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asicro interview 52

更新日:2013.9.11

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多方面で創作活動を行うギデンズ・コー監督
自伝青春映画で旋風を起した
人気作家の素顔に迫る
−ギデンズ・コー(九把刀)

 いよいよ9月14日より日本公開となる『あの頃、君を追いかけた』。2011年8月の台湾公開時では世代を越えた「あの頃」ブームを巻き起こし、その後、香港でも中国語映画の歴代興収ナンバーワンヒットを記録。東京国際映画祭でも上映され、監督と主演のふたりが来日して話題となりました。

 そして今回は、ギデンズ・コー監督がプロモーションで単独来日。出発当日の夜までクー・チェンドンの新作撮影に付添うという忙しい最中、日本公開のために駆けつけてくれたのでした。実は取材の前に「ギデンズ・コー監督ってどんな人?」と周りの台湾通の方々に聞いてみたところ、皆、口を揃えて「面白い!」。作品世界は違えども、その人気ぶりについては「台湾のクドカンみたいな人」という方もいて、ますます興味がつのりました。

 なにより、『あの頃、君を追いかけた』の原作は100%が監督の体験談。映画化するにあたって、いくつかの場面に映画的な演出がされてはいますが、ストーリーラインや出来事はすべて実体験に基づいたものです。というわけで、取材が終ってみれば、映画よりも監督自身に肉迫するインタビューとなっていました。もう映画をご覧になった方は、監督=その後のコートンをイメージしながら、お楽しみください。(未見の方はネタバレ注意!)

Q:お誕生日(8月25日)おめでとうございます。35歳になられた気分はいかがですか?

 監督「謝謝。感想は…35歳になったなあというくらい。30歳になった時は、ああ30代になったんだなあという感慨があったけれど、35歳は特にないですね(笑)」

●ユニークなペンネームの由来

Q:では、まず監督についてお聞きします。ギデンズというお名前の由来は?

 監督「イギリスの有名な社会学者で、アンソニー・ギデンズ(Anthony Giddens)という人がいるのですが、僕が書いたインターネット小説をネット上で発表する時のハンドルネームとして、そのギデンズを使わせてもらいました」

Q:その学者さんがお好きなのですか?

 監督「最初はマルクスにしてたんですが、もう使われていました。次にドイツにハバマスという学者がいたので、ハバマスにしようと思ったけど、それもだめ。それで、ギデンズにしたらOKだったので、ギデンズになりました」

Q:一度聞いたら忘れられない名前ですね。漢字名の九把刀(ジウパーダオ)というのは?

 監督「高校の頃のあだ名です。当時、適当な歌詞を書いて歌を作っていたんですが、その中に『九把刀』がたくさん出て来たので、友だちが僕のことを九把刀と呼ぶようになりました」

Q:どんな意味なのですか?

 監督「色事の『色』という文字は『巴』の上に『刀』が乗ってますよね? つまり、刀が9個もある、超エッチな奴っていう意味です(笑)」

 むむむむ…監督らしいお答え。「刀刀刀×3」の作り字のようですが、深く追求するのはやめておきます。この辺の、しょっちゅうムラムラしてるエッチで陽気な高校生像は、映画をご覧になるとよくわかりますよ(笑)。

●武術とチャウ・シンチー

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日本のマンガと秋葉原とチャウ・シンチーが大好き!
 さて、この映画のテーマは、コートンがモットーとしている「人生に無意味な出来事など何もない」。これは、初恋の人チアイーから言われる言葉なのですが、コートンにはその前にもう1つ「正義は武術の腕前を必要とする」というのがあります。これこそがコートンとチアイーの違いであり、コートン=監督にとって重要なモットー。そこで、質問してみました。

Q:映画の最初に「正義は武術の腕前を必要とする」と出て来ます。コートンの部屋にはブルース・リーの絵が飾ってあって、武術を練習する人体図もありますが、実際にそうだったのですか?

 監督「『ドラゴンボール』の影響もあって、喧嘩がとても好きでした。『ドラゴンボール』の中で、くじで番号を引いて喧嘩する場面がありますが、映画にも武術コンテストの場面でそれが出て来ます。ブルース・リーは僕だけでなく、当時の少年は誰でも好きでしたね」

Q:監督はチャウ・シンチー(周星馳)さんが特にお好きだそうですね?

 監督「とても好きです!」

Q:チャウ・シンチーさんもブルース・リーの大ファンですよね? その影響もあるのでしょうか?

 監督「多分、ブルース・リーよりもチャウ・シンチーからの影響の方が大きいでしょう。すごくたくさんの影響を受けました」

Q:どういうところが好きなのですか? チャウ・シンチーの映画で一番好きな作品は?

 監督「チャウ・シンチーは僕にとって偶像というより神様です。もし、チャウ・シンチー教があれば、僕は信者。拝みたいくらいなんです(笑)。大好きな作品はいっぱいありますが、一番好きなのは『少林サッカー』ですね」(次頁へ続く)


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profile
ギデンズ・コー
九把力/Giddens Ko


1978年8月25日、彰化県生まれ。本名はコー・チントン(柯景騰)。国立交通大学管理学科卒業後、東海大学社会学科で修士号を取得。2000年からインターネット小説を書き始め、04年に武侠小説「少林寺第八銅人」で第1回コミックリズ百万テレビ小説賞を受賞。これまでに多彩なジャンルの作品を60近く執筆している。

発表した作品は若者を中心に高く支持され、多くの作品が映画、ドラマ、舞台、漫画、ゲームとなって、その世界を広げている。映画化された本作の大ヒットにより、11年の十大傑出青年にも選出された。08年にオムニバス映画『愛到底』の第1話「三聲有幸」を初監督。長編デビューとなった本作の後、来年は新作『功夫』を撮影予定。
filmography
映像化作品
・愛情両好三壊(07)
 *原作/TVドラマ
・殺手歐陽盆栽(11)
 *原作/映画
  主演:ジャム・シャオ
・變身(13)
 *脚本/映画
  主演:チェン・ボーリン
・我的情敵是超人(13)
 *脚本・製作/映画
  主演:クー・チェンドン
・媽、親一下(13)
 *原作/TVドラマ
  コー・チントンを演じるのは
  アラン・コー(柯有倫)

監督作品
・三聲有幸(08)
 *『愛到底』の第1話
あの頃、君を追いかけた(11)
・功夫(15)
 *14年に撮影予定
関連リンク
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