2015年10月27日:ジョン・ウー監督との2日間
25日と26日は「SAMURAI賞」を受賞したジョン・ウー監督スペシャルの日々。25日の夜はアカデミーヒルズにあるタワーホールにてトークイベントが開かれ、26日夜は歌舞伎座スペシャルナイトにて「SAMURAI賞」の授賞式が行われました。25日は途中からの参加でしたが、ちょうど映画監督を目指す学生さんたちからの質問コーナーで、面白いやりとりを聞くことができました。26日の歌舞伎座スペシャルナイトは、昨年からの試みで、歌舞伎座から日本文化を発信するという企画。海外からのゲストやメディアが多数来日しているこの機会に、日本ならではの文化に触れてもらおうというスペシャルなイベントです。今年はドラマでも活躍する片岡愛之助さんが「雨の五郎」を披露。その後、お弁当タイムでは映画祭特製幕の内弁当(美味!)がふるまわれ、SAMURAI賞の授賞式。「私の作品よりもジョン・ウー監督の作品の方がSAMURAI賞にふさわしいですね」と話す山田洋次監督に、「尊敬する師匠でもある山田洋次監督と一緒に受賞できてうれしい。光栄です」とジョン・ウー監督。うれしそうでした。ゲストとしてジョン・ウー監督を敬愛する大友啓史監督と、山田洋次監督作品への出演が続く吉永小百合さんも登壇し、花束贈呈がありました。
他の用事もあり、映画通いはしばらくお休みしていましたが、夜からまた参戦。昨夜はドラマの続きが気になっていたので、日本映画『MOZU』を観てしまいました。ついに「ダルマ」の正体が!ということで、この事件は一応の完結を迎えますが、う〜〜〜〜ん。まだ、解けてない謎が1つあるような…。映画でも長谷川さんが大活躍。「チャオ!」と2回も言ってました(笑)。今日からまた、アジアの映画を観ていく予定です。その他がのんびり更新になってますが、御容赦くださいませ。
2015年10月25日:ゲストスナップ(その1)
昨日はほかの仕事で映画祭通いはお休みでしたので、2日間の取材フォトショットをご紹介します。まずは、銭雪漫の小説が原作の『ひだりみみ』。残念ながら来日はなかったのですが、主人公を演じたチェン・ドゥリンはZE:Aのイム・シワンにそっくりの清楚な美少女。劇中で彼女が憧れる高校生はイケメンのヤン・ヤンが演じています。
初監督作品『ひだりみみ』で来日したオウ・ハオ、マー・スーチュン、アレック・スー監督(元小虎隊のアイドル!)
|
|
「今までで一番イケメンの監督」とマー・スーチュン。映画にちなんで左耳に手をあて、会場の皆さんと記念撮影をしました。
|
『ぼくの桃色の夢』の主演2人とハオ・ジエ監督。スキンヘッドだったパオ・ペイアルにはびっくり。美少女スン・イーは少女時代から大人までを一人で演じました。
|
|
本人も自転車が好きという『破風』のダンテ・ラム監督。当日は間違えてミッドタウン方面に行ってしまい迷子に。「皆さんも自分の風除けを見つけて大切にしてください」
|
2015年10月24日:2日目は六本木で4本!
