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PS1 黄金の河

PS1 黄金の河(Ponniyin Selvan: Part One)

監督:マニラトナム
原作:「ポンニ河の息子」
   ラーマスワーミ・クリシュナムールティ著
脚本:マニラトナム、ジェヤモーハン、
   イランゴー・クマラヴェール
撮影:ラヴィ・ヴァルマン
編集:A. シュリーカル・プラサード
美術:トーッタ・ダラニ
音楽:A.R.ラフマーン
出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、ジェヤム・ラヴィ、カールティ、トリシャー・クリシュナン

2022年/インド
日本公開日:2024年5月17日
カラー/シネスコ/5.1ch/タミル語/167分
字幕:大西美保
配給:SPACEBOX
©Madras Talkies ©Lyca Productions
2023年 南インド国際映画賞 タミル語 作品賞
 主演女優賞(トリシャー・クリシュナン)
 撮影賞(ラヴィ・ヴァルマン)
 作詞賞(イランゴ・クリシュナン)
2023年 Ananda Vikatan シネマアワード
 悪役女優賞(アイシュワリヤー・ラーイ)
 視覚効果賞



poster


story

 今から1000年ほど前のチョーラ朝時代。突如、空に彗星が現れ、王朝に変化が迫ることを告げていた。スンダラ王(プラカーシュ・ラージ)には二人の息子と一人の娘がいた。兄アーディタ(ヴィクラム)はパーンディヤ王国を攻め落とすが、残党たちに仇と狙われていた。弟アルンモリ(ジェヤム・ラヴィ)は船団を率いてランカ島を目指していた。

 ラーシュトラクータ国を滅したアーディタは、捉えた王の命を取らず解放する。勝利の宴の夜、アーディタは信頼できる友デーヴァン(カールティ)に自分の剣を渡すと、カダンブル城で行われる秘密会議に潜入し、その中身を首都タンジャイにいるスンダラ王とパラヤライ宮にいる妹に伝えるよう命じる。デーヴァンは愛馬センバに乗り、黄金の河と呼ばれるポンニ河を上っていった。

 途中、財務大臣パルヴェート侯(サラトクマール)の行列と遭遇する。立派な輿には若き妻ナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)が乗っているという。デーヴァンは怪しいバラモンの僧ナンビ(ジャヤラーム)と出会い、カダンブル城へ連れて行ってくれと頼まれる。特命を受けている彼は断るが、カダンブル城に潜入している時、ナンビの姿も見かけた。

 会議にはパルヴェート侯を中心に有力な諸侯が集まっていた。その内容は、王位奪還。前王の息子マドゥランダカ王子(ラフマーン)を招き、彼に王位を継がせるというものだった。立派な輿に乗っていたのは王子だったのだ。翌日、帰路に着く輿に近づいたデーヴァンはナンディニと出会う。ナンビに伝言を頼まれていたのだ。彼女は翌日、宮殿へ来るようにと自分の指輪を渡した。

 首都タンジャイはパルヴェートに支配されていた。デーヴァンは王に謁見すると、密かに会議のことを伝えて逃走。逃げ込んだ先は、ナンディニの宮殿だった。彼女はデーヴァンにクンダヴァイ王女(トリシャー・クリシュナン)の返事を持ってくるよう命じ、追っ手から逃す。パルヴェートたちの企みはナンディニにも都合がよかった。彼女はパーンディヤ家の王女だったのだ。

 パラヤライに着いたデーヴァンは、船の上でクンダヴァイ王女と会い一眼で心を奪われる。状況を知った王女は、ランカ島にいる弟、アルンモリ王子を連れてきてと頼んだ。スンダラ王を守るため、アーディタとアルンモリを招集しようとしたのだ。だが若い頃、ナンディニと恋仲にあったアーディタの心の傷は癒えることなく、彼を戦地へと駆り立てていた。やむなく王女がアーディタのもとへ行く。

 一方、デーヴァンはランカ島へ到着。島ではパーンディヤの残党やパルヴェートの部下たちがアルンモリの命を狙っていた…。

アジコのおすすめポイント:

ついに登場!あの『バーフバリ』以来のインド歴史大河ドラマ巨篇です。しかも、監督は『ボンベイ』(95)『ディル・セ 心から』(98) などで日本でも知られる巨匠マニラトナム。原作は1950年に週刊誌に掲載され、1954年まで続いた人気連載小説「Poniyem Selvan(ポンニ河の息子)」。10世紀末のチョーラ王朝を舞台にした歴史小説で、登場人物はすべて実在の人物がモデルとなっています。1955年には全5巻2200ページ以上もの大河小説として刊行されベストセラーに。当然のごとく、これまでに何度も映画化の話があったのですが、そのボリュームとスケールの大きさから資金集めやロケ地の撮影許可などで難航。マニラトナム監督が映画化権を獲得したのは80年代後半ですが、やはり何度も頓挫しています。そして2015年、そして2017年に登場したのが、インド映画ファンにはもうお馴染みの『バーフバリ』2部作。S.S. ラージャマウリ監督から始まった汎インド映画(インド各地の多言語で同時に映画製作された作品)の隆盛や、世界のインド映画への注目も重なり、まさに時代が原作に追いついたのでした。

本作は「ポンニ河の息子」と呼ばれ、チョーラ王朝繁栄の祖となるラージャラージャ一世の若き日の物語。マニラトラム監督は再度脚本に取りかかり、2019年にキャスティングをスタートします。主演の2人の王子を演じるのはヴィクラム(『神様がくれた娘』)とジャエム・ラヴィ。王女役はトリシャー・クリシュナン。そして、まさにファム・ファタールとなる謎多き女性を、ハリウッドでも活躍する美女アイシュワリヤー・ラーイ(『ロボット』)が演じています。さらに、物語全体をつなぐ語り部的な重要人物を『囚人ディリ』のカールティが、まったく違うキャラクターで演じています。豪華絢爛の中に戦いと陰謀、愛憎が渦巻く物語なのですが、彼の和みキャラがいい感じで利いています。物語の核となるのは「愛」。登場人物の誰もにロマンスが用意されており、壮大なる後半へと誘ってくれるのです。この結末、一体どうなるのか?! 前半を観たあなたはもうこの世界の虜。後半となる「PS-2 大いなる船出』は6月14日から公開。これはもう、観るしかない! A.R.ラフマーンの音楽も素晴らしく、心に残ります。

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