日本のベストセラー小説が台湾初のペット映画に
−ガン・リー(李崗)&チェン・フイリン(陳慧[令羽])
5月31日より日本公開の日台合作映画『一分間だけ』。原作は原田マハの同名のベストセラー小説で、台湾では一足早く9日より公開が始まり、注目を集めています。ワールドプレミアとなったのは3月に開催された大阪アジアン映画祭での上映。その後、東京へプロモーションにやって来たプロデューサーのガン・リーとチェン・フイリン監督に単独インタビューをすることができました。
チェン・フイリン監督(左)とプロデューサーのガン・リー
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Q:原作は日本の小説ですが、どの部分に惹かれたのですか?
ガン・リー「市場の可能性です。原作は日本のベストセラー小説ですが、台湾でもベストセラーでした。プロデューサーとしては、どういう題材の映画にするか、市場はどうなるかを、常に年頭に置いて考えています。
台湾では今まで、ペットの映画を撮ったことがなかったので、初めてのペット映画としてある程度の市場が確保できると思っています。また、原作はキャリアウーマンとペットの関係を描いた作品。特にキャリアウーマンは主なターゲットの1つなので、たくさんの方に来ていただけるのではないかと思います。
最初は、原作者の方と直接版権交渉をしてみたのですが、なかなかうまくいきませんでした。日本の友人(日本側プロデューサーの吉田正大)を通じて話がまとまり、映画の撮影が実現できました」
Q:チェン・フイリン監督に依頼されたのは、女性の視点が必要だからでしょうか?
ガン・リー「この映画を成功させるには、いくつかの要因が必要です。まずは、観客を感動させなければならない。なので、この映画は女性の監督に向いていると思いました。
初めてチェン監督に会ったのは2009年の金鐘賞の時で、私は審査員をしていました。その時、彼女はほんとうに素晴らしい作品をたくさん作っていて、賞もいくつか貰っていたので、いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。間もなく、チェン監督はとても高視聴率のドラマをいくつか制作し、技術面でもこの映画を任せるのに心配ないと思いました。
また、チェン監督のプライベートな話になりますが、この映画のテーマは死に関するものです。彼女は幼い頃に父親を亡くしており、1年前には恋人も病気で亡くし、死を描くパワーをとても持っていた。観客を感動させることができる方だと思いました。
最初は原作に基づいて脚本を作りました。その頃、彼女は大陸で撮影をしていましたが、できた脚本を持参して『ぜひお願いしたい』と頼み、一緒に仕事をすることになりました」
Q:監督はドラマをたくさん作っておられますが、本作を監督されるにあたり、自分なりの視点や工夫、原作と違うところなどがあれば教えてください。
チェン・フイリン「小説の映画化で一番難しいのは、文字を映像化することです。読者は文字を読んで頭の中で何かを考えるので感動しやすいのですが、映像化となると、映像があり、音があり、音楽があり、撮影テクニックなど、いろいろな要素が揃わないと、観客は感動してくれません。
また、撮影の中で最も難しいと感じたのは、動物たちをコントロールすることでした。ワンちゃんには人間の言葉が通じないので、なかなか思う通りにいかない。実は私が初めて監督したドラマは、子どもを扱うドラマ(台湾一の子役スター小小彬が出演した「秋のコンチェルト」)でした。皆、撮影で一番難しいのは子どもと動物だと言いますが、私は子どもの部分はなんとかクリアできたけど、今回は動物が主人公のひとりでなかなか難しいと思いました。
今回、ヒロインのリラを演じた犬は、小さい時が2匹、若い時が2匹、病気になってからの犬と、予備を含めて全部で5匹いました。最初、自分が撮りたい表情があり、犬は表情が理解できませんから、どういう方法を使えばそういうシーンが撮れるか、トレーナーとすごくいろいろ相談し、実際、撮影する時は、撮り直したところもたくさんありました。なんとか、自分たちが出したい効果が得られてよかったです」(次頁へ続く)
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