やっと『全力スマッシュ』のインタビューが完成しました。遅れに遅れて申し訳ありません。ただし、ネタバレ部分もあるので、映画をご覧になってから読んでいただくと、よりいっそう味わっていただけると思います。
というところで、本日の映画祭はメイン会場の六本木ヒルズ。1本目は香港の新鋭女性監督ジョディ・ロックによる『レイジー・ヘイジー・クレイジー』。アルバイト感覚で援助交際をしている女子高生3人の、友情と裏切り、身体と心が乖離している恋心を大胆かつフレッシュな映像で描いています。ヘンリー・ウォン監督もカメオ出演していました。師匠はパン・ホーチョンとか。2本目は一人の少年の一途な恋心を、少年時代から社会人なるまでの時間軸で描いた『ぼくの桃色の夢』。中国社会の移り変わりと共に描かれています。終了後に記者会見があったのですが、「中国はまだ思春期なんです」と言っていたハオ・ジエ監督が印象的。間にダンテ・ラム監督の『破風』Q&Aをはさみ、3本目は事故で最愛のパートナーを亡くした男女の痛みを描く台湾映画『百日草』。トム・リン監督の新作です。主演はカレーナ・ラムとメイデイのストーン。カレーナちゃんの夫役でマー・ジーシアンが出演しています。そして最後は、中国内戦から台湾に逃れた元兵隊の新たな人生を描いた大河ドラマ『風の中の家族』。監督はワン・トン。主演はトニー・ヤン。いずれも興味深い作品でしたので、ぜひ映画祭にてご覧くださいませ。
2015年10月23日:映画祭始まりました。
インタビューは後一息で完成しそうなのですが、映画祭が始まって夜なべができないので、今しばらくお待ちください。映画祭特集も事後報告になってしまいそうなので、少しずつでも毎日レポートをつぶやきにアップするつもりです。とりあえず、今年の1作目は「2015中国・東京映画週間」の『ひだりみみ』。これ、アタリ!でした。台湾の元アイドルから俳優として活躍中のアレック・スーが初監督した作品で、昨夜は主演の若者二人を連れての舞台挨拶もありました。(画像は後でアップします)監督自らが感動して泣きながら演技指導したという『ひだりみみ』は、みずみずしくも複雑な恋愛模様と友情を描いた胸キュンものの青春映画。高校時代から受験を経て、大学、社会人になるまでが描かれます。26日の午後にも上映されますので、お時間の許す方はぜひご覧ください。今年の劇場はTOHOシネマズ日本橋です。
2015年10月21日:今年の映画祭・秋の陣は、アジア映画が百花繚乱!(その2)
今頃とっくに恒例の映画祭特集をアップしていないといけないのですが、まだその前の優先事項『全力スマッシュ』のインタビュー記事で手こずっております(大汗)。開催期間にずれ込みそうなので、続きのラインナップから東京国際映画祭と同時開催される「2015中国・東京映画週間」と「コリアン・シネマウィーク2015」を大急ぎでご紹介しておきます。
●2015中国・東京映画週間(10/22-28) *公式サイト
・モンスター・ハント(2015)監督:シュー・チョンイー 主演:バイ・バイフー、ジン・ポーラン、ジャン・ウー
・ひだりみみ(2015)監督:アレック・スー 主演:チェン・ドゥリン、オウ・ハオ、マー・スーチュン
・君といた日々(2014)監督:チャン・イーバイ 主演:エディ・ポン、ニー・ニー
・愛のカケヒキ(2014)監督:パン・ホーチョン 主演:ジョウ・シュン、ホアン・シャオミン
・更年期的な彼女(2014)監督:クァク・ジェヨン 主演:ジョウ・シュン、トン・ダーウェイ
・最愛(2015)監督:シエ・ションハオ 主演:ニー・ジンヤン、チャン・ジーヤオ、チャオ・シャー
・ユア・マイ・サンシャイン(2015)監督:ヤン・ウェンジュン 主演:ホアン・シャオミン、ヤン・ミー
・あの場所で君を待ってる(2015)監督:シュー・ジンレイ 主演:ウー・イーファン、ワン・レイクン
・西遊記 ヒーロー・イズ・バック(2015)監督:ティエン・シャオポン *アニメ作品
・黒ネコ警部 宇宙船グリーンスター(2015)監督:ユー・ションチュン *アニメ作品
中国映画誕生110周年記念〜呉天明監督作品特集上映〜
