チーリン「ワタシハ、映画初挑戦デシタガ、(以下、北京語で)初めての映画出演だったので、ほんとうに緊張しました。新人なのでうまくできないのではないかと、自信がなくて困りました。そのため、いろんなレッスンのカリキュラムを組んでもらい、演技をするということがどういうことなのかわかるようになりました。私のためにレッスンをちゃんと組んでくださったことに、とても感謝しています」
司会「日本語がお上手ですが、勉強されたのでしょうか?」
チーリン「ソンナコトハ、アリマセン(笑)コレカラモ、チャレンジシテイキタイト思イマス」
司会「ずっと中国での撮影でしたが、現場の雰囲気や演じていて大変だったことは?」
中村「とにかく、スケール感は驚きの連続で、例えばお城でロケしてる時でも、そういうお城を見つけてそこでやってるのかと思ったら、この撮影のためにお城を建てちゃうんですよね。エキストラの方も何千人単位ですし、中国の大地の中にお城を建てたりとか…1つ1つのことにびっくりしました。最初、監督にお会いしてお話した時は、あまりアクションもないし、最初の1週間はセリフ中心ばかりを撮るので、と。もし、ワイヤーとかやる場合は、いろいろ練習もしたいので言っておいてくださいと言ったら、ワイヤーはないからと言われて。中国に最初に着いた日から、ワイヤーやってくださいと。(会場爆笑)言ってることと全然違うじゃないかと(笑)。
あの広い大地の中で、全速力の馬に乗って、槍を振り回して、向こうからやってくる刀を反って避けてくれと。『できるか?』と言われて、考える間もなく『君ならできる!』と言われて(会場爆笑)『あ、もう…やらせていただきます』と。…それはもう、思い出深かったですね。ほんとうは数シーンしかなかったんですけど、どんどん出番を増やしてくださって、アクションシーンもどんどん出番が増えていって、とても感謝してますし、ありがたかったですね」
司会「『三国志』の映画化はずっと抱いていた夢だったそうですね。映画が完成して、アジアでは記録的な大ヒットとなりました。日本でもとても注目されていますが、今の心境は?」
監督「今の気持ちは一言では表現できないくらいです。今までハリウッドで何作か撮ってきましたし、香港で撮った作品を持って来た時も取材を受けましたが、今日ほどこんなに大勢の皆さんに来ていただいたのは初めてで、ほんとうにうれしいです。ありがとうございます。こんなに注目してくださり、また暖かく応援してくださったことに感謝いたします。もちろん、この作品は素晴らしい出演陣に恵まれてできあがったのですが、皆様のサポートを今日この会場で見て、とても大切なことだとひしひしと実感しております。今後も新しい作品の撮影に入る時は、皆様の顔を思い出し、心の支えにして頑張っていこうと考えています。
私自身、友情を大切にしているのですが、この『レッドクリフ』の一番のテーマはまさに「友情の大切さ」です。つまり、強い敵に立ち向かうためには、友人からの助けや勇気が不可欠。これが、この作品を通じて伝えたいメッセージです。あらためて、皆様に感謝すると共に、今回この映画の製作に莫大な投資をしてくださったエイベックスにも感謝したいと思います。おかげさまで、20年に渡る長年の夢を叶えることができました。こうやって、皆様の力をいただいて、作品に私の夢を託しました。皆さんには、これまでとは一味違うストーリーを楽しんでいただきたいと思います。どの人物も生き生きとしていてリアルですので、その面白さも感じてください」
ここからは、記者による質疑応答タイムです。
Q:この映画を観る人たちにどんなメッセージを伝えたいですか?
