●初めての映画出演と演じるということ
香港は英語が通じますが、やはり中心は広東語ですよね。言葉はどうしましたか?
ディーン「日々、広東語を少しずつピックアップしていった感じですね。撮影やTVコマーシャルの仕事に広東語のセリフがあって、細かい広東語を使う仕事が増えて来て。でも、やっぱり広東語は日本語みたいにはしゃべれない。それが、初めて『八月物語(八月的故事)』のお話をもらった時に、90%広東語だからと言われて…。
でもまあ、自分が努力して形作っていった演技やセリフのクオリティがだめだったら、だめって言われておしまいなだけだから、チャレンジするしかないと思った。自分なりに、ちゃんと準備をしていった中で使っていただいたので、すごくうれしかったです」
やってみた感触はいかがでしたか?
ディーン「ずーっと長回しするんですよ。予定にないことを、散々やりましたね(笑)。言葉も不自由な中で、なんとかやってこれたのは、やっぱり撮影開始前の準備段階で、ヤンヤン・マク監督から役へのアプローチのし方を教えてもらったから。常に、この人はどういうバックグラウンドで生まれて、どういう国のどういう時代に、どういう風に育ったか。周りの社会的な状況や政治的な状況、この時代の香港はこうだったと。たとえば、こういう職業をする人はどういう傾向があるとか、家族の典型的な構成はこういうのがあったりする、そういう所に生まれた子どもは、こういう人が多かったりするよねって。すごくリサーチをして、自分が外国人だからわからない部分に、監督の今までの経験や勉強してきた財産をもらった形ですね。いろんなことを教えてもらいました。
多分彼女は僕に、新しいキャラクターのはっきりした形を自分でつかんで欲しいと強く思っていたのでしょう。それがあったからこそ、たとえば、5分間ずっと長回しになって、自分の部分はもともと大体1分30秒で終わるようなシーンだったとしても、『続けて』と。『あれ、ここでカットじゃなかったっけ?』と思っても、周りの人たちは動いていて(笑)。準備期間の間、こういう人はこの画面でこういう仕種をするという、言葉じゃなくてイメージがあったんですね。そのイメージをなすがままにやっていたら、ああいう形になった。役に対するアプローチのし方を、最初の作品でスパルタ式にたたき込んでくれえたヤンヤン・マク監督には、いまだに助けられています」
次の作品につながっているということですね。
ディーン「そうです」
ドラマはまた違いますよね?
ディーン「ぜんぜん違います(笑)。台湾へ行った時は、もう新しい概念でしたね」
栽培しているかのように長いまつげ と右腕のタトゥーに注目!
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香港と台湾では、撮影のし方が違いますか?
ディーン「香港と台湾というよりも、たとえばヤンヤン・マク監督の方式は、自分にとっては、考える余地のあるアプローチのし方、コミュニケーションを常に取り合うアプローチのし方で、これは台湾のチェン・ウェンタン監督もそうです。台湾で撮ったドラマ2作は、どちらかというと、どれだけ監督が求めるものを忠実に再現するかというスキルの向上というか…、監督がこういう風にやれっていう時に、そこでインストラクションや説明を受けて、どれだけ自分が洞察力や観察力をもって、それを素早く自分の動きにしていくかという、また別の勉強することがありました。そういう違いはありますね」
映画とドラマでは、時間のかけ方も違いますしね。どちらも面白い?
ディーン「僕はラジオとか写真とか、自分で物語を作ったりするのが単純に好きなので、俳優として興味が持てたり勉強になるのは、どちらもだと思うんですよ。台湾のドラマでも、香港の映画でも。ただ、自分が物を創るという観点から見たら、それはやっぱりヤンヤン・マク監督やチェン・ウェンタン監督のやり方が、意義のあるアプローチのし方ですね」
では、これからは俳優に力を入れていきたいという感じですか?
ディーン「はい。一度始めたからには、しっかり形にしたいです」
●ラジオ番組について
今度は、今回の来日のきっかけとなった生放送出演について聞いてみました。いつもと違って緊張したというディーン。
今日の生放送はどうでしたか?
ディーン「すごく天気がよくて、不思議な感じでした(笑)。あまりに天気がよくて、皆がガラス越しにたくさんいて…」
普段の選曲は全部自分でやっているんですか?
ディーン「全部自分というよりも、周りにDJとか音楽をやっている友人が多いので、そういう人たちが『ディーン、これかっこいいよ』って薦めてくれたものの中で、自分が共感できたものを紹介することもあります。僕に広めてくれたものは、僕もリスナーの人たちに広めたいという気持ちがあるので」
全体的にアジアというよりは、欧米の曲が多いですよね。
ディーン「いや、結構(と否定しかかり)…そうですね。欧米のもの、多いですね(笑)。アジアもぜんぜん、好きなのはいっぱいあるんですけど、あんまり地域別では選んでないですね。ほんとに、自分が気になった音楽や映画を紹介している感じです」
●アーティストとしての側面
これまでの発言にも出て来たように、ディーンは音楽や写真に、詩も書いたりするアーティストタイプの俳優。あちこちのアーティストとの繋がりもあり、映像製作にも興味を持っているようです。
一見クールだけど笑うとお茶目
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俳優の他にも、写真を撮ったり詩を書いたりしていますが、昨年の東京デザイナーズ・ウィーク(10/31-11/5)のコンテナ展にも行ったんですよね?
ディーン「友だちが出展していたんです。本番には間に合わなくて帰っちゃったので、完成したものは見られなかったんですけど」
その友だちとは、『八月的故事』で共演もしているマルチ・アーティスト、エリック・コット*のこと。昨年、香港貿易発展局が参加したコンテナ展*の総合プロデュースを任されており、開幕前の『Love from Hong Kong』と題したパーティもプロデュース。会場で、ディスプレイを細かく何度も手直ししている姿が印象的でした。
実は私も行きまして、面白かったのですが、あんな風にコンテナを1つ好きなように任されたら、やってみたいですか?
ディーン「もう、ぜひ!ていう感じですね(笑)」
アートを観るのが好きなんですか?
ディーン「博物館など、よく行きます。台湾へ行って最初の頃は、時間のある時は、いわゆるミュージアムへよく行きました」
香港と台湾では、また違う文化圏ですよね?
ディーン「違いますね。香港の方が、人の目を引くのがうまい。コンパクトにまとめて、すごくがつんとアテンション(注意)を直球でつかみ取るというか…」(なるほど〜)
海外にいると、逆に日本が見えて来ませんか?
ディーン「たくさん見えます。アメリカにいた時もそれはやっぱりあったし、すごく好きになった部分が多いです。日本に住んでない時に、日本てすごい国だなあと。日本の国というより、日本が持ってる文化とか風習とか、そういう民間的レベルで残っているもののクオリティが洗練されているというか…あ、でも最近、世界的にすごく日本に目が向いていて、いいですよね」(次のページへ)
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