KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜
(KANO/KANO)
story
日本統治時代の台湾。戦況が厳しくなる中、兵士たちが船で戦地へ赴く途中、台湾に立ち寄る。田園地帯を走る列車の中で「嘉義に着いたら起こしてくれ」と頼む男がいた。彼、錠者博美(青木健)は、1931年の夏のことを思い出していた。彼らと出会った甲子園のことを。
1929年、銭湯帰りの近藤兵太郎(永瀬正敏)は、グランウンドで野球をする若者たちを目にする。下手くそだが楽しそうにプレイする彼らは嘉義農林学校の生徒たちだった。近藤はかつて、松山商業野球部の監督をしていたが、恩師と衝突して辞任。今は台湾の学校で会計の仕事をしていた。
嘉義農林からは、野球部次長の濱田(吉岡そんれい)が再三、近藤の家を訪れては指導を頼み、断られ続けていた。だがその日、近藤は未熟だが素質を秘めた若者たちの姿に心を動かされ、監督を引き受ける。翌朝、境内に集められた部員たちに、近藤は「俺がお前たちを甲子園に連れて行く」と宣言。その日から、厳しいトレーニングが始まった。
練習の傍ら、マラソン部で俊足の平野保郎(チャン・ホンイー)や、ラケットで球を打ち返したテニス部の蘇正生(チェン・ジンホン)らが、野球部に引き抜かれる。アキラこと呉明捷(ツァウ・ヨウニン)は近藤に才能を見抜かれ、ピッチャーとして育てられていった。
嘉農は次第に力をつけ、初の逆転勝利の機会が訪れるが、突然の大雨でコールドゲームに。無念の3年生は後輩に夢を託して野球部を去る。父の怪我で日本に帰国せざるを得なくなった小里(大倉裕真)。幼なじみへの初恋が破れ、辛さを噛みしめるアキラ。近藤は部員たちにロウソクの火を見つめさせ、呼吸の重要さを説く。
そしていよいよ、1931年夏の甲子園の台湾地区予選となる全島大会。その頃、嘉義では水利技術者の八田興一(大沢たかお)が設計したダムが完成しようとしていた。
●アジコのおすすめポイント:
1931年、夏の甲子園大会に台湾から初出場し、準優勝に輝いた嘉義農林学校の実話をベースにした感動巨編です。製作・脚本は『海角七号/君想う、国境の南』『セデック・バレ』と、一貫して日本と台湾の関係を描いてきたウェイ・ダーション。今回は監督を野球の得意なマー・ジーシアンに託し、見応えのある青春野球映画が完成しました。主演の近藤兵太郎監督を演じるのは俳優生活30周年となる永瀬正敏。嘉農(KANO)チームのメンバーには、現役の野球選手をはじめ、野球経験のある若者たちが起用されています。漢民族、台湾原住民、日本人からなる混成チームは、皆個性的でユーモラス。試合シーンはかなりの迫力で、どの試合も目が離せません。当時の嘉義の街並や出来事、初代甲子園球場も忠実に再現されており、歴史映画としても価値があります。清々しい映画とはまさにこれ!ぜひ劇場で、大きな感動と夢を諦めない勇気をもらってください。きっと何度も観たくなる宝物のような作品になることでしょう。
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