続いては、カン・ドンウォンの舞台挨拶です。ファンミーティングやプライベートを除くと、実はカン・ドンウォンの単独での公式来日は3度目。一般のファンの皆さんやマスコミの前に登場するのは、とってもひさしぶりのことでした。この日は、公開直前。11月4日にオープンしたばかりの上野フロンティアタワーにあるTOHOシネマズ上野で、オープン記念舞台挨拶と称して開催されました。客席後方の扉から登場し、どよめく観客席の間を通ってステージにあがったカン・ドンウォン。ご挨拶はなんと日本語から。
ドンウォン「エー、アー…オヒサシブリデス。カン・ドンウォン、デス。お会いできてうれしいです」
今回は日本でオープンしたばかりの劇場での舞台挨拶ということで「おめでとうございます。韓国の映画館と似てますね。設備とか、とても似てます」と感想も。「好きな日本食は?」と尋ねられて「おそばが大好きですね。お寿司も大好き。好きなものがあり過ぎます。とんかつも好きだし、天ぷらも好き。食べるのが大好きなんです。他に楽しみがあまりないので(笑)」
そんなジョークも飛び出すカン・ドンウォン。『オオカミの誘惑』で初来日した頃に比べると、すっかり落ち着いた大人になりました。今回は、頭脳明晰で一本気な刑事キム・ジェミョン役が似合っていましたが、なんと刑事役を演じるのは「ハジメテデス」。大規模な海外ロケもあった今回の撮影。初めての刑事役は難しかったかもしれません。演じてみた感想は?
ドンウォン「まず、マニラで1ヶ月ほど撮影をしたのですが、それがとても大変でした。なによりも暑くて、朝から30度以上も気温があがってました」
具体的にはどんなところで撮影したのでしょう?
ドンウォン「フィリピンのマニラで、貧民街でした。そこで暮らしている人たちの生活が、想像していた以上にほんとうに大変で、皆さん苦労されていました。それを見守っているだけでも、最初は心が痛みました。この映画は腐敗した政治社会を描いている物語ですが、貧富の差を強く感じたので、胸に響くものがありました」
また、映画では迫力ある銃撃戦やカーチェイスなど、すごいアクションシーンも登場します。怪我はなかったのでしょうか?
ドンウォン「インタビュー記事をご覧になった方はご存知だと思いますが、今回は撮影中に大変危険な事故がありました。爆発シーンではなかったのですが、ガラスが割れるシーンでガラスの破片が顔に飛んできて、そのまますぐに病院へ行きました。内側から3針、外側から4針縫うことになりました。首にもガラスが刺さっていました。顔中、血がだらだら流れたんですよ。もう引退しないといけませんね(笑)」
いえいえ、まだまだ頑張っていただかねば。さて、今回はイ・ビョンホン、キム・ウビンと、異なる世代俳優3人の演技対決も見ものです。共演した感想はどうだったのでしょう?
ドンウォン「ウビンとはすごく仲良くなれました。年もそんなに離れていないし…ま、僕が思うには、離れてません。実際はいくつだったかな(笑)。ほんとうに楽しく撮影できました。イ・ビョンホン先輩とは、一緒に出演するシーンは少なかったのですが、現場ではほんとうに楽しく、一緒に撮影することができました。イ・ビョンホンさんはとにかく集中力が凄いんです。そこは勉強になりました。それからギクション、発声が素晴らしい。セリフの発声がとても素晴らしいので、僕も頑張らなくてはと思いました」
と語るカン・ドンウォン。日本ではニューヨークでアジアスター賞を受賞した『隠された時間』も上映中ですが、今後はなんと日本映画にも出演したいとのこと!
ドンウォン「僕は日本映画に出演したいと思っているんです。なかなか機会がないのですが、たとえば是枝監督とも映画を撮ってみたいし、中島哲也監督とも一緒に映画が撮れたらいいなと思っています。そんな風に、素晴らしい皆さんといつも映画を撮ってみたいと心はオープンにしているのですが、準備はできているかなあ(笑)。日本語の準備ができているかどうかわからないので、日本語で演技ができるだろうか…と、いつも考えてしまいます。…イマ、7ネンマエヨリ、ニホンゴガ、ドンドンドンドン…イイケド(笑)…マダ、ムリジャナイカ(笑)」
おやおや、こんなに日本語が出てくるのは、このところ日本でのロケが多かったからかもしれません。韓国の俳優さんたちはとても勤勉なので、日本語くらいすぐに上達することでしょう。(日本の監督さんたち、今ならカン・ドンウォンにオファーできますよ!本人「一生懸命頑張ります」とやる気満々なので)最後は観客の皆さんへメッセージ。
ドンウォン「『MASTER/マスター』以外にも、日本で公開していただけそうな作品をいくつか準備しています。『ゴールデンスランバー』を韓国でリメイクした作品は撮影が終わっていまして、来年6月に公開される予定です。日本にもまた来たいなと思っています。他には、日本の原作で『人狼』という作品も撮っています。そんな風に、これからも良い作品を撮って、皆さんとお会いしたいと思います。来年も頑張りますので、どうかたくさんの応援をお願いします。ありがとうございます」
と、『MASTER/マスター』以後の楽しみも語ってくれたカン・ドンウォン。フォトセッションを忘れて「アリガトウゴザイマース。オツカレサマデシタ」と帰りそうになったのを引きとめられ、撮影に応じていました。
(2017年11月6日 TOHOシネマズ上野にて)
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