日本映画に初出演
−イーキン・チェン
(鄭伊健)
香港ウィークと『カムイ外伝』のPRを兼ねたトークショーの後、イーキンにインタビューをすることができました。『カムイ外伝』に出演した感想だけでなく、俳優としてのイーキンや今後のコンサート活動についてまで、いろいろな話を聞くことができました。
席に着くなり、イーキンから「映画はご覧になりましたか?」と逆質問。そのイーキンは、前日の夜に観たとのこと。「面白かった」という感想だったので、その辺の話からインタビューへ。
Q:完成した映画をご覧になって、一番感じたことは?
イーキン「初めて出演した日本映画で、忍者になれたこと。それから、監督は2種類のアクションをしっかり映画の中に収めていましたね。1つは今流行りのCGやワイヤーアクション。もう1つは、特に後半ですが、僕が小さい頃日本映画で見慣れていた武士の決闘や忍者の闘い。ほんとうにじっくり闘うアクションも取り入れています。この2つが結合しているところがよかったです」
Q:これまで香港ではたくさんアクション映画に出演されていますが、日本の撮影で違うところを具体的に教えてください。
イーキン「基本的には似ています。でも、完成した映画を観て気づいたんですが、細かいところが違いますね。刀の持ち方や弓矢の放ち方、手裏剣の投げ方など。香港映画のアクションだとあまり決まりはなく、とにかくカッコよく見えればいいんです。自己流でもいいんですよ。ところが、日本の場合はこういうところにきちんとこだわりがあって、教わった通りにやらなくてはなりません。この辺はやっぱり違いますね」
Q:そういう部分は、アクション監督の谷垣さんが指導なさったんですか?
イーキン「そうです。谷垣さんはアクションの部分を担当していますが、実はその他にも刀の先生や手裏剣の先生、ムチの使い方を教える先生と、3人の先生がいました」
Q:相当、練習したのでは?
イーキン「実は家に帰ってからやってみたんです(笑)。でも、指導はとても明確でした」
Q:冒頭からいきなりイーキンさんの見せ場ですが、あれは去年の8月頃に撮影したんですか?
イーキン「多分、その時期です。2週間くらいかかったと思いますね。もともとは京都で撮影するはずだったんですが、スケジュール変更があり、その間、僕は『風雲2』にも出演しなければならなかったので、結局行ったのは沖縄の現場だったのです」
Q:沖縄の8月は猛暑では?
イーキン「はい。ソウデスネ(笑)」
Q:崖のシーンですが、あれは本当に落ちたんですか?
イーキン「そうです(笑)」と涼しい顔で言うので、一同びっくり。
Q:ワイヤーを使ったんですか?
イーキン「はい。ワイヤーの限界まで落ちてから止まるんです。でもスタントは使っていません。なぜかというと、映画をご覧になるとわかりますが、走っていって最後に振り返るので、自分の顔を見せないといけません。だから全部、自分自身でやりました。監督は、ふいに滑って落ちたという風に見せたいと要求していました」
Q:小雪さんとのアクションシーンはいかがでしたか?
イーキン「難しいところは、監督が何度もリハーサルを要求すること。しかも、リハーサルは本番と同じようにやらないといけません。この場面では、小雪さんを足で蹴るところがあるんですが、リハーサルのたびにそうするのは残酷ですよね。そこで『リハーサルの時は蹴らないで、手でやってもいいですか?』と監督に提案しました。本番では蹴るけれども。監督はしばらく考えてから『よし、それでいこう』と。でないと、彼女は何度も蹴られて死んでしまいますから(笑)」
さすがに、やさしいですね。
イーキン「いや、ほんとに、下手にやると怪我をするんです。香港のやり方だと、こういうアクションの時は役者同士でリハーサルをやるんです。だけど、今回はあまり時間もなくて。香港では、リハーサルの時はあまり本気でやらず、本番できちんとやるんですが、日本ではリハーサルも本番と同じことを要求されるので、そこは違いますね」
Q:表情が本物の日本の武士みたいでした。日本の映画などを観て研究したのですか?
イーキン「サンキュー。いくつかの要素があると思います。まずは人物の造形ですね。こういう服を着て、こういう形でやるとか。それと、監督がこの役に何を求めているか、役者はこの役をどう演じればそれに応えられるかでも、変わってくると思います。もう1つ大事なのは、セリフが全部日本語だということ。やはり中国語でしゃべる時とは自然に違ってきます」
Q:映画では残念ながら吹替になっていますが、日本語のセリフは全部口の動きが合っていました。日本語でしゃべっていたのですよね?
イーキン「そうです。監督はすごく要求が高くて、僕のセリフの部分は全部監督が録音していて、このテンポでしゃべってくれと指示がありました。でも、吹替の方の声は、ちょっと年寄りですね(笑)」
でも、ちゃんと演技ができていましたよ。
イーキン「ありがとうございます」(続きを読む)
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