監督の『活きる』でカンヌ国際映画祭の主演男優賞を獲りました。この作品は日本では公開されていますが、中国では公開されていません。中国の観客は、彼があのような役を演じるのを観たことがないのです。私の映画でも、彼はずっとコメディを演じています。なので中国では、彼はコメディ役者だと思われています。彼がスクリーンに登場すると、どんな表情をしていようが観客は笑いだしてしまう。そのくらい、中国での彼はコメディ俳優として有名です。

 しかし、彼もチャン・ツィイーと同じように、そういう自分のイメージをがらりと変えてみたいと思っていました。そこで、あのような皇位を簒奪するリーという役を、とても興味を持って演じてくれました。彼の演技はとても正確で、しかも腹の座った落ちついた演技なので、この作品の大黒柱、しっかりとした重りになってくれたと思います。

 韓国で『女帝』が上映された時、グォ・ヨウの演技がとても注目されました。素晴らしい演技派俳優と称えられ、韓国の人たちの評価はとても高いものでした。しかし韓国では、彼のコメディ俳優としての面があまり知られていなかったので、『彼は中国では香港のチャウ・シンチーと同じような感じの俳優なんですよ』と紹介すると、とても驚いていました(笑)。

 皇太子役には、貴公子の雰囲気のある人を求めていました。大陸の役者の中でもいろいろと探しましたが、ダニエル・ウーのような気品を出せる役者はなかなかいませんでした。私は彼の低い声が気に入ったし、顔立には憂いと男らしさがあります。最近の若い俳優たちは、若くてかっこいい人はたくさんいますが、皆なんとなく女性っぽい感じがして、男らしい人はなかなか見つかりません。その点で、ダニエル・ウーは私のイメージにぴったりでした。私の見たところ、中国の新世代俳優の中で一番底力があると思います。彼の持つ雰囲気には、アンディ・ラウの明るさや男らしさと、トニー・レオンの憂いの両方があります」

グォ・ヨウさんをよく起用していますが、どんな点を評価していますか?

 監督「彼には毎回出演してもらっていて、作品ごとにいい味を出しているので、一概には言えませんが、一番素晴らしいと思ったのは、『手機』(04)という作品です。彼はとても独得な人で、チャウ・シンチーのように大げさな演技はしません。どちらかというと地味な感じの演技ですが、本人は笑わないけど観客は笑ってしまうという、抑えた中からユーモアを引き出すような独得な特色があります。どちらかというと、ウディ・アレン・タイプですね」

これまでコメディをたくさん撮っていますが、今後の予定は?

 監督「この作品を撮る前に『イノセント・ワールド/天下無賊』を撮りました。これが転換期になったと思います。『イノセント・ワールド』以降、私の作品はややロマンチックな方向に向かっています。意識的にそうしているのですが、『女帝』でもその部分を強調しました。現在、ポスト・プロダクション中の戦争もの(『集結号』)があります。最新作ですが、これもそのような路線になっています」

 ここで取材時間は終了。一見強面で、気難しいかもと思っていたのですが、紅茶をすすりながら取材部屋へ入ってくるなど、実は話すと監督の作品通り、ユーモラスな面もあっておしゃべり好き。饒舌なので、取材時間もつい押し気味に。大陸で撮影される香港映画(『少林サッカー』など)にもちょこちょことカメオ出演をしているので、おそらく人なつっこい人なんだろうなという印象を受けました。最後は「ぜひ、皆さん『女帝』を宣伝してください」と丁寧にお願いをして、監督は部屋を後にしました。監督が自ら語ってくれた見所ポイントを抑えつつ、ぜひ劇場でご覧ください。

(取材日:2007年4月3日 ザ・リッツ・カールトン東京/6媒体合同取材)


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監督作DVD情報

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不見不散/VCD/香港版

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主演:グォ・ヨウ
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*日本版『遥かなる想い』

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主演:グォ・ヨウ、ン・シンリン
*日本版『ミレニアム・ラブ』

万事如意

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主演:リュイ・リーピン
グォ・ヨウ

ハッピー・フューネラル<

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グォ・ヨウ

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