(c)2008 Three Kingdoms Ltd. (c) Bai Xiaoyan
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監督「伝えたいのは、まさに『愛』『友情』『義』。これがキーワードです。戦争は残酷なものですが、残酷なほど平和の大切さを感じるわけです。特に後編のパート2では、それに焦点を当てて描いています。もう1つ注目していただきたいのは、陣の使い方です。本で読んだことはあるかもしれませんが、実際に映画で見たことはないと思うので、ぜひそこも楽しんでいただきたいです。壮士兵法の中の兵法も映画の中で再現しました。もう1つの見どころは、船に火を付けて敵陣に攻め込むシーン。これも大変スケールの大きい場面ですので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
また、今回の撮影に関してはアメリカ、韓国、日本、香港、台湾と、さまざまな国や地域からの素晴らしいスタッフが集結し、集団の力で私たちの努力の結晶ができあがりました。つまり、アジアや中国の力で、ハリウッドに匹敵する映画が作れるということを見せつけた。ハリウッドのやり方でアジアの作品、中国のストーリーが撮れることを証明したわけです」
トニー「『赤壁』のテーマはいろんな角度から撮ることができると思うのですが、今回、監督は真正面から人々を励ます映画を撮りあげ、とてもうれしく思いました。つまり、この映画で伝えたいメッセージは前向きなのです。例えば、団結の重要さ、愛、平和、希望といったものが全部、この映画の中に込められています」
金城「もう、あんまり言うことがないんですが…(笑)、いかに困難があっても、友情や絆で皆が団結すれば、必ず勝てるんだよ、必ず夢はかなうんだよという前向きなメッセージがあるので、いいなあと思いました。それから、『三国志』ファンの方にとっては普通に面白くて(笑)、趙雲、張飛、関宇…と、こういう人物の個々の登場に拍手したくなるほど、観たらうれしくなっちゃう。『三国志』ファンじゃなくても、ジョン・ウーさんのアクションがあるし、ロマンや男と男の絆、友情、愛憎、全部含んでるすごく豊かな作品だと思うので、ほんとに、どんな部分で観ても面白いと思います」
Q:費用が足りなくなり監督が自腹を切ったそうですが、その分はもう回収できましたか?
監督「日本で大ヒットしたら、必ず回収できると思います(笑)。この作品にはとても思い入れがあるので、どんな困難や挫折にぶつかっても必ず乗り越えていこうと思っていました。天候不順とか、様々な要素を含めて困難がありました。ハリウッドのやり方だと、1つのシーンで予算オーバーしたら他のシーンをカットして補うという方法をとっていますが、私はそういうやり方はしたくなかったのです。なぜかというと、全部のシーンについて丹念に準備をしたし、他のスタッフも私のために準備してくれていたので、1つ1つ全部を丁寧に撮っていきたいと思っていました。それで、私財を投じて撮影に取り掛かりました。でも、お金のことは気にしていません。
(c)2008 Three Kingdoms Ltd. (c) Bai Xiaoyan
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実を言いますと、この作品の撮影のために3年かけましたが、私が稼げたのは1日たった2食のご飯代だけです(笑)。でも、それ以上に報われたと思っています。素晴らしい出演陣に恵まれたからです。例えば、先ほど中村獅童さんがおっしゃったワイヤーワークですが、ほんとうに現場に着いてすぐ、ワイヤーを使って槍を振り回すシーンを撮影しました。ワイヤーに吊られていながら、身体をまっすぐにしなければならないのですが、初めてのことなので、おそらく2回目の時に首をひねってしまったと思います。しかし、ご本人はずっと黙っていて、7〜8回やってOKが出た後で、アシスタントからその話を聞きました。中村さんのプロ精神に、現場の人たちはとても感動しました。ほんとうに、日本人のプロ精神を学ぶことができました。
金城武さんもそうです。事前に多くの参考書を読み、私が見落としてしまったところを指摘してくれました。キャラクターにしても、おかげさまで、とても活き活きとしたものになりました。素晴らしい友人であるからこそ、そのように助言してくれたのだと思います。
トニーとは長年の友人です。現場ではいつも20キロほどある重い鎧を着込み、自分のシーンではなくても決して休まず、他の現場の他のスタッフの面倒をみたりしてくれていました。まったく、疲れを見せませんでした。彼も私にとってはとても貴重な友人です。チャン・チェンを見ると、若い頃の自分を思い出します。理想に燃え、とても反逆精神があり、時には陰の部分も持っていますが、けっして挫けず頑張っていく。若い頃の私のようです。リン・チーリンはとても美しい方ですが、現場では素晴らしいサポートをしてくれました。
現場ではとても大変でしたし、資金面の問題でもいろいろありましたが、これだけの素晴らしい友人に支えられて様々な困難を乗り越え、素晴らしい作品に仕上げることができました。ほんとうによかったです。これらすべてのことが、私にとってはお金よりも大切なものなのです。それから、映画音楽の(岩代)太郎さんは、素晴らしい音楽を作ってくださり、映画がより一層引き立てられました。ありがとうございました」
と、質問はとにかく(笑)1人1人についてコメントと感謝の意を述べる監督でした。
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