・ソング・オブ・フェニックス(2014)主演:タオ・ザールー、リー・ミンチョン *遺作
・標識のない河の流れ(1952)主演:チュウ・シュウ(朱旭)、チョウ・レンイン *デビュー作
・変瞼 この櫂に手をそえて(1994)主演:チュウ・シュウ(朱旭) *代表作
・人生(1984)主演:ウー・ユーファン、チョウ・リージン *代表作
・古井戸(1987)主演:チャン・イーモウ、リュイ・リーピン、リャン・ユイチン *東京国際映画祭特別上映
・双旗鎮刀客(1992)監督:ハー・ピン 主演:ガオ・ウェイ、ソン・ハイイン
・黒砲事件(1986)監督:ホアン・チェンシン 主演:リュウ・ズーフォン、ガオ・ミン
・十二公民(2014)監督:シュー・アン 主演:フー・ピン、ハン・トンション、チャン・ヨンチアン *東京国際映画祭特別上映
●コリアン・シネマウィーク2015(10/23-28) *公式サイト
・あなた、その川を渡らないで(2014)監督:チン・モヨン 出演:チョ・ビョンマン、カン・ゲヨル
・許三観(ホ・サムグァン)(2014)監督:ハ・ジョンウ 主演:ハ・ジョンウ、ハ・ジウォン
・チョック王(2013)監督:ウ・ムンギ 主演:アン・ジェホン、ファン・スンオン
・お父さんをお貸しします(2013)監督:キム・ドクス 主演:キム・サンギョン、ムン・ジョンヒ
・愛が勝つ(2014)監督:ミン・ビョンフン 主演:チャン・ヒョンソン、チェ・ジョンウォン
・国際市場で逢いましょう(2014)監督:ユン・ジェギュン 主演:ファン・ジョンミン、キム・ユンジン
2015年10月8日:今年の映画祭・秋の陣は、アジア映画が百花繚乱!(その1)
やっと『黒衣の刺客』記者会見をアップ完了しました。予定よりすっかり遅れてしまいましたが、まだまだ上映は続くと思いますし、ホウ・シャオシェン監督の映画に対する思いや制作スピリットをたっぷり語ってくれていますので、ぜひご覧ください。そして、そのホウ・シャオシェン監督の過去の名作も特集上映される、秋の映画祭ラインナップが出揃いました! 特集でご紹介する前にチケット発売が始まってしまいますので、まずはここでまとめてご紹介します。
●山形国際ドキュメンタリー映画祭2015(10/8-15)
インターナショナル・コンペティション
・河北台北(2015/台湾)監督:リ・ニェンシウ
・祖国−イラク零年(2015/イラク・仏)監督:アッバース・ファーディル
・青年★趙(チャオ)(2015/中・仏・米)監督:ドゥ・ハイビン
アジア千波万波
・太陽の子(2013/フィリピン)監督:ジム・ランベーラ
・鉱(あらがね)(2015/ボスニア・ヘルツェゴビナ・日本)監督:小田 香
・銅山の山(2015/ネパール)監督:ディペシュ・カレル、フローデ・ストラース
・ディスタンス(2015/日本)監督:岡本まな
・ラダック それぞれの物語(2014/インド・日本)監督:奥間勝也
・太った牛の愚かな歩み(2015/ボスニア・ヘルツェゴビナ・シンガポール・独)監督:ガージ・アルクッツィ
・きらめく拍手の音(2014/韓国)監督:イギル・ボラ
・離開(りかい)(2015/中国・独)監督:ジン・シンジョン
・わたしはまだデリーを見ていない(2014/バングラデシュ・印)監督:フマイラ・ビルキス
・見つめる(2015/中国)監督:イエ・ユン
・テラキスの帰郷(2013/台湾)監督:サーユン・シモン
・非情な私の家(2013/韓国)監督:アオリ
・虐げられる者たちよ(2014/英・パレスティナ)監督:バスマ・アルシャリーフ
・ミーナについてのお話(2014/イラン)監督:カーヴェー・マザーヘリー
・七度目の祈り(2014/インド)監督:ヴァルン・トゥリカ
・蛇皮(2014/シンガポール、ポルトガル)監督:ダニエル・フイ
・たむろする男たち(2015/仏・レバノン)監督:マヤ・アブドゥル=マラク
・船が帰り着く時(2014/ミャンマー・独)監督:キン・マウン・チョウ
特別招待作品
革命まで(2015/香港)監督:クォック・タッチュン
太陽花(ひまわり)占拠(2014/台湾)監督:太陽花運動映像記録プロジェクト
