日本のオリジナル脚本を
台湾を舞台に映画化
−フォ・ジェンチイ(霍建起)
続いて、フォ・ジェンチイ監督へのインタビューです。フォ・ジェンチイ監督といえば、東京国際映画祭との縁も深く、03年に『故郷の香り』が東京グランプリと優秀男優賞(香川照之)をダブル受賞。08年には『初恋の思い出』で来日し、その年の東京国際映画祭で国際審査委員長を務めました。(同時開催の中国映画週間では『愚公移山』も上映)そして、今回は『台北に舞う雪』でコンペティション部門への参加です。
インタビューはチェン・ボーリンと同じ部屋で行われたのですが、取材が終わったボーリンがスタッフと一緒にちょっと離れたところに座っていて、ときどきこちらの話を聞いていました。
Q:これまではずっと中国大陸の大自然で暮らす人々を撮って来られましたが、今回は初めて台湾が舞台となっていますね?
監督「原作となっている物語の舞台が台北だったので、選択肢がなかったんです(笑)」
Q:もし原作の舞台が日本だったら、日本で撮っていたということですか?
監督「そうなりますね」
Q:この作品を撮ることになったいきさつを教えてください。
監督「日本からこの物語でと依頼されました」
Q:外国で撮ってみたいというお気持ちもあったのでしょうか?
監督「それはストーリーによります。ストーリーが海外でなければならないのであれば、それはそれでかまいません」
Q:台湾での撮影はいかがでしたか?
監督「中国の他の場所、たとえば広州や上海などで撮るのと同じです。中国は広いですから、もしシルクロードで撮るとしたら、台湾よりもっと遠いでしょう。それに、言葉も同じ北京語ですしね(笑)」
Q:菁桐(チントン)は小さな町ですが、旅行で行ってみたくなるような場所がたくさん出て来て楽しい場面もありました。監督も楽しんで撮っておられたのでは?
監督「観光的かどうかはあまり考えていませんでした。ストーリーに必要な景色、ストーリーが活きるような美しい場所であることを考えていたら、こうなったのです」
Q:監督が切り取られる風景はいつもとても美しいですね。
監督「台北も菁桐も多分、実際の場所より映画の中の方がきれいだと思いますよ(笑)」
Q:監督はいつも、場所とそこで一生懸命生きている人との関係を描いておられると思うのですが(監督「ええ。注意して撮っています」)今回は小さな町に住んでいる青年と全然違う世界の人との関わりということですね?
監督「ロケーションにはすごくこだわります。ただストーリーを語るというのではなく、自分も感動させられるような景色がないといけません」
Q:キャスティングもすごくぴったりだと思いますが、どのようにして決めたのですか?
監督「まず役柄に合っていることと、それぞれの個性が際立って違っていて同じ人がいないこと。それからルックスのよさにもこだわりますね」
Q:これまでの重厚な感じとはちょっと違いますが、監督らしい作品だと思います。
監督「この作品では、今の若い人たちの雰囲気や活力、彼らの今ある姿を写し出してみました」(続きを読む)
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