脚本と監督を兼ねるガウリ・シンデー監督。夫君のR. バルキ氏は心強い相談相手。
Q:シャシに恋するフランス人のローランが魅力的でしたが、他にもいろんな国の俳優さんをキャスティングしています。どうやって集めたのですか?
監督「ローラン役のメディ・ネブーについては、知り合いだったので私が決めました。彼とは2、3年前に、ニューヨークで映画の脚本を書いている時に知り合いました。その頃はキャスティングするつもりはなく、交流を続けていたのですが、脚本を書き終わってみると、彼がいいんじゃないかと思ったのです。運命の出会いだったのかも。他のキャスティングについては、外国人はニューヨークのキャスティング・ディレクターが、インド人はインドのキャスティング・ディレクターが決めました」
皆、個性的でとてもよかったです。
監督「あんなに素晴らしいキャストに恵まれてラッキーでした」
英語教室は先生(右端)も生徒たちも多国籍でユニーク (c) Eros International Ltd.
Q:シャシはローランに求愛されますが、彼女にとっては試練だったのでしょうか?
監督「そうは思いませんね。彼女は賢い大人だし、もしそういうことになったらどうなるかもわかっている。少しは動揺したかもしれないけど、彼女は自分がしたいこと、やるべきことに気を配り、自分が決めたことに集中しています。英語を学ぶことは、自分がよりよい場所、快適な状態になるための手段であり、恋をしたり、男性と出会うことに意味はありません。そういうことが起こって、ローランとは親しい友だちになったけれども、彼は彼女が自信を持つ手助けをしてくれた誰かに過ぎないのです。それが彼の役目であり、彼女はそれ以上を望んでいないし、そのことは彼女の中ではっきりとしていました」
ローランはシャシに勇気を与える
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Q:ローランがシャシにあげたクレープはどうなったのでしょう?
監督「(大爆笑の後で)映画では撮らなかったけれども、2人とも料理上手だから、シャシならきっと食べたでしょうね。世界中を周わっていろんなインタビューを受けたけど、クレープの質問は初めて。よく観てますね(笑)。あなたは食べ物が好きなのね(笑)」
図星です(笑)。ただ、あのクレープはローランの気持ちを象徴していると思ったので、その後の行方が気になっていたのですが、深読みだったようです。では、真面目な質問に戻って
Q:アミターブ・バッチャンさんが出演することになったきっかけは?
監督「アミターブは夫(R.バルキ)と一緒に10年以上も映画を撮っているので、もともと知りあいでした。何か小さなシーンでもいいので、彼が出演してくれる機会があればと思っていました。そうすれば、この映画が彼の恩恵にもあやかれますから。シャシが飛行機の中で出会う紳士役は彼にぴったりで、それが実現しました」
●雪のシーンと今後の作品について
Q:エンディングロールで大雪のシーンが出て来ますね?
監督「エンディングロールに何かのシーンを入れるプランはもとからありました。たまたまある日、撮影中にニューヨークで大雪が降ったのです。脚本に雪のシーンはありませんでしたが、雪が降ると何もやることがないので、外に出て適当に撮っていました。ただ、それを使う場面がなくて、最後に入れることにしたのです」
Q:とても楽しそうなシーンですね。
監督「雪もニューヨークの一部ですよね。彼らが住んでいたのが、ちょうどそのシーズンだったし。お陽さまを浴びながら、雪で遊ぶのは素敵だから」
Q:これから、どういう作品を撮っていきたいですか?
監督「まだ考えている最中だけど、いい物語になればと思います。また違うデザートを入れるわね(笑)」
Q:これからも女性をテーマにした作品を撮っていきますか? それとも他のジャンル、たとえばアクション映画なども撮ってみたいですか?
監督「暴力は嫌いなのでアクション映画はないですね(笑)。愉快なアクションなら撮るかもしれないけど、シリアスなものは撮りません。重要なのはテーマで、エキサイトできるテーマを撮りたいけど、特に女性のことをメインにするのではなく、何でもやってみたいです」
Q:人間ドラマですか?
監督「(力強く)もちろん」
Q:旦那さんとはどんな感じで仕事をしているのですか? 相談されたりするのですか?
監督「いつもではないけど、相談はしますね。でも、ふたりとも強い信念を持っているので、互いの仕事を邪魔しないようにして助け合っています。意見がぶつかることはわかっているので」
Q:喧嘩することもあるのですか?
監督「もちろん。それが普通です。何も起こらない方が心配よ(笑)」
ここでインタビュー時間は終了。「(次回作を)楽しみにしています」と言うと、「喧嘩を(笑)?」と返されてしまうほど、ウィットに富んだ楽しい方でした。もちろん「グッドムービーをです」と伝えておきました。そして、最後には日本語で「アリガトウ!」と笑顔で挨拶してくれました。ファラー・カーン監督もそうでしたが、インドの女性監督は皆パワフルな印象。デビュー作にしてこんなに素晴らしい作品を生み出したガウリ・シンデー監督、今後の作品にも注目していきたいと思います。
(2013年9月2日 アミューズソフト本社にて)
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