その他、「映画が時代を写す時−侯孝賢とエドワード・ヤン」(10/9:山形美術館2 10:30-)、「映像は語る−ドキュメンタリーに見る現代台湾の光と影」(10/9-11:遊学館・入場無料)など台湾映画特集が組まれており、11作品の上映とシンポジウムを開催。ヤン・リージョウ(揚力州)監督をはじめ、ゼロ・チョウ(周美玲)監督、ホホ・リュウ(劉芸后)撮影監督、アミ族のマーヤウ・ビーホウ監督らが来日します。チケットはチケットぴあ他で発売中(回数券制)。詳細は公式サイトへ。
●東京国際映画祭2015(10/22-31)
コンペティション
・スリー・オブ・アス(2015/仏)監督:ケイロン *イランのお話
・カランダールの雪(2015/トルコ・ハンガリー)監督:ムスタファ・カラ
・ガールズ・ハウス(2015/イラン)監督:シャーラム・シャーホセイニ
・ぼくの桃色の夢(2015/中国)監督:ハオ・ジエ
・スナップ(2015/タイ)監督:コンデート・ジャトゥランラッサミー
・FOUJITA(2015/日・仏)監督:小栗康平
・残穢(ざんえ)−住んではいけない部屋−(2015/日本)監督:中村義洋
・さようなら(2015/日本)監督:深田晃司
アジアの未来
・告別(2015/中国)監督:デグナー
・少年バビロン(2015/中国)監督:シアン・グォチアン
・レイジー・ヘイジー・クレイジー(2015/香港)監督:ジョディ・ロック
・The Kid(2015/台湾)監督:サニー・ユイ
・俺の心臓を撃て(2014/韓国)監督:ムン・ジェヨン 主演:イ・ミンギ、ヨ・ジング
・孤島の葬列(2014/タイ)監督:ピムパカー・トーウィラ
・三日月(2015/インドネシア)監督:イスマイル・バスベス
・If Only(2015/インド)監督:イシャーン・ナーイル
・父のタラップ車(2015/トルコ)監督:ハサン・トルガ・プラット
・俳優 亀岡拓次(2015/日本)監督:横浜聡子
ワールドフォーカス
・少年班(2015/中国)監督:シャオ・ヤン 主演:スン・ホンレイ、チョウ・ドンユイ
・河(2015/中国)監督:ソンタルジャ
・破風(2015/香・中)監督:ダンテ・ラム 主演:エディ・ポン、チェ・シウォン
・風の中の家族(2015/台湾)監督:ワン・トン 主演:トニー・ヤン、アンバー・クオ
・百日草(2015/台湾)監督:トム・リン 主演:カリーナ・ラム
・今は正しくあの時は間違い(2015/韓国)監督:ホン・サンス 主演:チョン・ジェヨン
・民族の師 チョクロアミノト(2015/インドネシア)監督:ガリン・ヌグロホ
・ジャイホー 〜A.R.ラフマーンの音世界(2015/インド)監督:ウメーシュ・アグルワール
・OK Darling(2015/インド)監督:マニラトナム 主演:ドゥルカル・サルマーン
・錯乱(2015/トルコ・仏・カタール)監督:エミン・アルベル
CROSSCUT ASIA:#02「熱風!フィリピン」
・バロットの大地(2015/フィリピン)監督:ポール・サンタ・アナ
・お里帰り(2015/フィリピン)監督:キトラット・タヒミック
・インビジブル(2015/フィリピン)監督:ローレンス・ファハルド
・キッド・クラフ〜少年バッキャオ(2015/フィリピン)監督:ポール・ソリアーノ
ブリランテ・メンドーサの世界
罠〜被災地に生きる(2015)/フォスター・チャイルド(2007)/サービス(2008)/グランドマザー(2009)/汝が子宮(2012)
ディスカバー亜洲電影
・奇跡の女(1982/フィリピン)監督:イシュマエル・ベルナール *デジタル・リストア版
その他、SAMURAI賞でジョン・ウー監督が来日。トークイベント(10/25)も予定されています。チケットの発売は10/10よりticket boardにて受付け開始(オンライン・電話)。詳細は公式サイトへ。「2015中国・東京映画週間」(発売中)と「コリアンシネマウィーク」(無料・登録受付中)のラインナップは東京フィルメックスのラインナップと共に(その2)でご紹介します。
2015年9月20日:したまちコメディ映画祭 in 台東『全力スマッシュ』舞台挨拶で勢揃い
左から波多野裕介(音楽)、ウィルフレッド・ラウ、アンドリュー・ラム、スーザン・ショウ、ジョシー・ホー
