ついに登場!あの『バーフバリ』以来のインド歴史大河ドラマ巨篇です。しかも、監督は『ボンベイ』(95)『ディル・セ 心から』(98) などで日本でも知られる巨匠マニラトナム。原作は1950年に週刊誌に掲載され、1954年まで続いた人気連載小説「Poniyem Selvan(ポンニ河の息子)」。10世紀末のチョーラ王朝を舞台にした歴史小説で、登場人物はすべて実在の人物がモデルとなっています。1955年には全5巻2200ページ以上もの大河小説として刊行されベストセラーに。当然のごとく、これまでに何度も映画化の話があったのですが、そのボリュームとスケールの大きさから資金集めやロケ地の撮影許可などで難航。マニラトナム監督が映画化権を獲得したのは80年代後半ですが、やはり何度も頓挫しています。そして2015年、そして2017年に登場したのが、インド映画ファンにはもうお馴染みの『バーフバリ』2部作。S.S. ラージャマウリ監督から始まった汎インド映画(インド各地の多言語で同時に映画製作された作品)の隆盛や、世界のインド映画への注目も重なり、まさに時代が原作に追いついたのでした。
本作は「ポンニ河の息子」と呼ばれ、チョーラ王朝繁栄の祖となるラージャラージャ一世の若き日の物語。マニラトラム監督は再度脚本に取りかかり、2019年にキャスティングをスタートします。主演の2人の王子を演じるのはヴィクラム(『神様がくれた娘』)とジャエム・ラヴィ。王女役はトリシャー・クリシュナン。そして、まさにファム・ファタールとなる謎多き女性を、ハリウッドでも活躍する美女アイシュワリヤー・ラーイ(『ロボット』)が演じています。さらに、物語全体をつなぐ語り部的な重要人物を『囚人ディリ』のカールティが、まったく違うキャラクターで演じています。豪華絢爛の中に戦いと陰謀、愛憎が渦巻く物語なのですが、彼の和みキャラがいい感じで利いています。物語の核となるのは「愛」。登場人物の誰もにロマンスが用意されており、壮大なる後半へと誘ってくれるのです。この結末、一体どうなるのか?! 前半を観たあなたはもうこの世界の虜。後半となる「PS-2 大いなる船出』は6月14日から公開。これはもう、観るしかない! A.R.ラフマーンの音楽も素晴らしく、心に残ります。