雨傘運動から始まり、2019年にピークを迎えた香港での抗議活動の様子をとらえたドキュメンタリーです。これまでにも、日本の監督スタッフがとらえた『香港画』、キウィ・チョウ監督による『時代革命』、取材者有志グループによる『理大囲城』と、いくつもの映像作品が当時を証言していますが、本作にはそれらには含まれていない映像も多く、切り取る角度も違っており、当時の緊迫した状況が改めて迫ってきます。逮捕者はどうなったのか。自殺者や命を落とした仲間の追悼場面。「デモには参加しないが、若者が犠牲になるのは我慢ができん」と憤る元三合会のおじさん。地下鉄で発生した事件の様子などなど。昔は憧れだった香港警察が、こんなになってしまうなんて…。
トゥインクル・ンアン(顔志昇)監督は福建省生まれ。1歳で香港の北角に家族で移住。中国支持者の多い地域とのことですが、自身は香港人としてのアイデンティティを持っています。本作を公開するために、普通の映画監督になる道は諦め、家族とも別れ、2021年にロンドンへ。22年にはスイスのドキュメンタリー映画祭に参加。その後、亡命申請をして今年の1月に認可されています。今回はLLHK(Lady Liberty 香港)の支援を得ての日本公開。詳細は劇場パンフレットに詳しく載っています。また、9月8日までは来日した監督のトークショーも予定されています。本来持っていた自由への危機、ぜひ劇場で感じてください。