ヘンリー・ウォン監督、いとうせいこう、大場しょう太
10月10日より日本公開予定の熱血バドミントン映画『全力スマッシュ』(監督:デレク・クォック&ヘンリー・ウォン)。ワールドプレミアとなった大阪アジアン映画祭に続いて、したまちコメディ映画祭 in 台東でも特別招待作品として上映され、香港からゲストが大挙して駆けつけました。こんな豪華なゲストを見逃すわけにはいかないと、アジコも浅草公会堂へ行ってまいりました。主演のジョシー・ホーの美しさもさることながら、一際目立っていたのが、女優復活以後、大活躍している往年のセクシー女優スーザン・ショウ。隣の香港音楽界の重鎮アンドリュー・ラムとの掛け合いもおかしく(漫才コンビみたい!)Q&Aの間も終始、目立っておりました。詳細は後日、あらためてご紹介します。またアジクロでは、前日にジョシー・ホー&ヘンリー・ウォン監督にも単独インタビューを行っております。大量ゲロの秘密など面白いお話がたっぷり聞けましたので、こちらもお楽しみに(^^)
2015年8月5日:心も身体もクールダウン。アリエル王子にご注目を!
すっかりご無沙汰してしまったつぶやきですが、今は猛暑の真っ盛り。まずは、暑中お見舞申し上げます。まるで熱帯のような暑さの中、ほっと一息つけるような映画をご紹介します。それは、アジコの郷里でもある熊本を舞台に日タイ合作で作られた『アリエル王子と監視人』。先月11日より渋谷ユーロスペースにて公開中です。物語は架空の国、ルベール王国の王子様がお忍び休暇で熊本を訪れ、一人でホテルをこっそり抜け出して短い休暇を満喫するというもの。たまたま街で出会った若い女性が彼をガイドすることになりますが、実は彼女は秘かに雇われていた王子の監視人。でも、そんなことは関係なく、とにかく二人は楽しく思い出深い3日間を過ごし、窮屈な日常から解放されてそれぞれが自分自身を振返り、新たな明日に向かって生きていくというささやかな物語です。
初日舞台挨拶にはくまモンも登場。左から稲葉雄介監督、伊澤恵美子、くまモン、榎木智一、プロデューサーの鈴木智彦
セリフは少なく何気なく、いつも笑顔を浮かべている王子様。演じるのは、タイのチャーノン・リクンスラガーン。監視人役は伊澤恵美子。城下町の熊本は、繁華街の目抜き通りから熊本城が見えるという不思議な街でして、映画ではこの熊本城や上通り周辺(オシャレなお店が増えてます)、動物園、水源地(菊池水源かな?)、阿蘇の外輪山が見渡せる大観望、有明海沿いに走る列車で訪れるミカン農園の町、そして路面電車と、癒される風景が涼しい色合いの映像で続いていきます。実際の熊本は盆地なので、夏は大変蒸し暑いのですが、アリエル王子の笑顔と風景はなぜか心を和ませ、ホッと一息つかせてくれます。それは、王子様自身が解放されている瞬間だからなのでしょう。ラストでちょっとだけわがままを通した王子様から笑顔が消えていたのが、印象に残ります。
|
同時公開の『群青色の、とおり道』の佐々部清監督&ぐんまちゃんと。やんちゃなくまモン、暴走してました。
|
70分と短い作品ですが、東京では今週末7日までの上映。この後、8/22からは熊本、9/19からは静岡での上映が予定されています。あのアピチャポーン・ウィーラセタクン監督も認めている新鋭、稲葉雄介監督によるささやかで何気ないけど印象に残る作品を、ぜひ劇場でご覧ください。きっと、心と身体がちょっぴり涼しくなりますよ。
「熊本にはフォトジェニックな風景がたくさんありました。そして、そこにいる人々がまた格好よかったのです。文化的感度が高い人がたくさんいるので、野暮ったくない映画になると思いました。この映画は異国からやって来た王子がずっと笑いを浮かべている映画なんです。その笑いには僕が現代を生きてて思っている気分だとか、そういうのが込められているんですが、そんなに説明的な映画ではありません。いい意味で隙がたくさんある映画なので、皆さんの気持ちをこの映画に乗せていただいて、皆さんの映画として楽しんでいただけたら、それが一番うれしいです」(稲葉雄介)
2015年5月3日:公開されたばかりの『赤道 Helios』が気になる!
