初主演でイメチェンに成功
−ファン・イーチェン (范逸臣)
『海角七号/君想う、国境の南』PRで、9月末に監督たちと来日した主演のファン・イーチェン(范逸臣)ことヴァン・ファン(歌手としての名前はこちら)に単独インタビューをすることができましたので、ご紹介します。今回は取材陣のトップバッター、しかも朝一の訪問だったためお互いやや緊張気味のスタート。最初に「よく眠れましたか?」と尋ねると、「ウ〜ン…」とちょっと考えてから「很好!(よく眠れました)」と笑顔で応えてくれました。
Q:今回、ヴァンさんの歌声がスクリーンでたっぷり聴けてとても心地よかったです。脚本に惹かれたということですが、やはり主人公がミュージシャンだから?
ヴァン「まさにそうですね。もちろん、主人公が歌手であるということが一番重要で、表現したかったことだと思うので、普通の役者さんではなく僕に声がかかったのだと思います。僕は歌手なので、映画に出る機会はそんなにないのですが、たまたまこういう脚本だったので出ることができたのです」
Q:ご自身では俳優と歌手の、どちらの比重が大きいですか?
ヴァン「現実ではもちろん歌手です。映画の中では、音楽ではやっていけないんじゃないかというところを演じています」
Q:初めての映画出演で主演、そして歴史的な大ヒットをしたわけですが、この作品に出演したことで変わっこと、影響を受けたことを教えてください。
ヴァン「自分自身が変わったというよりも、周囲の見る目が変わったと思います。実は映画に出演する前は、芸能界ではちょっと下り坂かなあと思っている時期もあったんですが、この映画を通してかなり注目されるようになり、映画だけでなく歌にしても、以前よりいろんな場面で観客と会える機会が増えました。自分の可能性を広げてくれたと思います」
Q:監督は撮影中、どんなところ、または演技にこだわっていましたか? 注意を受けたところなど、監督の演出方法などを教えてください。
ヴァン「アドバイスと指導はありました。特に撮影に入る前はリハーサルをやるのですが、監督は皆の動きを横から見ていて、ここはこうした方がいいとかアドバイスをくれました。僕以外に他の人たちも、本業は役者ではなく歌手の集まりみたいなものなので、やはり監督はちょっと心配していたようです。なので、全体を見ていましたね」
Q:使われている言葉は、通常の北京語ではなく台南の方言(台湾語)ですが、言葉は難しくなかったですか?
ヴァン「特に問題はなかったです。台湾でも台湾語をしゃべる機会はたくさんありますし、育った環境(*1)でも台湾語をよく耳にしていたので、そんなに難しくはありませんでした。聞いてもわかるし、しゃべることもできます」
Q:一番苦労したシーンは?
ヴァン「一番、難しいシーンは…コンサートの時のステージのシーンですね。ここは僕の演技というよりも、撮影的に難しかったんです。結構長いシーンですが、3日間で撮らなくてはなりませんでした。僕だけじゃなく、皆がステージの上にいるのを撮らなくてはなくてはならないので、自分がよくできても他の人がNGを出すことがあるんです。すると、またやり直しをしなくてはならないので、その3日間はかなりピリピリしていました(笑)」
Q:では、自分で一番気に入っているシーンは?
ヴァン「気に入っているシーンはいろいろあるので1番というのは難しいのですが、あえて1つ言うとすれば、ビールを持って一人で海を眺めているシーンですね。なぜかというと、映画の中ではアガがそこでいろいろ考えているんですが、実際に撮っている時、ほんとうに自分の人生について考えていたんです。なんで、俺はここで映画を撮っているんだろうとか。横顔と後姿しか撮られていないので特別な演技はいらないんですが、ほんとうに自分のことを考えていたので、そのシーンが気に入っています」
自分のことを考えていたんですね(笑)
ヴァン「役に入り込むと自分とアガは区別できないんですが、ここは考えないといけない演技なので、自分のことを考えるしかなかったんです(笑)」(続きを読む)
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