空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎
(妖猫伝/Legend of the Demon Cat)
story
1200年以上前の唐の時代。役人・陳雲樵(チン・ハオ)の妖艶な妻、春琴(キティ・チャン)のもとに黒猫が現れ、「木の下に金があるから、それを使え」と人間の言葉で告げる。驚いた春琴はそのことを夫に告げ、遊び人の陳雲樵は金を掘り起こして遊興にふける。
その頃、長安の都では権力者が次々と怪死する事件が起きていた。遣唐使として長安を訪れていた空海(染谷将太)は、帰国前、密かに宮殿へ呼び出される。執務官(メイソン・リー)の案内で、謎の病に伏した皇帝を見舞った空海は祈祷を行おうとするが、皇帝の病状が悪化。不審な死をとげる。執務官は「皇帝は風邪で崩御された」と宣言。書記官たちはそのように記録させられる。
書記官の中に白楽天(ホアン・シュアン)がいた。皇帝の死に黒猫が関わっていることに気づいた空海と白楽天は意気投合し、都で飛び交う黒猫の呪いの噂を確かめるため調査に乗り出す。白楽天は空海に長安の町を案内。そこでは様々な国の人々が行き交い、幻術を使う西瓜売り・爪翁(チェン・タイシェン)が人気を博していた。白楽天は詩人でもあり、当時、白居易の名で楊貴妃と玄宗皇帝の愛を描いた「長恨歌」を著していた。
黒猫の噂を探るため、二人は妓楼で遊んでいる陳雲樵を訪ねる。陳雲樵の馴染みの妓生、麗香(シャー・ナン)は、彼が踊り子の玉蓮(チェン・ティエンアイ)に惹かれているのを嫉妬して彼女に毒薬を飲ませるが、それは黒猫の仕業だった。空海は毒の正体を見抜き、玉蓮を助ける。その夜、黒猫は陳雲樵の家に現れ、春琴にとり憑く。驚いた陳雲樵は空海に助けを求めるのだった。
一連の出来事から、黒猫の目的は白楽天ではないかと空海は推理する。それは、彼が書いている「長恨歌」に理由があるようだ。空海は当時の様子を知る日本人、阿倍仲麻呂(阿部寛)の側室だった白玲(松坂慶子)を訪ね、彼女から阿倍仲麻呂の日記を渡される。そこには、玄宗皇帝(チャン・ルーイー)時代の都の様子や、彼が愛した絶世の美女・楊貴妃(チャン・ロンロン)との出会い、贅を尽くした「極楽の宴」の一部始終が書かれていた。
空海と白楽天は日記をもとに、当時何があったのか、現場検証を試みていく…。
アジコのおすすめポイント:
昨年12月22日から中国で公開され、大好評を博している『妖猫伝』が、豪華俳優陣による日本語吹替版『空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎』となって、ついに日本公開です。原作は夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(角川文庫/徳間文庫)。その中国語訳を読んで映画化を思い立ったチェン・カイコー監督と、かねてから親交のあった角川歴彦氏が中心となり、約10年前にこの豪華日中合作プロジェクトが始動したのでした。CGではない本物の映像にこだわるチェン・カイコー監督は、デザインに2年、建設に6年をかけて、湖北省の襄陽市に長安の都(撮影後も保存)を再現。その広さは東京ドーム約8個分とか!1000人ものエキストラを投入し、撮影された当時の都のシーンをたっぷりと堪能できます。
主演に抜擢されたのは、『寄生獣』での演技が注目された染谷将太と、『ブラインド・マッサージ』以来、今や人気俳優となったホアン・シュアン(主演作『ミッション・アンダーカバー』が3/11より公開予定)。主人公を空海と白楽天のコンビに改編することで、日中の観客にアピールできる作品に生まれ変わっています。楊貴妃を演じるチャン・ロンロンの美しさも素晴らしく、すっかり大人の女優に成長しました。そのほか、『長江 愛の詩』が公開中のチン・ハオ、『ひだりみみ』で来日したこともあるオウ・ハオとその弟を演じる若手のリウ・ハオランなど、共演陣も見所たっぷり。黒猫が哀れに思える悲しい愛の結末まで、豪華絢爛な映像とそれに負けない俳優たちの熱演をご堪能ください。
|