強風で桜前線もあっという間に終わり、急に暖かく(暑く?)なってきたこの頃。ゴールデンウィークに突入しましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 体調は大丈夫ですか? いろいろ、ここにつぶやきたいネタがたくさんあるのに、いつもつぶやく余裕がなく過ぎてしまい申し訳ありません。トップページもとっくに「ありがとう、シネマート六本木」特集になっていなくてはならないのですが…。台湾映画特集はお楽しみいただけたでしょうか? 続く香港映画特集もすごいラインナップなので、お見逃しなく。詳細は特集にてご紹介します。
さて、その香港映画ファンには必見の大作が4月30日より香港でプレミア公開されています。『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』でベテランにして、共同監督デビューを飾ったリョン・ロクマン(梁樂民)&サニー・ルク(陸劍青)監督による最新作『赤道 Helios』がそれ。核爆弾による恐怖を、国際的スケールで描いた本作はキャスティングも豪華。ニック・チョンとショーン・ユーが演じる香港警察、ジャッキー・チョン演じる物理学者、韓国の国家情報局から派遣されるチ・ジニとチェ・シウォン(Super Junior)、中国政府からはワン・シュエチーがやって来ます。そして、盗み出した核兵器を売買しようと目論む大泥棒に台湾のチャン・チェン、香港のジャニス・マンが扮しています。アクション監督はチン・ガーロッ。そして、主題歌「赤色壯擧」(作詞:小美、作曲:ピーター・カム)を歌うのは、もちろん歌神様のジャッキー・チョンとSuper Junior のチェ・シウォン。日本でもぜひ公開されて欲しいものですが、まずは現地での予告編をいち早くご覧ください。
▼『赤道 Helios』公式予告編
▼ジャッキー・チョンとチェ・シウォン(Super Junior)が歌う主題歌「赤色壯擧」
2015年4月24日:第34回香港電影金像奨も発表されました(2015.4.19)
ご報告がちょいと遅れましたが、先日の日曜19日に、恒例の香港電影金像奨が発表されております。アン・ホイ監督、タン・ウェイ主演の『黄金時代』が5部門での最多受賞でした。また、『竊聽風雲3』が主要部門で3つの賞を受賞。シンガーソングライターでもあるイヴァナ・ウォンが、助演女優賞と新人女優賞のダブル受賞に輝いております。受賞結果は以下の通り:
・作品賞:『黄金時代』(監督:アン・ホイ)
・監督賞:アン・ホイ(『黄金時代』)
・脚本賞:アラン・マック、フェリックス・チョン(『竊聽風雲3』)
・主演男優賞:ラウ・チンワン(『竊聽風雲3』)
・主演女優賞:ヴィッキー・チャオ(『親愛的』)
・助演男優賞:ケネス・ツァン(『竊聽風雲3』)
・助演女優賞:イヴァナ・ウォン(『金鶏SSS』)
・新人賞:イヴァナ・ウォン(『金鶏SSS』)
・撮影賞:ワン・ユー(『黄金時代』)
・編集賞:デヴィッド・ウー(『太平輪:亂世浮生』)
・美術監督賞:チャオ・ハイ (『黄金時代』)
・衣装デザイン賞:マン・リムチョン(『黄金時代』)
・アクション監督賞:ドニー・イエン、トン・ワイ、ユエン・ブン、イム・ワー(『一個人的武林』)
・オリジナル音楽賞:エレン・ルー、ヴェロニカ・リー(『ミッドナイト・アフター』)
・オリジナル主題歌賞:「目的地」(『アバディーン』)
作詞/ウォン・ワイマン 作曲/アンソニー・ウォン、ジェイソン・チョイ 歌/アンソニー・ウォン
・音響効果賞:ドゥ・ドゥーチ(『太平輪:亂世浮生』)
・視覚効果賞:ヴィクター・ウォン、ブライアン・チョン(『黄飛鴻之英雄有夢』)
・新人監督賞:デヴィッド・リー(『暴瘋語』)
