太陽の子(太陽的孩子/Wawa No Cidal)
story
台湾の東海岸・花蓮にある港口(ガンコウ)には、先住民族アミ族の集落がある。美しい海岸線に沿った道を通り、観光客が訪れるスポットでアミ族の民族衣装に着替えたナカウ(シュー・イェンズー)は、友人たちと民族舞踊を披露してお小遣いを稼いでいた。家にいるのは弟のセラ(リン・ジアジュン)とおじいさん(シュー・ジンツァイ)。そのおじいさんが、ある日、倒れてしまう。
台北の放送局でニュース記者を担当しているパナイ(アロ・カリティン・パチダル)は、せっかく取材した先住民族運動のニュースを差し換えられ、虚しさを感じていた。そんな時、田舎の父が倒れたと知らせが入る。子どもたちを実家に預けて台北で仕事をしていたパナイは、休暇を取って故郷の港口へ戻って来る。
父が入院している間、実家で子どもたちと過ごしたパナイは、故郷にリゾート開発計画が持ち上がっていることを知る。仲介役としてやって来たのは、かつての同級生リウ・ションシオン(シュー・イーファン)だった。彼らは水路が壊れて荒れ地となってしまった畑を買収しようとしていた。開発や経済的発展を歓迎する者と伝統や土地を守って拒む者に故郷は割れていた。
退院してきた父も、畑を手放すべきか悩んでいた。彼は部族の伝統でもある稲作を守りたいと思っていた。パナイは父と一緒に山へ入り、壊れた水路も目にしてきた。そして、子どもたちは母親と暮らしたがっていた。パナイはいったん台北へ戻るが、自分の手で水路を修復し、荒れ地に畑を復活させるため故郷へ帰って来る。
●アジコのおすすめポイント:
花蓮にある美しい東海岸の集落・港口。海岸線に沿った棚田で先住民のアミ族が作っていたのが「海稲米」でした。この畑を実際に復活させたのがレカル・スミ監督のお母さま。村人を説得して水路を修理し、伝統的な棚田を復活させ、米を収穫するまでを約2年がかりで撮影。そのドキュメンタリー作品『海稲米的願望』に感銘を受けたのが、チェン・ヨウチェ監督。このことをより多くの人々に伝えたいと劇映画化を企画し、レカル・スミ監督とその親戚や集落の人々と共に作りあげたのが本作です。主演に抜擢されたのは、その歌を聴いて彼女ならできる!とチェン監督に確信させた、アミ族のシンガー、アロ・カリティン・パチダル。本作が女優デビュー作となりました。その他『セデック・バレ』(に出ていたシュー・イーファン、『KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜』の上松くんことチョン・ヤンチェンも、同じアミ族として重要な役柄で出演しています。その他の出演者は皆、現地の方々。その自然体の素晴らしい演技については、監督インタビューで語られていますので、ぜひご覧ください。
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