舞台挨拶第一弾はイ・ビョンホン。『MASTER/マスター』では悪役の詐欺師チン・ヒョンビルを演じています。今回は忙しい合間をぬっての来日で、この日の登場も空港から遅れて直行するという慌ただしさ。開口一番「遅くなってすみません。到着してすぐ、ここに走って来ました」とご挨拶。この日は、TOHOシネマズ新宿の全10スクリーン(4DXとMX4Dは除く)をジャックしての、ノンストップ10回連続舞台挨拶を敢行しました。海外俳優としては初のスクリーンジャックとのことで、まずはその感想から。
ビョンホン「映画館をジャックすることは、映画の多様性、いろんな方に映画を観ていただくということから考えると、あまりいいことではないのですが、今日1日はまあ、試写の意味もありますので、多分許していただけるでしょう。海外の俳優では私が初めてということで、とても光栄ですし、気分がいいです」
そして、今回演じるのは悪役。演じる上で難しかったこと、楽しかったことは?
ビョンホン「どんな役柄を演じるにしても、自分が演じるからには、その役柄に説得力がなければなりません。役柄をしっかりつかまないと演技ができませんし、今まではそんな風に役を理解して演じてきました。しかし、今回私が演じた役には実在の事件があり、その主人公は実在の人物でした。その人物の行動や言葉がいろいろ残ってはいるのですが、なかなか理解するのが難しく、この役に説得力を持たせるのは大変でした。アプローチするのも、役作りをするのも、とても大変なキャラクターでした」
しかし、スクリーンに登場するチン・ヒョンビルにはカリスマ性があり、表と裏の顔を使い分ける魅力的な悪党を見事に演じています。さすが、演技力があればこそのキャラクター作りと言えるでしょう。では、あえて、ここは気に入っているシーン、注目してほしいシーンは?
ビョンホン「冒頭に、数万人の会員の前で演説をするシーンがあります。ここでは、会員からお金を搾取しなければならないので、純粋な羊の仮面を被って話しています。観客の皆さんも、こういう人だったら会員はつい投資してしまうだろうなあと思えるような、そんなシーンをつくらなければなりません。とても真実味のあるリアルさが大事だったので、いかに現実的に見せるかを考えながら演じました。監督もスタッフも私も、皆で精魂込めて作り上げたシーンです。
個人的に好きなシーンはというと、権力者に物事を頼む、依頼するシーンですね。チン会長は権力と手を組み、権力者と通じて悪を重ねるのですが、『記者に何か言われたらうまいことを言ってくれ』とハン局長に頼むシーンがあります。それがとても気に入っています」
ビョンさまのファンが結集した舞台挨拶は、まるでファンミーティングさながら。なじみの顔がたくさんいたようで、嬉しそうなビョンさまのキラースマイルがこぼれます。そして最後は、これから映画をご覧になる観客へのメッセージで締めくくられました。
ビョンホン「この映画は実際の事件をモチーフにしています。史上稀に見る詐欺師が出てきますが、実在の事件からアイデアを得て商業映画にしたものです。ああ、こんなことも起こり得るんだなと思って見ていただければ、より楽しめると思います。どうぞ、楽しんでご覧ください」
(2017年9月4日 TOHOシネマ新宿にて)
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