・中国台湾合作賞:『妻への家路』(監督:チャン・イーモウ)
・技術貢献賞:李坤龍(小道具)
・ベストドレッサー賞:トニー・レオン、サンドラ・ン
2015年3月29日:アジア映画大賞が発表に!(2015.3.25)
大阪アジアン映画祭に続いて、毎年巡って来るのが香港国際映画祭。今年も3月23日から4月6日まで絶賛開催中です。そして会期中に発表されるのが、アジア各地の作品から選出されるアジア映画大賞。今年の授賞式は3月25日、マカオのザ・ヴェネチアン・マカオにあるヴェネチアン・シアターにて開催されました。第9回となる今年は、『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)で池脇千鶴さんが助演女優賞、さらに、女優の中谷美紀さんが優れた才能を持つ映画人として卓越アジア映画人大賞(Excellence in Asian Cinema Award)を受賞しました。最優秀作品賞は昨年末の台湾金馬奨でも作品賞に輝いたロウ・イエ監督の『ブラインド・マッサージ』が受賞。昨年、様々な映画祭で上映されたアン・ホイ監督の『黄金時代』、1月から公開されたディアオ・イーナン監督の『薄氷の殺人』も複数受賞。チアン・ウェン監督による新作『一歩之遥』も技術賞を多数受賞しています。
●受賞コメント
池脇千鶴さん「まさかこんな賞を頂けるなんて思わなくて、本当にビックリしています。『そこのみにて光輝く』という作品は、日本でとっても少ない予算で、とっても少ない人数で大事に作った作品なんですね。そのすごく小さな小さな作品をこんな大きな舞台にまで来させてくれて共演者の皆さん、スタッフの皆さん、関係者の皆さん、『そこのみにて〜』を愛してくれた皆さんに本当に心から感謝申し上げます。この賞を宝物にします、本当にありがとうございました」
中谷美紀さん(英語)「第一回のアジアンフィルムアワードにて、最優秀主演女優賞をいただいて以来、しばしの時を経て、このような身に余る賞を頂戴しますことをなんとお礼を申し上げたらよろしいのでしょうか。娯楽の多様化により、映画を取り巻く環境は年々厳しくなって来てはおりますが、それでもまだ、映画を通じて伝えられることはあるのだと信じて、今後もお客様の心に届く作品を作り続けたいと思います。最後に、政治的に緊張関係にある国家間でも、映画という共通言語をもってお互いに理解を示すことができるようになることを心よりお祈りしつつ、感謝の言葉にかえさせていただきます」
|
|
上:アンソニー・ウォンからトロフィーを渡される池脇千鶴。
左:『紙の月』でノミネートされていた宮沢りえは、助演男優賞のプレゼンターとしても登場。アーロン・クォックにエスコートされていました。
|
●第9回アジア映画大賞受賞一覧(2015.3.25)
・作品賞:『ブラインド・マッサージ』(監督:ロウ・イエ)
・監督賞:アン・ホイ(『黄金時代』)
・主演男優賞:リャオ・ファン(『薄氷の殺人』)
・主演女優賞:ペ・ドゥナ(『私の少女』)*5/1より公開予定
・助演男優賞:ワン・チーウェン(『黄金時代』)
・助演女優賞:池脇千鶴(『そこのみにて光輝く』)
・新人賞:チャン・ホエウェン(『妻への家路』)
・脚本賞:ディアオ・イーナン(『薄氷の殺人』)
・撮影賞:ツェン・ジアン(『ブラインド・マッサージ』)
・美術賞:リウ・チン(『一歩之遥』)
・音楽賞:Mikey Mccleary(『Margarita, With A Straw』)
・編集賞:ギャレス・エヴァンス(『ザ・レイド GOKUDO』)
・視覚効果賞:Rick Sander, Christoph Zollinger(『一歩之遥』)
・造型デザイン賞:ウィリアム・チョン(『一歩之遥』)
・卓越アジア映画人大賞:中谷美紀
・終身成就賞:イム・グォンテク