グローバルな活躍で
俳優として大きく成長
−チェン・ボーリン(陳柏霖)
いよいよ2月20日より公開されるフォ・ジェンチィ監督の最新作『台北に舞う雪』。『山の郵便配達』など詩情豊かな映像美で知られる中国の監督が、初めて台湾を舞台に、台湾の若手俳優たちを多数起用して作った作品ということでも注目されています。昨年の東京国際映画祭ではコンペティション作品としてワールドプレミア上映され、監督と主要キャスト4名が来日。アジクロではフォ監督と主役のモウを演じたチェン・ボーリンに単独インタビューをしましたのでご紹介します。
ますはチェン・ボーリン。当日はインタビュールームが混み合っており、ずいぶん待たされたのですが、ラッキーなことに休憩時間に案内されたため、取材を終えたモー・ズーイーやトニー・ヤンと談笑するチェン・ボーリンに遭遇することができました。以前に取材した時の記事を特集したアジクロ・クリップ(2号)も持参していたので、しばしの間、昔話も。4年前の自分を見て「ワカイ!」と喜ぶチェン。あれから様々な現場を経て、今回はすっかり成長した姿を見せてくれています。
Q:台湾での撮影は『五月の恋』以来、久しぶりだと思いますが感想は?
チェン「ほんとうに『五月の恋』以来ですね。この映画を引き受けた大きな理由も台湾で撮影できるからだったんです。最近はとても少ないので」
Q:今、台湾映画界がとても盛り上がっていますが、これからは台湾映画にもどんどん出演しようと思いますか?
チェン「台湾でオファーされる役はどれも似通っているんです。今はモー・ズーイーのように、台湾にも若い俳優たちが出てきているので、同じような若者役なら僕はもういいかなと。それより僕は、もっといろんなものを見てみたいし、海外でいろんな人といろんな環境の中でいろんな役に挑戦してみたいと思っています」
Q:今回の役柄はいつもの好青年でしたが、自分で特に工夫したところはありますか?
チェン「この役は、どうしても僕がぴったり合うということで、監督からオファーされたんです。自分では、あの頃に帰れるかなあと不安もありました。当時の僕は髪も長かったし、鬚も生やしていたから。だけど監督からは、そうじゃなくて昔のようなイメージがこの映画にぴったりなんだと言われました。そこで、自分が以前よりもちょっと違う風にしたいということよりも、今回はこの映画に合わせることが大事だと考えました。
ウィル・スミスやジャッキー・チェンもいつも同じような役をやってるけど、それは映画がそれを必要としているから。この映画では人間の純朴な心を描いているので、そこに必要とされる自分を演じることが大事だと思いました」
ここで、初来日の頃からチェン・ボーリンの通訳を担当してきた水野衛子さんが、通訳後に「大人になったねえ」と感慨深く言われると、チェンも「ソウネエ…オトナニ、ナッタ(笑)」と照れくさそうに笑っていました。
Q:日本映画にもたくさん出演しましたが、それは演技をする上でプラスになりましたか?
チェン「役に立ったと思います。特に日本語で演技をすることは、自分にとってはもの凄くチャレンジだったので、得るところがありましたね。リズムも違うし」
Q:フォ・ジェンチィ監督は中国の監督ですが、香港や台湾、また日本の監督と違うところはありましたか?
と尋ねると、同じようなことをよく質問されるのか、なんと通訳を介さずにすぐ回答!(日本語が聞き取れるので、ここからは、ほぼ即答状態へ)
チェン「いつも言ってることなんですが、個性とか技術とかは国によって違うのではなくて、人によって違うのだと思います。国によって違うというのはないけど、人によっての違いはありました」
Q:では、フォ監督はどんな方でしたか?
チェン「ほんとうに優しくて穏やかな方ですね。我慢強いし怒ったことがありません。何でもわかっていて話して聞かせてくれるし、演技がよくなくても怒らないで『もう1回やろう』と。そういう人でしたね。だから、気持ちよく仕事ができました」(続きを読む)
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